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ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

力の指輪サントラ トラックごと感想その1

2022年08月25日 | 指輪物語&トールキン

さて、8/20に配信開始となった、力の指輪のサントラのトラックごと感想を書いていきたいと思います。

39曲もあるので、さすがに何回かに分けますね(^^;)

そして、トラックごとと言いつつ、順番には書かないことにします。

まず、登場人物や場所の名前がついているトラックから先に感想を書きます。おそらく昨日の記事で書いた、ベアー・マクリアリーさんのインタビューによると「15のテーマ」にあたると思います。

どれが15になるのかはよくわからないと昨日書きましたが、だいたいわかりました!ベアーさんが言う「イントロ、Aパート、Bパート、展開部」の構成になっている曲です。

これによると2Galadriel 3 Kazad-dum 4Nori Brandyfoot 5The Stranger 6Numenor 7Sauron 8Valinor 10Elrond half-elven 11DurinⅣ 12Harfoot Life 13Bronwyn and Arondir 14Halbrand 18Elendil and Isildur 15Nolwa Mahtar  16Nampat の15曲になるかと思います。

Nolwa MahtarとNampatはテーマなのか?とも思いますが、場面につけた音楽とも違う気がするので、多分…です。この2曲は何のテーマなのかというのも気になります。(テーマだったとしてですが。Nolwa Mahtarはコミコンの組曲で使われていたので何かしらテーマだと思うのですが)

ケレプリンボールやギル=がラド、リンドンなんかのテーマはないんだなーとか。

この他のトラックは、複数のテーマが出てきていて、実際のドラマで使われた場面の音楽が元になっているだろうと思われます。

まず各登場人物や場所のテーマを聴きこんで、それからその他のトラックの場面予想の形で感想を書いてみたいと思います。

 

前置きが長くなりましたが、本題のトラックごとの感想に行きます。

1.The Lord of the Rings:The Rings of Power Main Theme

ハワード・ショアによるメインタイトル曲です。おそらくオープニングで使われるのでしょうね。

昨日の記事でも書きましたが、ベアー・マクリアリーさんの曲とは全く別に作られ、相互の関係はあまりないようです。ちょっと残念…

ベアーさんの曲にもすっかり満足していますが、やはりショアさんの曲を聴くとなんだかなつかいようなほろりとした気持ちになります。

これは、曲が意外に優しくて明るい感じなことも関係しているかもしれません。どういうコンセプトで作られたのかは気になりますね。

まず、以前の記事でも書きましたが、LotRサントラに登場した、裂け谷のテーマと一緒に流れていたWeakness and Redemptionというモチーフと似たようなメロディがホルンで、次いで弦楽器で優しく奏でられます。

Weakness and Redemptionはわりと影のある場面で使われることが多かったですが(Anironのイントロなど。裂け谷のテーマと一緒に流れる時は明るいですね)、ここでは明るく、優しいメロディになっています。

続いて出てくるメロディは、RotKのバラド=ドゥア崩壊の場面や戴冠式で出てきたGondor Rebornというテーマと似ています。やはり明るく優しいメロディです。

それが女声合唱に引き継がれ、次第に短調になり、妖しい雰囲気になって行きます。

そして冒頭に出てきたフレーズが金管楽器によって短調で不穏な雰囲気で演奏されます。混声合唱も加わり、さらに不穏になったところで、二つ目のメロディが弦楽器で優しく流れますが、やがて物悲しくフェードアウトして行きます。

どういうシチュエーションなのかと思いますが、オープニングの映像のイメージにある程度合わせて作られたとかでしょうか。(通常音楽に合わせて映像を作るものかもしれませんが…)

 

2.Galadriel

先行配信されていたこの曲については以前の記事 力の指輪の音楽担当について - ぐらのにっき  に書いています。 

追記すると、戦闘シーンから悲しみに暮れるシーンまであらゆる場面で使える、大河ドラマのテーマ曲みたいだなと(^^;)

RoPのガラドリエルの主人公ぶりがうかがえます。

 

3.Kazad-dum

低弦楽器と打楽器の伴奏に男声合唱や金管楽器が流れる、いかにもドワーフらしい楽曲です。

が、個人的にはショアさんの楽曲と比べて、重厚さと深みが足りないなあ、思ってしまいました。ドワーフについての解釈違いと言えるでしょうか(^^;)音楽がそうなのか、RoPのドワーフがそうなのかはわかりませんが。

ただ、勇壮な音楽が弦楽器の流れるようなメロディに移り変わり、女声合唱が入るあたりは、LotRサントラにはない新しいバターンで、こういうところは好きだなあと思います。

 

4.Nori Brandyfoot

ホビットの先祖、ハーフット族の少女エラノール(ノリ)のテーマ曲。

ホビットらしく?最初は木琴、ダルシマー?の伴奏に、LotRサントラでもおなじみのティンホイッスル(多分)で素朴なメロディが流れます。こちらもLotRサントラでおなじみのバウラン(アイリッシュフレームドラム)も多分伴奏に入っています。バグパイプも聞こえるかな?

