ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

容疑者Xの献身(ネタバレ)

2009年05月21日 | ミュージカル・演劇
小説でも映画でもなく、演劇集団キャラメルボックスがやっている舞台版を観てきました。
実は小説も読んでないし映画も観ていない私。話題になってましたが、「いつか何かで観る(読む)機会があるかも」とネタバレを避けていたら、まさかキャラメルで観る事になるとは。というわけで新鮮な気持ちで観ることができました。
いやー、話題になってただけあって、よくできた話ですねえ。ミステリーって基本的に好きではないんですが、ミステリーの中でも、殺人に至る経緯等が見事な人間ドラマになっていたりすると、傑作と言える作品になるんだと思いますが、まさにそういう一作かと思いました。
また、人間ドラマが「殺人に至る経緯」ではないところが斬新でもあると思うし。
まあ、ちょっとピュアすぎるかもしれませんが、そういう意味ではキャラメル向きでもあったんだなあと思いました。
で、舞台ですが、悪い意味での(というか私があまり好きではない(汗))キャラメルらしさが抑えられていて、大人な作品になっていたというか、素直にいいなあと思える舞台になっていたと思います。
今まで小説の舞台化では、クロノスシリーズは好きになれないし、柳美里原作のは見事にキャラメル風になっていたし・・・で実はあまり期待してなかったのですが、予想外の出来、だったかな。
まあもちろん、あくまでもキャラメルではありましたけど・・・でも、このくらいなら私はむしろ楽しめるかな、と思いました。
ところどころに出てくる無意味なギャグなんかは、いい意味で(というかこれも私が結構好きな(笑))キャラメルらしさを残していて、重いストーリーのアクセントになってたと思います。湯川と石神の乾杯のシーンとか意味不明ですごい好きです(笑)
ゲストが多かったのも、いつものキャラメルっぽい雰囲気とは違う空気を持ち込んでいて、これも好感度大でした。草薙刑事とか、キャラメルの人がやっていたらかなり雰囲気違ったと思いますね。
草薙刑事の上司の人(名前忘れた・・・)がアドリブ連発で面白かった(笑)
ヒロイン靖子もゲストでよかったかなあと。西牟田恵さん、基本的に悲劇のヒロインて感じで演じてるんですが、時々真顔でツッコむ感じがかなり笑えました(笑)
なんか浅田真央ちゃんに似てるなーと思ったのは髪形のせいでしょうか・・・(汗)
岡田達也さんの湯川は、まあこんな感じかなーと。って実はドラマの福山雅治をちらっと見た程度なんですけど・・・(汗)ある意味福山ガリレオを意識してた感じ?
しかし、岡田達也さんと西川さんが同期ってのは厳しくないですか?(汗)そりゃ若々しいでしょう湯川・・・と思っちゃいますね(汗)
そして、西川さんの石神が良かったですねー。ずっと無表情で通していて、時折表情が動くところにかなりやられました(笑)
結構原作を大事にした舞台化だったらしく、原作の地の文を出演者が入れ替わり立ち代わり、原作の本を手にしながら朗読していたのも好感度大でしたかね。
でもまあ、良かったとおもったのは、原作の力ではあるかなと。原作の持ち味をすっかり殺すことも可能なので、原作の良さを上手く伝えられるだけでも成功ではあると思うんですが。
思い通りではない人生に絶望しかけていた石神が、今自分にできる生き方を見出したということに打たれましたね。
「ただ健気に生きているだけで誰かを救うこともできるのだ」という件にも。
ラストは、人によっては「救いがない」と言われているそうですが、私も加藤プロデューサーと珍しく(汗)同意見で、究極のハッピーエンド、と思いましたね。思いが通じた、ということですもんね。石神にとっては望んだことではなくても・・・
やはり人を殺したということの罪は償わなければならない、という意味でも、すっきりするラストだったかな。
結構前の席だったので、役者さんたちがマジ泣きしているのが見えて、つられてかなり泣いてしまいました。
しかし、発想は面白かったんだけど、ミステリーとしてどうなんだろう・・・と思ったところも。原作ではちゃんと説明されてたのかもしれないけれど。
肝心の富樫の死体をどうやって隠したか、というのが説明されてないのがちょっと・・・。湯川は「石神はレンタカーは借りてない」と断言してたけど、死体を県外に隠したんなら車は使ったんじゃないの?
あと、石神の自供で「誘い出した富樫から電話がかかってきた」という証言を聞いていて、「石神の携帯の着信記録を調べたら違うのがバレるのでは」と思ったんですが、電話をかけたのが富樫の身代わりのホームレスならなるほど・・・と思いかけたんですが、富樫の電話からの着信じゃないことはすぐバレますよね・・・。このあたりのツメは甘かったと思うんですがねえ・・・
あと、いくらなんでも刑事の前であんなこと喋っておいて、「聞かなかったことにして欲しい」はないだろ、と。刑事の方でも職務から言って知った事実を隠蔽しているのはまずいんじゃないの? まあ、最終的には全部バレたんでしょうから問題なかったけれど。
とまあややツッコミどころもありましたが、全体としては良かったです。ボロ泣きさせられましたしねー。

カーテンコールで、まず三浦剛さんが挨拶を始めたのですが、そのうちに「ここで皆さんにお知らせがあります。今日は西牟田恵さんのお誕生日です!」といきなりお誕生日おめでとうコーナーに。
ご本人の西牟田さんは「楽屋に戻ったら何かあるかなーとは思ってたけど(笑)」と意表をつかれた様子でした。「こんなに大勢にお祝いしてもらう誕生日もこれが最初で最後だと思います」とも(笑)
小さなケーキも登場して、客席も皆でハッピーバースデーを歌ってお祝いする、和やかなカーテンコールでした。

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