ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

イースタン・プロミス(ネタバレ)

2008年07月06日 | 映画
ヴィゴがアカデミー主演男優賞にノミネート! というのがなんだか信じられないような気がしていた(?)この作品、ようやく日本でも公開の運びとなりまして、見てまいりました。
私的にはハワード・ショアのサントラも注目なのですが。なんだかやけにサントラの評判も良いし・・・
実際観てみて、主演男優ノミネート納得でした~。いやーカッコイイですねえ、ヴィゴさん。私的にはそんなにすごいファンでもないんですが(カール・アーバンとかディヴィッド・ウェナムさんの方が好きだし)、これは文句なしにカッコ良かったです。
何を考えてるんだかわからないミステリアスなところと、時折見せる優しさ、茶目っ気・・・(ステパン伯父さんに「俺はKGBにいたんだ」と言われてちょっと面白そうに応対するところとか好きだなー)素晴らしい演技だったと思います!
ロシアなまりの英語も素晴らしい。ただ、ロシア語は微妙な感じでしたが・・・(汗)なんかエルフ語喋ってるみたいだったなあ。(でもまあカール・アーバンよりは上手かったですよ(笑))
そういや、キリル観たことあるなあと思ったら、ヴァンサン・カッセルさんでしたかー。彼結構好きなんですよね。(の割りにキャスト観るまで気がつかなかったけど・・・)彼も非常に人間的なキャラクターで、良かったです。
あと、マフィアの親分ですねー。人の良さそうなレストランのオーナーとロシアマフィアの顔のギャップがすごかった・・・というか、マフィアの時も基本的ににこやかなのが怖かったというか・・・彼も素晴らしい演技でした。
後は、ナオミ・ワッツも素直に良かったですね。一つ間違うといい子すぎなキャラクターなんですが、彼女自身の決して恵まれているわけではない境遇や(アパートの古ぼけた部屋の様子とか)、真摯な気持ちに、素直に打たれました。

ここからストーリーのことを。ネタバレになりますので、これからご覧になる方はご注意ください。重大なネタバレには反転文字を使いますが、これからご覧になる方はそれでも読まない方が良いかと思います。
クローネンバーグ作品はどうもとっつきにくいイメージがありますが、この作品は普通に面白く観られました。単純にストーリーに引き込まれたというか。
従来の作品よりもエンターテイメント性を前面に出した、という評もあるようで、なるほどとも思います。
何よりも、ハッピーエンド・・・というか、正義が勝つ内容だたのにびっくりしてしまいましたね~。アンナと家族、絶対ただじゃすまないと思ったもんなあ。
ただ、ややひっかかるところも。
作品の内容を知った時、「なんでカナダ人がロンドンが舞台のロシアマフィアの話を?」と思ったんですよね。
観終わって、そのあたりがなるほどなーと思いました。
この作品で描かれていたのは、ロシアマフィアの人身売買を非難すること、ではなく、貧しい環境から悲劇に陥った哀れな少女の思い、でもなく、アンナとニコライの物語だった、と思いました。
哀れな少女を思い、赤ちゃんへの愛情から、危険を顧みず正義を貫こうとするアンナと、内に優しさと人間性を秘めながら、ロシアマフィアの中で自らの闘いを貫こうとするニコライの。
それはそれで非常に見ごたえがあったし、二人の演技も素晴らしかったし、過酷な状況での人間性というか人間愛の姿に感動もしたけれど、よくよく考えると、ロンドという舞台とロシアマフィアという設定は、別に他の場所、他の設定でも良かったんだな・・・と思いました。
敢えてロンドンを舞台にした理由は、なんとなくわからないでもないです。これがN.Y.とかアメリカの街だったとしたら、雰囲気は大分変わっていたと思います。ロンドンならではの暗さは非常に良かったです。
でも、カナダ人である監督の自らの生地から遠いロンドンを舞台にしたことで、非日常的な舞台になっているというか・・・極端な言い方ですが、一種「おとぎ話」的な雰囲気を醸し出していたような気がしました。(随分と陰惨なおとぎ話ですが・・・(汗))
そのあたりが、なんとなく、前作の「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」よりも掘り下げが浅いような気がしてしまいました。異国で生きるロシア人の哀しみ、みたいなものの掘り下げ方はもう一つだったかな、と・・・
でもまあ、一つの作品として、明らかに「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」よりも面白かったし、まとまっていたと思いますが。
R-18と聞いて、どんだけエグいのか、と心配してましたが、概ね普通に観られました。サウナでの格闘とか、さすがにちょっと目を逸らしてしまいましたけど・・・(ヴィゴのヌードに、ではないですよ(笑))
床屋で首を切るところとか、「スウィーニー・トッド」の方がエグかったです・・・喉がゴロゴロ言っちゃったりとかして。
血は無駄に飛び交ってましたけどね・・・
終盤の意外な事実には、ああだからか・・・と色んなことに納得。ニコライの相手をした娼婦が警察に連れて行かれたのはニコライが助けたんだなということとか。
最後はハッピーエンド、ということになると思いますが、単純なハッピーエンドには思えなかったんですが。
深く組織に入り込み過ぎたニコライは、本当にただ組織を壊滅させたいだけなのか。そこには組織の頂点に登り詰める、という高揚感もなかったのか・・・
もちろん、これから組織を壊滅させるのにも、一筋縄では行かない困難が待ち受けているはずで、無事に生き残れるかわからない。