正直、ちょっといろいろな楽器を詰め込み過ぎじゃないかという気もしますが(^^;)素朴でかわいらしくて、好奇心旺盛なハーフットの女の子のイメージにぴったりですね。

やがてメロディが弦楽合奏に移り、素朴なだけでなく、哀愁も漂う良いメロディだなあということに気が付きます。

最後にはローホイッスルで冒頭より少し物悲し気な雰囲気で終わります。

これもガラドリエルとはまた違うバターンで主人公ぽい曲だなあと思ったりしました。

 

5.The Stranger

彗星とともに現れる謎の人物「よそびと」(the stranger)のテーマ曲。8月21日付の記事 力の指輪サントラ ファーストインプレッション - ぐらのにっき でも書きましたが、今年1月に公開された第一弾予告の後半に出てくるメロディがこの「よそびと」のテーマであることがわかりました!

神秘的なような、おどけたような4分の3拍子の伴奏に乗せて、よそびとのテーマがチェロで美しく流れます。ここでは物悲しい雰囲気です。

そのあとも木管楽器やチェンバロ?、ヴァイオリンなどでメロディがひたすら繰り返され、混声合唱も入り少し盛り上がった後、コールアングレでBパートのメロディが流れ、最終的にはフルオーケストラと混声合唱で盛り上がったあと、物悲しい伴奏で終わります。

よそびとの正体は色々取り沙汰されていますが、よくわからないというのが正直なところ。このテーマ曲を聴くと、どこか悲しい、決して悪い人ではない気がしますが、ところどころ不気味な部分もあり、やはり正体は良くわからないですが…

後の方でも少しこのテーマが変化して出て来ますので、音楽からも「よそびと」の正体に迫れたら面白いかなと思ったりしてます。

 

6.Numenor

トレイラーでも一部流れましたが、壮大かつエキゾチックでとても印象的な曲です。

まずはアジアっぽい弦楽器で始まり、ついでまたアジアっぽい打楽器の伴奏のもと、混声合唱が入り、さきほどの弦楽器とホルンのユニゾンでメロディが演奏されます。これカッコいいなあ。エキゾチックでありつつも、オーケストラで端正に演奏されると、壮大さも感じられて、絶妙な作曲だなあと思います!

メインのメロディラインだけでなく、打楽器のリズムもヌーメノールを表すモチーフですね。後から色々出て来ます。

メロディとかぶさる混声合唱の上から音階が下りてくるフレーズもヌーメノールを表しているでしょうね。

 

7.Sauron

この曲も8/21の記事で言及しています。力の指輪の音楽担当について - ぐらのにっき

LotRサントラのサウロンのイメージを踏襲しつつ、今風のアグレッシブさもあり、絶妙だな~と思います!

 

8.Valinor

幻想的でありながらもどこか暖かく懐かしいような、美しいメロディが子どもの合唱で流れます。途中から混声合唱も合流します。

最初女声合唱かと思ったのですが、子どもの合唱ですよね。あどけない無垢な感じも良いですが、女声合唱の方が神秘的に感じたかなあなんて思いました。

この子どもの声のあどけなさがヴァリノールのイメージなんでしょうか。あ、予告に出てきた遊ぶエルフの子供たちのイメージかな…

そうすると、もしかしたらガラドリエルの思い出の中のヴァリノールなのかもしれませんね。

 

という訳で、まず8曲、登場人物や場所などのテーマ曲の前半を上げました。次回はテーマ曲の後半を書きます。


力の指輪サントラ ベアー・マクリアリーさんのインタビュー記事

2022年08月22日 | 指輪物語&トールキン

力の指輪サントラのトラックごと感想の前に、作曲のベアー・マクリアリーさんのインタビュー記事の紹介をしたいと思います。

サントラを読み解くのに必要な情報も入っているので、先に紹介したいと思います。

 

Bear McCreary Talks Scoring ‘Lord of the Rings: The Rings of Power’ as Soundtrack Is Released Worldwide

Bear McCreary Talks Scoring ‘Lord of the Rings: The Rings of Power’ as Soundtrack Is Released Worldwide

Composer Bear McCreary has scored some of the seminal sci-fi and fantasy series of our time, from “Battlestar Galactica” to “The Walking Dead&#...

Variety

 

まず、ベアーさん子供のころからトールキンやPJ映画のファンだったそうです。この情報だけでも信頼できますね。

ここで注目発言。新しく作ったテーマは15あるそうです。意外と少ないな…LotRは3作合わせてですけどテーマ・モチーフ100以上ありましたからね。

ただ後の方を読むと、Aバート、Bパート、イントロ、展開部と結構長い曲みたいなので、アルバムに入っているメインとなるテーマだけを言っているのかもしれません。

でも、そうだとしてもイマイチ15という数字が合わないような…どれが15に入るテーマなんですかね。

LotRみたいに細かいモチーフを多用する形ではないのかな。まあモチーフ探すの楽しいけど大変なので、気にしないで良いなら少し気が楽です(笑)まあまだわかりませんけどね…

このテーマの作曲に2か月かけたそうです。

シーズン1の音楽のレコーディングはロンドンで4日間で行われたそうです。ドラマにしては規模が大きいのでしょうけど、映画よりは短めの日程ですかね。(LotRが長いだけかもしれないですが(^^;)

ベアーさんは最終話の音楽のみ指揮することができたそうです。

ハルダンゲル・フィドル、ニッケルハルバ、バグパイプ、バウランなどの民族楽器も色々使われているそうです。

ハルダンゲル・フィドル、ハルブランドのテーマで使われていますね!ニッケルハルバもハルブランドのところで使われていたかな。(ニッケルハルバはスウェーデンの民族楽器なんですね。)バウランはLotRホビットでも使われたアイルランドの太鼓…イマイチ聴き分けできないんですけど(汗)バグパイプも初登場ですね。

8.25訂正追記 ハルブランドのテーマに使われている楽器はハルダンゲル・フィドルではなく、ニッケルハルバだと思われます。

2024.8.27訂正追記 ハルブランドのテーマの楽器、結局ハルダンゲル・フィドルとニッケルハルバがユニゾンで弾いているらしいです(^^;)

他にもヌーメノールのテーマで明らかに中東っぽい弦楽器も使われてますね。ハーフットの音楽ではダルシマーのような打弦楽器も使われているように思います。バグパイプもここかな?

