ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

モーツァルト!

2010年12月27日 | ミュージカル・演劇
4回見たんですが、感想書けないでいるうちに全部観終わってしまったのでまとめ感想で・・・(汗)
3演目までは芳雄ヴォルフ2回、アッキー1回だったんですが、育三郎ヴォルフ参戦で2回ずつ見る羽目に・・・(汗)
育三郎くんはマリウスで見て「おっこれは」と思ってその後の活躍を楽しみにしてたんですよね。歌も上手いしかなり役に入り込んだ演技ができるし、ルックスも良くて華があるので(これ重要。上手くても華のある人意外といない・・・)これは先が楽しみだな、と。
で、次はきっとミス・サイゴンでクリスとかやるだろうなーと思っていたらやらず、思ってた路線と違うな・・・と思っていたところに今回の抜擢で、とても楽しみにしていました。
でも、制作発表で「僕こそ音楽」を歌うのを聴いたら、今イチかなーと・・・(汗)まだ稽古も始まってなくて、本人も後で「何も入れない状態だった」と言ってましたから、本当にただ歌っただけ、だったんでしょうね。
そんなこんなでやや心配もあったんですが、ぜひここで一気に飛躍して欲しいなあ・・・という期待もこめて2枚取ったんですが。

そんな育三郎ヴォルフの前に、まず芳雄ヴォルフから観ました。
さすが4演目で、演技もますます深くなってるなーという印象でした。特にやっぱり「影を逃れて」以降の狂気が増して行く演技がいいですね。はじける場面も楽しそうにやってたし。
しかし、何か物足りなさを感じてしまったのは・・・本人もトークショーとかで言ってましたが、毎回全力でやっているけれど、それでも初演の時の必死さとはどうしても違ってしまう、と。
韓国版でパク・ウンテさんやジュンスのヴォルフガングを観て(ジュンスのは直接は見てないですが)、初演の全身全霊を打ち込んだ、演技を超えた必死さとか熱さを観てしまったので、どうしても何かが物足りなく感じてしまったのではないかと・・・
でも、父親との愛憎・・・というか、父親への愛情かな、そういうのは芳雄ヴォルフが一番好きかな。
しかし、最後に羽根ペンを見て「僕こそ音楽」をリプライズするところ、なぜかあまり来ませんでした。前回まで一番泣けたんだけどなあ・・・演奏が遅くなったから?

で、育三郎ヴォルフですが。
のっけから飛んだり跳ねたり元気なヴォルフガング。そして「僕こそ音楽」では制作発表とはもう全然違って、気持ち入っていてすごく良かったです。ちょっとうるっと来てしまった。
思えば、芳雄ヴォルフは初演から一貫して「僕こそ音楽」とか前半の自由への希求みたいなものが物足りなかったんだよなあ・・・一路真輝さんのエリザベートが「私だけに」より後半が良いのと似てるかも。
育三郎ヴォルフはその辺のフレッシュな気持ちの高揚が上手くハマってましたね。
今まで観たヴォルフガングの中では歌的には一番劣るかもしれないんですが・・・いや上手いんですけど、今まで観て来た人たちがメチャクチャ上手い人ばかりだったので・・・アッキーにしろウンテさんにしろ・・・
でも、とにかく気持ちが入っていて、良かったです。リーヴァイさんにも見てもらいたかったな・・・
全体的に、元気いっぱいでかわいいヴォルフガングでした。思わずレオポルトに共感してしまいそうな(笑)かわいいからこそ心配してしまうだろうなあという・・・
一方で、役の解釈がすごくわかりやすい部分もあったりして。アマデに対しては「影を逃れて」以降はっきりと憎悪の気持ちを出していて、わかりやすいというか、なるほどなーと。
悪夢の後の「お前が悪い」というのも、ちょっと狂ってしまって、ではなくて本当にアマデのせいだ、と思っている感じで。その後つっぷして号泣してたのにもらい泣きしました・・・
魔笛の曲ができた時も、すごい曲ができて喜ぶのではなく、ぞっとしたような表情でアマデを観ていたのが印象的でした。(もしかしたら2回目に見た時はこの演技してなかったかも・・・)
レオポルトと決裂した後の「大人は自分の足で歩かなければ」というのも、狂気に入っていくというよりは本当にそういう風に目覚めた、という感じに見えました。
皇帝の前でのコンサートでレオポルトのところに行く時に、髪の毛や服を直して、いかにも嬉しそうに誉めてもらいに行く演技をしてたのが来ましたね~。この前後のレオポルトの演技もまた良かったので・・・
というわけで、一生懸命でかわいくて、目が離せないヴォルフガングでした。
もう終わっちゃいましたが、どちらのヴォルフガングがおススメかと言われたら・・・まあどちらでもokだと思うんですが、個人的には育三郎ヴォルフかなあ。気持ちで見せてくれたというか。観られるものならもう一回観たかったです。