そんな中で、アンナとの出会いと、アンナと赤ちゃんを無事に守れたということは、これから困難な道を歩んでいくニコライの心に束の間残された暖かい想い出だったのかな、と思いました。・・・やっぱハッピーエンド?

サントラは、評判どおり素晴らしかったです。
ショアのサントラって、効果音のごとく背後で不気味に鳴っているようなイメージがありますが(汗)今回はかなり普通に耳に入ってきました。
いつもの、ストーリーに埋もれてしまうくらいに画面と違和感がない音楽、というよりは、もっと音楽が自己主張している?ような気がしました。陰惨な世界の中に、美しい音を鳴らすというアンバランスさによって・・・
実際、ソロヴァイオリンの美しい音色は、うわ若き美女(ニコラ・ベネデッティ)が弾いていると知っているので、余計にそんな感じが。
陰惨な場面に流れる美女が弾く(笑)美しいヴァイオリンの音色は、若くして悲劇の死を遂げたタチアナをあらわしているのか、それともニコライの前に現れたアンナをあらわしているのか・・・両方かな。
最後、ニコライとアンナがわかれを告げてからは、ヴァイオリンの音はもう鳴らず、クラリネットの寂しげな音だけが流れます。(クラリネット大活躍!)
タチアナの無念が晴らされたからか、ニコライの前からアンナが去って行ったからか・・・
テーマ曲の三拍子の物悲しいメロディも素晴らしいし、(バックにダルシマーのような音が入っているのがさり気なくロシアっぽくて良いです)レストランのシーンでは実際ロシア音楽のようなメロディも流れていてこちらもgood。
エンドロールでサントラが流れるのを聴いていたら、なんだかじわじわと泣けて来てしまいましたよ。
「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」の時は、中途半端にLotRっぽいと評判悪かったショアですが(汗)今回は文句なしで素晴らしかったです。CD買っちゃおうかなあ・・・(まだ考え中)

というわけで今年見た映画の順位。
1.イースタン・プロミス / 2.マイ・ブルーベリー・ナイツ / 3.ナルニア国物語第二章 カスピアン王子の角笛 / 4.エリザベス ゴールデン・エイジ / 5.スウィーニー・トッド / 6.転々 / 7.ライラの冒険 黄金の羅針盤 / 8.奈緒子 / 9.L Change the World / 10.マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 / 11.カンフーくん / 12.ポストマン
なんだかんだ言って堂々の一位ですね~

ついでに、これから観に行く予定の映画をリストアップしておきます。なんかたくさんあるので忘れそうなので(汗)
公開中 「西の魔女が死んだ」「ミラクル7号」
7月12日公開 「闘茶」
7月19日公開 「たみおのしあわせ」「崖の上のポニョ」
8月9日公開 「コレラの時代の愛」
8月23日公開 「デトロイト・メタル・シティ」「スターウォーズ クローンウォーズ」
8月30日公開 「20世紀少年」
夏公開 「TOKYO!」
9月公開 「グーグーだって猫である」「コドモのコドモ」
10月公開 「ブーリン家の姉妹」「レッドクリフ」
冬公開 「ハリー・ポッターと謎のプリンス」
まだあったかなあ? 挫折して行かないのもあるかもしれませんが、一応今のところこんな予定です。
コメント (5)
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