コーラスもLotR同様多用され、歌詞も原作にあるものか、言語のエキスパートが作成したものだそうです。このあたりはLotRサントラを引き継いでいますね。使用言語はクウェンヤ、シンダリン、クズドゥル、ブラックスピーチ、そしてアドゥーナイク(西方語)だそうです。今回はLotRではほとんど出てこなかったアドゥーナイクがたくさん出てくるのではと期待されていましたね。

シーズン1の音楽は9時間あるそうです。だいたい三部作分くらいか…テーマを作るのに2か月、そのあと9時間分の音楽を作るのに8か月かかったそうです。しかもその間関係者以外には全て秘密で…大変だったろうなあ(^^;)

ショアさんのメインテーマはベアーさんとは全く別に作られたそうです。ということはショアさんのメインテーマの中から劇中に使われるテーマ・モチーフが発展していくということてはないのかな。

そして、LotRとRoPの音楽の違いについては、つながりはあるけれど、違って聞こえるはずだと。LotRホビットのショアさんのスコアには哀愁があったけれど、数千年前のRoPでは様々な種族がその社会の絶頂を迎えているという違いがあると。RoPを観たあとにPJ映画を見る人がいたら、音楽につながりを感じてくれたら嬉しいと言っています。

 

という訳でインタビューの中から、今後サントラを聴くにあたって知っておくと良いかなと思ったことをざっくり取り上げてみました。

これを踏まえて聴きこんで行きたいと思います!


力の指輪サントラ ファーストインプレッション

2022年08月21日 | 指輪物語&トールキン

力の指輪のサントラ全39トラック(うち2曲はamazon限定)が配信で解禁になりました。

amazon musicでストリーミング配信のみです。

ドラマ全話配信完了後の10月にCDとレコード(!)が出るみたいですが。日本のアマゾンでも取り扱うでしょうか。

 

で、昨日頑張って全曲聴いてみました。2時間半もあるんですね…(汗)

後でまた聴きこんでトラックごとに感想とか書いてみたいと思ってますが、とりあえずは1回聴いたファーストインプレッションとしての感想で。

先行配信されていたガラドリエルとサウロンは除きます。

ドラマの内容を予測する内容もありますので、ネタバレ回避の方はご注意ください。特に配慮はしませんが…

 

まず一番驚いたのが、6 The Strangerですね。

幻想的で奇妙なサウンドの中に出てくるこのメロディラインは…第一弾のタイトルロゴ作成トレイラーの後半に出てきたフレーズではないですか!

 

7月25日の記事でも書きましたが、サンディエゴコミコンで演奏された組曲で使われた4つのテーマのうち一つがこのテーマでした。

まさかこんな最初から使われていたとは…!重要なテーマなんだろうなとは思っていましたが、よそびと(The Stranger)のテーマとは想像の域を超えていました…!

以前の記事にも書いたのですが、ちょっとLotRサントラの一つの指輪のテーマとも雰囲気が似てるんですよね。(あくまで雰囲気で、具体的に類似性があるわけでないのですが)

後の方、37のmysticsでサウロンのテーマに近い雰囲気の音楽と絡んでいるので、やはりよそびとはサウロンと関係があるのか?狙われているとかかもしれませんが。

 

続いてびっくりしたのは、14 Halbrandですね。ハルブランドのテーマ、なんとローハンのテーマで使われていたノルウェーの民族楽器、ハルダンゲル・フィドルで演奏されているんですね!

後の方の曲でもちょくちょく出て来ますが、結構フィドルで演奏されているように思えました。かなり意図的にハルブランドの楽器として使われているように思います。

ハルブランドは、ポスターで馬の形の柄の剣を持っていたなど、ローハンと関係があるのでは?と言われているようですが、ハルダンゲル・フィドルを意図的に使っているなら、この仮説がかなり裏付けられるということでは…!?

ちなみに、もしかしてハルダンゲル・フィドルではなくて普通の?フィドルかな?とも思ったのですが、ベアー・マクリアリーさんがインタビューでハルダンゲル・フィドルも使っていると言っていると教えていただいたので、間違いなさそうです。

8.24追記 何度か聞いているうちに、ハルダンゲルフィドルではなくてニッケルハルバでは?という気がしてきました(^^;)ニッケルハルバも使っているsとべアーさんインタビューで言っていました。ニッケルハルバはスウェーデンの楽器なんですね。まあ北欧つながりはありますが…(^^;)

 

それから21 Nolwa Mahtarでは、これも7月25日の記事で書いた、サンディエゴコミコンで演奏された組曲の冒頭と最後で使われたコーラスが。これも前に書いたように、FotRの映画で使われなかったプロローグに出てきたコーラスとよく似てるんですよね。

 

そして21 The Wandering Daysですが…これタイトルから言って第四弾予告で使われていた歌だろうな、と思っていたのですが…

 

なんと、全然違う!長調だし!

