ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ゲド戦記外伝(まだ途中(汗))

2004年07月10日 | 読書
本読むのほんっとーに遅い私ですが(汗)5月に発売されていた「ゲド戦記外伝」、半分くらいようやく読み進みました。
以下ネタバレ感想になります。
「カワウソ」「ダークローズとダイヤモンド」「地の骨」の3作を読み終わりました。
「カワウソ」は面白かったですねー。ロークの学院の成り立ちを描いた物語なのですが、同時に一人の魔法使いの一生を描いているという点では、「ゲド戦記」本編の縮小版とも言えるような気がしました。本編5巻の中で出てきた要素がほとんど繰り返されていたような気がしますし。
印象的だったのは、アニエブですね。最初のカワウソを助けるあたりも泣けましたが、最後の方で再びメドラを導くために現れるあたりとか・・・良かったですね。彼女がなぜ石垣のこちら側を歩いていたのか、というのはよく理解できませんでしたけど・・・
あと、モエサシが、恋をすると魔法が使えなくなるのかと聞かれて、「そんなことはないと思う。力の源は一つだもの」というようなことを言うのも印象的でした。
「ダークローズとダイヤモンド」では、「自分らしく生きる」ということについて考えさせられる話でしたが、でもダイヤモンドのように自分が何をやりたいのか、とはっきり感じられる人は幸せだよなあ、なんて思いましたが。
「地の骨」は、ル=グィン自身の前書きを読んで、話の筋はわかってしまったし、実際予想通りだったのですが(汗)にもかかわらず大泣きしてしまいました。
オジオンの師匠が口数も多くてどちらかというと短気な人だった、というのはとても意外でした。その人が、恐怖に震えながら、オジオンと別れてからも一人でオジオンに話しかけつづけながら術をかけて行く様が、もう泣けて泣けて仕方なかったです。
オジオンが、ハイタカが、テナーがすごしたあのル・アルビの家が出てきたのは嬉しかったですね。オジオンが魔法使いになったいきさつが簡単にですが書かれていたのも嬉しかったし。
そんな訳で、まだ途中ですが、やっぱり「ゲド」は面白いなあ、と思いつつ読んでいます。
今回の外伝に共通しているのは、「帰還」以降描かれ始めた、ロークの学院が中心になっているアースシーの魔法世界に対するアンチテーゼだと思いました。これは5巻の「アースシーの風」で結論を見ることになるのですが。
自分が作った魔法世界を否定(と言ったらおおげさでしょうか)する物語を書き始めたル=グィンという人のすごさを改めて感じたりしています。
そう言えば、ちょっと前に朝日新聞の書評で高橋源一郎氏がこの「ゲド戦記外伝」の評を書いていて、その中で「帰還」以降の物語は書かれない方が良かったという人たちがいることに触れて、その人たちは「ファンタジーの世界に現実の無粋なフェミニズムを持ち込むなんてとんでもない」というような意見なのだと書いてあって、へええー、と思いました。いや、「帰還」以降がない方が良いという意見があるのは知っていましたが、なんでかなーと思っていたので。
私自身は、女だからかもしれませんが、「帰還」以降の作品もとても好きなんですけど・・・。特に「アースシーの風」でこの世界の魔法とは何か、という結論が書かれたのはとてもよかったと思うし、ゲドとテナーが静かにオジオンの家で暮らすという結末(とはちょっと違うけど)も嬉しかったし。
「ファンタジーにフェミニズムを持ち込むな」という意見って、きっと「帰還」以降のロークの学院の保守的な長たちと同じ考え方の人たちなんだなあ、なーんて思ったりもして(汗)
私は、ファンタジーの世界に現実の思想が盛り込まれている作品の方が好きなんですけど、トールキンは「寓意」を物語に盛り込むのは嫌っていましたね。ル=グィンはもちろんトールキンの影響を受けているわけですが、果たしてトールキンは「ゲド戦記」を読んだらどんな感想を持ったのでしょうか。
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