市村さんのレオポルトは、二演目が一番良かったと思ってたんですが、今回はそれに近い感じで、かなり気持ちが入ってました。
よく言われますが、実際に父親になって変わった面もあるのかも? 冒頭の子ども時代のヴォルフガングが熱を出して心配するところ、なんかすごくお父さんって感じになってました(笑)
大人のヴォルフガングに対しても、なんか父親らしい優しさが増した気がしました。育三郎ヴォルフだと余計にだったかも(笑)市村さん、ラ・カージュ・オ・フォールでは育三郎くんのママ役でしたし・・・(笑)
市村さんは確かに歌が今イチなので、嫌だという人がいるのもわかるんですが、やっぱりあの父親としての演技が好きなんですよね。なかなかあそこまでの演技できる人で歌える人っていないですよね。
韓国版でレオポルトやった方が、声質は市村さんに似ていながら歌激上手なので、市村さんがこのくらい歌えたらなあ・・・なんて思ってしまったりもしたのですが(汗)やはり演技的に市村さんには及ばなかったので。
市村さんの「私以外の誰ができる」ってところで曲調と声の調子が変わるところが泣けるんだよな~。
「星から降る金」での演技も泣けますねー。「王様は息子を愛していた」のところの表情とか。
ナンネルが「もし私が男なら-」と歌うところで顔をそむけるところとかも、細かい演技で泣かせるんですよね。
今回一番来たのは、皇帝の前で演奏して喝采を浴びるヴォルフガングを舞台裏から見ているところですね。後姿なんだけどすごく嬉しそうにヴォルフガングの後をよろけながら追ってるんだけど、ヴォルフガングを前にすると表情をすっと引き締めてしまうという・・・育三郎ヴォルフの「誉められたい」演技との組み合わせで観ると、よりいっそう来ますね。
後姿だけでそういうの表現してしまうというのもやっぱりすごいなあと。
そんな訳でやっぱり私は市村パパが好きだなあと思いました(笑)

高橋由美子さんのナンネルは、今回父親よりに変えたということですが、そんなに変わったという感じはしなかったかな・・・というか以前よりも自然になったかもしれません。3演目あたりから夫との場面とかちょっとやりすぎかなーと思ってたので・・・
しかし童顔というか、子ども時代をやっても違和感がないのはすごいですねえ。
今回、子ども時代のしゃべり方がすごく「子どもをやってます」という感じの幼いしゃべり方になってたんですが、ちょっと違和感あったかな~。
しかし、韓国版見たあとだと、高橋由美子さんのナンネルのさわやかさに救われるなあなんか(笑)

男爵夫人は4回とも香寿たつきさんでした。敢えてです。なんか香寿さんの歌声以外で「星から降る金」を聴くという冒険を犯す気になれなくて・・・(爆)
香寿さんは歌が上手いだけでなく、ちゃんと語りかけるように歌ってくれるので好きなんですよねー。冒頭とか、香寿さんの歌声聴くだけでうるうるしてしまう・・・
「星から降る金」も、一つ間違うと男爵夫人のリサイタルになってしまうんですが(汗)ちゃんとモーツァルト父子の心情を歌ってくれるので、安心してBGMとして聴きながらモーツァルト親子に集中できるというか(笑)
男爵夫人の立ち位置というか役作りも、もう安心してみていられますね。
一路真輝さんの男爵夫人も結構好きでしたが、やっぱり私は香寿さんかなあ。

アマデは松田亜美ちゃん2回、黒木璃七ちゃん2回と女の子ばかりでしたが、女の子はかわいくていいですよねえ・・・
亜美ちゃんの方が大きくて、演技も上手い感じですが、璃七ちゃんは演技もできて、さらに幼い感じもミックスされてる感じでした。どちらもかわいかったですねー。カーテンコールの挨拶がまたかわいかった(笑)

島袋寛子さんのコンスタンツェですが、随分良くなってましたねー。台詞回しはまだぎこちないものの、歌はかなり良くなってたし。
実は前回公演の時から、結構キャラクターは掴んでるな、今までのキャストで一番掴んでるかも・・・と思ってたんです。特に「ダンスはやめられない」ではかなり気持ちが入っていて、なかなかいいんじゃないかなと。
でも、前回は全体的に技術的な未熟さが目立ったんですが、今回はかなりそのあたりが気にならなくなってました。そうなってみると、やっぱり今までで一番コンスタンツェのキャラクターを自分のものにしてるな、というのがわかりましたね。
歌いながら涙ぐんで声が震えてた場面もあったし。本当にコンスタンツェに気持ちが同化してるんだなあと。
コンスタンツェのナンバーはロックというかポップスというか・・・なので、彼女の歌い方も合ってると思いますね。
ウェーバー家でも、一人だけプリンシパルがいる、という感じで浮くのではなく、ちゃんと4姉妹って感じに馴染んでいるのもいいかなと思いました。
しかしウェーバー4姉妹、メンバーが変わってますます4重唱、3重唱が弱くなったなあ・・・初演の松たか子さんの時が一番きれいだったなあ4重唱・・・

吉野圭吾さんのシカネーダー、4演目でまだまだ笑わせるのはすごいなあと。なかなかこういうキャラクターできる人いないですよね。

というわけで、演出がそんなに大きく変わらないので(振り付けとか変わってましたけど・・・)、ついキャストの感想ばかりになってしまいましたが。
育三郎ヴォルフが良かったなあ~というのが一番の感想かなあ。
やっぱりこの作品好きなので、また再演して欲しいですね。(すると思いますが)また育三郎ヴォルフ観たいなあ。
来年の韓国版再演も楽しみです。韓国版の演出にはちょっと馴染めないところもあるんですが、パク・ウンテさんのヴォルフガングが楽しみです。ジュンスもチケット取れたらみたいものですが・・・
コメント
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