どうやらこの曲の短調版が予告で使われた歌のようですが…短調版は本編でも出てくるのでしょうか。まさか予告用ってことはないですよね…?(^^;)

 

全体的に、意外とLotRホビットサントラと似たフレーズはなかったな、という感じです。もちろん既出で言及しているものは別ですが。

でも本編映像でこのアルバムに入っていない曲でLotRに似たの出てきてたよな…という訳でまだ全然油断(?)できませんが。

 

最後に、ショアさんのメインテーマについて。ベアー・マクリアリーさんの曲も良いな、と思っていましたが、やはりショアさんの曲を聴くとなんだかホッとするというか、ああ、ショアさんだ…と思ってほろっとしてしまいました。

全体的に意外と明るくて優しい雰囲気で(後半変わりますが)、どういうコンセプトでこの曲なのかな、と気になります。

冒頭のフレーズは裂け谷のテーマなどと一緒に演奏されているアルペジオのフレーズ、Weakness and Redemptionに似ています。続いて出てくるフレーズはRotKのバラド=ドゥア崩壊や戴冠式で流れたGondor Rebornと似ています。

 

という訳でとりとめもないサントラのファーストインプレッションでした。

ちなみに、配信ドラマでサントラが配信前に、しかも全部まとめて配信されるのは珍しいことのようです。確かにマーベルドラマなどでは毎話配信後にサントラを都度配信、とかやってましたね。

この一気に配信のおかげで、事前に聴きこんでドラマのどんな場面で使われる音楽か、というのを予想して遊べるな…ということに気が付いてしまいました(^^;)

映画のサントラだと公開されれば全部解禁ですが、ドラマだと後の方の場面のサントラはなかなか登場しない=どんな場面か予想して楽しめる期間が長くなる、ということですね。(そんな聴き方する人そんなに多くないと思いますが(^^;)

 

次回以降は、サントラをトラックごとに聴いて感想や考察を書いていきたいと思っています。何回かに分けて長期戦になりそうです(^^;)


力の指輪サントラ ヌーメノールのテーマとカザド=ドゥムのテーマ

2022年08月16日 | 指輪物語&トールキン

配信が近くなり、トレイラーやクリップも色々出てきていますが、その中で気になったものについて。

まずはベアー・マクリアリーさんのこちらのツイートから。

 

作曲者ご本人が「これは…私が聞いているのは永く失われていたヌーメノールのメロディなのか?」なーんて言ってますけど(笑)ご本人が言っているのだから間違いなくヌーメノールのテーマなんでしょうね。

ヌーメノールのテーマ、RotKサントラのゴンドールのテーマと似てたりするのかな、と予想してもいたのですが、直接的には関係なさそうですね。

壮大な王国を感じさせつつ、半音階で音が下がってみたりと、神秘的な雰囲気もあって、これがヌメノールか!という感じですね~

ベアーさん自身も自信作のようなので、全体を聴くのが楽しみですね。

あと、このトレイラーでとても気になるのは、最初の部分と最後の部分、先日のサンディエゴコミコンで演奏された組曲の一部なんですよね…あれ録音もしてたの!?私演奏用の組曲であの場限りのものかと思ってたのですが…(^^;)

そしてもう一つ。こちらは5秒の短いクリップですが、カザド=ドゥムのテーマが使われていると言われています。

 

いかにもドワーフっぽい音楽ですが、男声合唱が使われている以外はLotRホビットのドワーフの音楽と直接的につながっているところはなさそうです。と言っても5秒だけじゃわかりませんけどね(^^;)


力の指輪本編映像の音楽他

2022年08月13日 | 指輪物語&トールキン

先日トールキンおたくとしても有名なスティーブン・コルベアさんのThe Late Showに力の指輪のガラドリエル役モーフィド・クラークさんがゲスト出演した際に、力の指輪の本編映像が流れたそうです。

本編映像ですから、音楽も本物?ですよ。

 

ここでまたLotRサントラそっくりフレーズが登場しています。

0:36あたりから、女声合唱が元の音を残しつつ1音ずつ下がって行ってハーモニーが重なるフレーズです。

これ、LotRだとRotKの馬鍬砦でアラゴルンがアンドゥリルを受け取った時に、母ギルラインの言葉を言う場面の音楽にそっくりです。またかよ…という感じ(^^;)もう本編ずっとこんな感じなんですかねー

RotKだとヴァイオリンで演奏されているんですが。音も半音ちがって、RotKではBで始まるんですが、RoPでは半音低いB♭から始まります。

場面としてのつながりはあまり感じられないのですが、もう無関係ってことはないですよね。どういう意図で使われているのか気になります。

あと、前回の記事で書いたコミコン演奏の最初のコーラスですが、FotRの映画で使われなかったバージョンのプロローグでどんな場面に使われていたか想像すると、順番から言って最後の同盟とサウロンの戦いかなあと思われます。思いっきり第二紀じゃないですか(^^;)

この辺の使われ方も気になるなーと思います。

いよいよ配信開始まで3週間、始まったら色々ありそうだなーと。情報量について行けるかな。今もすでについて行けてませんが。

そして配信前にまだ色々出てくるでしょうね。ショアさんのメインテーマはいつ出てくるのか?


力の指輪最新予告の音楽とコミコンのサントラ演奏

2022年07月25日 | 指輪物語&トールキン

どんどん情報が更新されるので記事も続きます…

サンディエゴで開催されているコミコンに合わせて、予告第5弾が公表されました。

 

英語版はこちら。

 

 

また音楽の話だけします。

冒頭、聴いたことあるようなヴァイオリンのフレーズ、次いで女声コーラスが流れ、「あれ、ロスロリアンのテーマ!?」と思わせて女声コーラスが違う音に進みますが、ここから始まるメロディーが前日に発表されたガラドリエルのテーマなんですね…(英語版の方が音楽が良く聞こえます)

これはもう明らかに意図的にロスロリアンのテーマをアレンジしていますよね。ということは第4弾予告冒頭のWeakness and Redemptionテーマっぽいフレーズも意図的に使っている…!?

以前の記事で、似てるのは偶然じゃないか、とか書きましたけど、こうなると意図的にLotRサントラのフレーズに似せて持ってきていたということですかね。

私が「違う」と断言していたのは、ショアさんがこういう音楽の使い方はしないはず、して欲しくない、という気持ちがあったのですよね。安易に既存の音楽を使ってほしくない、使うなら同じテーマ・モチーフにしても新しい形で出して欲しいと。

でも、メインの音楽担当はベアー・マクリアリーさんとわかりましたので、まあ、他の人がやるならいいかな…むしろリスペクトだよな、という気持ちになりました。

音楽はわりとガラドリエル祭りで(^^;)様々なシチュエーションで様々な楽器でガラドリエルのテーマが出て来ます。サントラが解禁になったから早速使いまくられているような(^^;)逆に言うと他のキャラクターのテーマはまだ秘密なんですかね。

全体として、今度はほぼベアー・マクリアリーさんによる音楽だなと感じます。予告用なのか本編にも出てくるのかはわかりませんが。最後の方はいかにも予告編の音楽っぽいアレンジですけど。

ドゥリン四世が出てくるあたりからの打楽器のリズムはカッコいいですね。モリア関連の音楽でしょうか。

そして、J.R.R.TOLKIENというロゴが出てくるあたりのコーラスについては後述します。

 

サントラ発表の興奮も冷めやらぬ中、翌日にはサンディエゴコミコンで力の指輪の大がかりなパネルが開かれました。

その冒頭で、ベアー・マクリアリーさん指揮のもと、サントラの生演奏が行われたのです!

ベアーさんが後でツイッターで「symphonic suit」と言っていたので、演奏用の組曲と言ったところでしょうか。

実は演奏の様子が動画で上がっていたりして、ちょっと著作権的にどうなのかと思うのでリンクは貼りませんが、この組曲を聴くことができてしまいました。

まず冒頭は壮大な混声合唱で始まりますが、なんかこれ聴いたことあるな…FotRのプロローグの、映画本編では使われなかったけど、サントラCDとLotRシンフォニーで流れるコーラスと似てるんですが…

さきほど後述すると言った予告編第5弾のコーラスも似てるんです。全て音程は違うんですが…(FotRプロローグはAm、コミコンの演奏ではDm、予告編ではCmで始まります)

今までだったら偶然で済ませるんですけど、ここまで来ると無関係とはちょっと言えない気がしてしまいます…組曲の出だしを飾っているので、何らかのテーマ・モチーフではあると思うのですが。

そして中盤に流れたメロディを聴いてあっ!となりました。これ、7.22付の記事で書いた、第一弾予告のタイトルロゴ作成トレイラーの後半で流れていたフレーズでは…またしても音程が違うのですが。(予告第一弾ではG♯から始まるのですが、コミコンの演奏では1音半低いFで始まります)

この第一弾予告、7.22の記事でも書いたのですが、あまりにもショアさんに似たフレーズばかりなのでショアさんの曲か?と思いきや違うとのことで、いったい誰がこんなそっくりな曲を…どんな職人技?と思っていたのですが、もしやベアーさんの仕事だったのですね?!

結構長々と演奏されていたので、割と重要なテーマなのかな…という感じです。ちょっと雰囲気が一つの指輪のテーマと似てるんですよね。予告の画面が指輪の鋳造を思わせる映像だし…(実はタイトルロゴを作ってたんですが)ドラマ冒頭ではまだ力の指輪は一つも作られていないはずですが。

このコミコンの演奏では、最初のコーラス・ガラドリエルのテーマ・サウロンのテーマ・タイトルロゴで流れたテーマ、の4つで主に構成されているようなので、現在発表されている音楽のみで作った、現時点でのコミコン用組曲かな、と思っています。(最初のコーラスはどうなの、というのはありますが(^^;)もしかすると本当に今回しか聴けないレアな組曲かも。

このドラマの主人公はガラドリエルだけではないですから、他の登場人物たちのテーマも色々あるでしょう。(ノリのテーマは第4弾予告のあの歌かな?)今から楽しみです。

しかし、メイン音楽担当がショアさんじゃないという噂を聴いて以来、似て非なる音楽になるのだろう、でもそれも面白いな、と思っていたのですが、まさかここまでLotRサントラから色々取り入れて来るとは思いませんでした。前回の記事で「ショアさんの雰囲気を引き継ぎつつも、LotR・ホビットと同じテーマ・モチーフは使わないだろう」とか書いたのですが、全然使ってくれそうですね(^^;)

ベアーさんのアレンジ力が天才的で、しかもオリジナルの曲も素晴らしいことがわかったので、今後は安心して音楽を楽しみにしていたいと思います。

そして、ショアさん作曲のメインテーマ曲ですね~。ベアーさんの曲が良いのですっかりハードルが上がってしまいましたけど(^^;)どんな曲なのか楽しみです!これは配信当日まで秘密なんでしょうかねえ。


力の指輪の音楽担当について

2022年07月23日 | 指輪物語&トールキン

昨日「力の指輪」の予告第4弾の音楽について色々書きましたが、翌朝に新情報が色々入ってきました。

まず、噂の段階だった、ハワード・ショアとベアー・マクリアリーの二人体制という話がとうとうメディアで報道されました。

https://www.rollingstone.co.uk/tv/news/bear-mccreary-confirmed-as-composer-of-the-lord-of-the-rings-the-rings-of-power-20549/

これによると、ショアさんはメインテーマ曲のみを担当、メインの音楽担当はベアーさんということになるようです。

これで、予告の音楽にショアさんがかかわっている可能性はほぼ0になりましたね。

多分ベアーさんも基本的には作っていないと思います。第4弾の歌のように部分的に使われたりする他は。

あの歌はベアーさんの作曲のように思うのですが、そうするとショアさん作曲のメインタイトルではない?

メインタイトルの一部に入っている可能性もなくはないと思いますが、ベアーさんの曲のような気がするなあ。という予想にしておきます。

 

この発表に合わせて、amazon musicで「力の指輪」のサントラのうち2曲が聴けるようになりました!

 https://www.amazon.co.jp/music/player/albums/B0B622F18N

Youtubeにも上がっているようですが、公式ではないようなのでリンクは貼りません。

GaradrielとSauronの2曲ですが、どちらもカッコいい!

ガラドリエルは、予告の印象だとかなり勇ましいですが、この音楽だと悲しさと優しさも包括した感じですね。美しいメロディラインにちょっとうるっと来てしまいました。

ハープの印象的な伴奏からホルン→フルート&ホルン→チェロ→ヴァイオリン→弦楽合奏→ホルンとメロディラインの楽器が変わり、女声コーラスも加わり、あらゆる楽器でガラドリエルの優しさや強さを表現している感じですね。登場人物によって楽器を使い分ける傾向があったショアさんのLotR・ホビットのサントラとは違う傾向ですね。

もう一曲、サウロンは男声合唱の不気味な声と激しい弦楽器と打楽器のリズムの不気味でありながらカッコいい曲ですね。途中には女声合唱も入ってきたりして、どんな場面なのか?

男声合唱の入れ方とか(サウロンなんだけどかなりモリアっぽい)、不規則なリズムとか、ショアさんのLotRサントラに寄せつつ、自分の色も出していてさすがだな~と思いました!

LotRではアイゼンガルドのテーマに代表される5拍子ですが、ここでは7拍子なんですけど、1・3・5拍目にアクセントがあって2・2・3に拍子が分かれる感じが、アイゼンガルドの5拍子の3・2に分かれる感じと違うんだけど似ていて、絶妙ですね。

こうして聴いていると、やっぱり予告用の音楽と本篇の音楽って全然違うなあと思うのですが…(昨日の記事では直感とか書きましたけど、要はそういうことです…)

そして、ベアーさんの音楽の作り方の傾向も見えてきたかなと。ショアさんの既存のLotRホビットのテーマ・モチーフを再利用することはまずないでしょう。力の指輪のメインテーマは使うと思いますが。

ただ、インタビューでもご本人が言っているように、ショアさんの中つ国の音楽の雰囲気は踏襲して作ってくれるんだなと。他の曲も今から楽しみです。

そして、ショアさんのメインテーマ!どんな曲なのか楽しみです!ベアーさんも絶賛しているし。

今日からのサンディエゴコミコンの期間にまた新しい予告が出てくるのではと言われているそうですが、そこで発表になるのか?もっと直前までひっぱるのか?気になります!


力の指輪予告の音楽について

2022年07月22日 | 指輪物語&トールキン
※この記事は7月21日時点で書いたものです。7月22日に色々と情報が入って来たので、その後のアップデートは後日また記事にします。※
 
2022.8.19追記 軒の下さんの力の指輪についての情報まとめ記事へのリンクを追加しました。
 

こちらのブログでは全く言及して来なかったですけど(^^;)アマゾンプライムのオリジナルドラマ、「ロードオブザリング 力の指輪」の配信もいよいよ9月2日と迫ってきました。

ここに来て第4弾となる予告編が公開されたのですが、ようやく話題にできるような音楽が付いてきたので、ちょっと記事にしてみようかなと思いました。

ちなみにこの「力の指輪」ですが、日本のメディアではなかなか詳細が報道されておらず、内容について誤解されている方も多いように見受けられます。

こちらの記事でわかりやすくしかも詳しく説明されていますので、ぜひ読んでいただければと思います。

軒の下さんには力の指輪関連の情報でも大変お世話になっています。記事に書く力の指輪関連の情報はたいていこちらにお世話になっています。

ドラマについてざっくり説明すると

●舞台は第二紀。LotRホビットでおなじみの登場人物としては、若き日のガラドリエルとエルロンドが出て来ます

●ドラマ化の版権がある原作は「指輪物語」「ホビット」のみなので、「シルマリルの物語」「終わらざりし物語」ではなく、指輪物語の「追補編」の内容が原作となるもよう

●オリジナルの要素もあり、ホビットの祖先、ハーフット族が登場したりもします。

というようなところです。詳しくはぜひ上記の記事を読んでくださいね。

 

さて「力の指輪」の音楽ですが、ハワード・ショアさんが起用されるとメディアで発表があったものの、公式には未だに発表されていなくて、本当にショアさんなの?と疑う日々…(^_^;)IMDbには名前が載ったそうですが。

また、音楽はショアさんの他にもう一人いるという話もかなり前から出ていますが、こちらも全く発表がなし…(メディア報道も含めて)

もう一人というのはウォーキングデッド、エージェントオブシールドやアウトランダーなどの音楽を手がけるベアー・マクレアリーさんだというのですが、果たして本当なのか?

というような状況下にあるという事をお伝えしておきます。

(注:7月21日時点での情報です)

 

さて肝心の予告第4弾がこちら。

英語版はこちら

 

いきなり結論から言いますと、途中から流れるヴォーカル曲がおそらく本編でも使用される本物のサントラ?で、この予告の他の部分の音楽はこのヴォーカル曲をフィーチャーした予告用の音楽だろう、というのが私の予想です。

おそらくショアさんの手によるものではないでしょう。(ヴォーカル曲については後述)

まず、音楽全体が3/4拍子です。明らかにヴォーカル曲に合わせています。

冒頭のフレーズが裂け谷のテーマと共に流れるWeakness and Redemptionというテーマに似ていて、最初聴いた時は「裂け谷⁈」と思いましたが、おそらくこれもヴォーカル曲に合わせたものだと思います。

ヴォーカル曲の前奏というか伴奏というか…このフレーズと一緒にヴォーカル曲を歌ってみるとフィットしますよ。

私はこのフレーズは偶然にWeakness and Redemptionテーマに似たのではないかと思っていますが、どうでしょうか。

それとも、あえて狙ってLotRの既存の音楽に寄せたということもあるでしょうか?

どちらにしても、LotRに出てくるWeakness and Redemptionテーマとして扱われているわけではない、というように思います。

後半に出てくる音楽も、ヴォーカル曲の最初の3音の変奏のように聞こえます。最後はかなりわかりやすくヴォーカル曲の最後のフレーズの繰り返しですね。

ヴォーカル曲以外の部分の音楽は、打楽器もコーラスも割とハイテンションで、予告用の盛り上げる音楽っぽいなあという印象です。

あと、ショアさんの曲ではないと思うのは、実はかなり直感です(^_^;)なんか違うな~、ピンと来ないな、というレベルの。

ピンと来ないと言えば、予告第一弾のタイトルロゴ作成トレイラー?の音楽がありました。

 

 

ショアさんの既存曲に似たフレーズが散りばめられていて、「これはショアさんでしょ⁈」と思いつつも、一抹の違和感というか「ピンと来ない」感じもありました。

で、蓋を開けてみればショアさんではなかったので、直感は信じてみるものだな…と思いました。

もちろん今回は直感がはずれたということもあり得ますが(^_^;)

それにしても、あそこまでショアさんっぽいフレーズを真似て曲を作るとは、一体どこの職人の技⁈と、今でも誰が作った曲なのか気になってます(笑)

話が逸れましたが、第4弾予告のヴォーカル曲についてです。

これはぱっと聴いた時から、今までの予告用の曲とは違う、本編用に作られた曲だな、と感じました。

哀愁漂う、それでいて素朴で力強くもある、素敵な曲ですね。歌詞の内容からも、場面通りホビットの祖先ハーフット族の少女エラノール(ノリ)をフィーチャーした曲に思えます。

この曲、力の指輪のテーマ曲ってことあるでしょうか?もしそうなら、ハーフットが主人公扱い⁈とホビット派としては興奮してしまうのですが(笑)

この曲がショアさんによるものかどうかは、なんとも言えません。なんとなくショアさんっぽくない気もしますが、これもただの直感なので(^_^;)

どちらかというと、もう一人の作曲家という噂のベアー・マクレアリーさんっぽい気もするのですが、アウトランダーの民謡調のサントラのイメージだけで言ってるところはあります(^_^;)

ショアさんも民族音楽や民謡っぽい音楽も手掛けているので、ショアさんだったとしても全くおかしくはないと思います。

とどっちつかずになって来ましたが、まあ事前の予想なので、ここは「ショアさんじゃない」という予想ということにしておきます。

 

というように予想してみましたが、さて実際のところはどうでしょうか。

諸々が明らかになる前に、こんなこと考えてたという証拠としてこの記事を上げておこうと思います。

※冒頭にも書いた通り、7月21日時点での予想です。7月22日以降に明らかになった情報については改めて書く予定です。もっと早く書いておけばよかったな…


J.R.R.トールキンのファンタジー世界

2019年11月04日 | 指輪物語&トールキン

2019.11.5追記あり
NHKカルチャー横浜の伊藤盡先生の特別講座に行ってきました。
実はエルフ語講座とか行ったことがなく、伊藤先生の講義は初めてでした。昨年の立教大学のジーメク教授の講義も面白かったですが、やはり日本語で聴けるのはありがたいですね…

最初のテーマは「地面の下に住んでいました…」
トールキンが採点していたテスト用紙に突然思いついて書いた「地面の下の穴の中に一人のホビットが住んでいました」という一節。
トールキンは手紙でも、「なぜあんなことを書いたのはわからない」と書いているそうですが、なぜ「地面の下に住んでいました」という文章が出てきたのか、というお話でした。
Hooker氏(この方ですかね)が、「ホビットが出版される以前なら、人々は『地面の下の穴に住んでいる』と言えば、新石器時代人を思い浮かべただろう」と言っているのだそうです。
19世紀終わりごろから一種の考古学ブーム?があり、新石器時代人が地中に穴を掘って住んでいたというような説もあったとか。トールキンもそのような話に興味があり、それが頭の中にあって、「地面の下の穴の中に住んでいた」というような言葉が出てきたのでは、というお話でした。
また、1932年のファーザー・クリスマスの手紙には洞窟の壁画が出てきますが(この年の手紙の絵、大作なんですよね)、これも19世紀から発見されてきた洞窟の壁画の影響を受けているのでは、と。
ちなみに壁画に出てくるマンモスが「オリファントみたいじゃないですか?」と話されてましたが、とすると映画のオリファントがマンモスの骨格に近いのは結構当たっていたのかな。アラン・リーはじめアフリカゾウぼい絵が多いですが…

Hooker氏は「森のウォーゼ(Wood Wose)」(ドルアダン)についても、「woodhouse(ウッドワーズ?)」という言葉から発想されているのでは、と書いているそうです。14世紀の文献に、ローマ神話のポーンのような半獣半人の生き物としての記述があるそうです。
トールキンは言語について調べているうちに色々と思いついたけれど証明できない=論文で発表できないようなことを創作物に書く傾向がある、と伊藤先生談。なんかとても親近感が湧きます(笑)やはり豊かな想像力がないとああいう物語は書けないですよね。
wood wose(森のウォーゼ)についても、イングランドにケルト人がやって来る前にそのような生き物がいたのでは、という証明できない事実を込めたものなのでは?ということでした。

次に映画「トールキン」でトールキンの部屋に貼ってあったルーン文字は何か?というお話。
公開後に早速ネット上でも話題になっていたようですが(私はついて行けないので読んでいません(^^;)、伊藤先生も配給会社から画像をもらって解読したそうです。
あのルーン文字で書かれている言葉はフリジア方言?で、内容は古英語?で書かれた格言詩が元で(この辺聞き違いかもです…)、努力をしないで無為に過ごしていると成功には間に合わない、というような意味だそうです。(伊藤先生の訳をさらに大胆に意訳しましたた…)
勉強部屋に貼るにはふさわしい内容だけれど、果たしてトールキンは実際にそういうものを貼っていただろうか?と(^^;)
2019.11.4追記この格言詩、フリジア方言(アングロ・フリジア語)で書かれたのが元のようです。古英語が出てきたのは、多分先生が解読するにあたって古英語に訳した方が意味がわかるから、だったのかと。
この詩についての詳細は公開当時に書かれたこちらの一連のツイートにあります。(丸面チカさんに情報提供いただきました)
2019.11.5追記前記のツイートは予告編がネットで公開された時点のものだそうです。仕事が早い…!

それから、「ホビット」での呼びかけ方について。
英語には二人称の尊称と親称の違いがないけれど、指輪物語追補編では、中つ国の言葉には尊称と親称があると記述があります。その中でホビットの言葉では親称と尊称が逆になってしまっているという記述が出て来ます。
英語のyouは、元は複数形で、単数の尊称にも使われていましたが、それが親称に使われるようになり、やがて尊称と親称の違いがなくなってしまったそうです。
追補編での記述は、今の英語に尊称・親称がないのは、ホビットの習慣を受け継いでいるから、という設定にしたかったからなのではないかとのこと。
英語にもかつてはthou,thy,theeという尊称があったけれど、だんだん砕けた言い方になり、現在でも方言で親称として使われている地方があるそうです。指輪物語でもテド・サンディマンがサムにtheeで呼びかけているけれど、これは明らかに砕けた言い方だそうです。

ちなみにホビットでビルボを運んだ鷲がビルボに話しかけるとき、チェコ語訳では尊称を使っているそうです。これはこの鷲がグワイヒアの命令でお客様を運んでいるからだと。
一方で、ビルボのことをウサギに似ているなど、ちょっと馬鹿にしたような言い方ともとれるので、砕けた親称の可能性もある、と。日本語訳は瀬田訳、山本訳ともに砕けた呼び方&話し方です。
ちなみにラテンアメリカスペイン語版を持っているので後で確認しましたが、親称になっていましたよ。(スペイン語版はほとんど親称なんですけど…)ドイツ語やフランス語はどうなっているのでしょうね。
また、スマウグがビルボに話しかける話し方は軍隊の上官の話し方なんだそうです。ビルボに対して「May I ask」などと丁寧に言っているけれど、あれは軍隊の上官っぽい話し方なんだそうです。確かにちょっと嫌味っぽい丁寧さですよね…

最後に「モールドンの戦い」について。
映画「トールキン」でトールキンがライト教授の前で古英語を朗読していると、第一次世界大戦が始まったという知らせが届き騒然とする、という場面がありますが(2回しか見ていないので記憶があやふやですがこんな感じだったでしょうか?)、ここで朗読してるのが、モールドンの戦いでイングランド軍の指導者が、負け戦に向かう兵士たちを奮い立たせるためにしたという有名な演説?なんだそうです。ちなみにこの戦いでイングランドは大敗を喫したそうですが。
戦争が始まる場面でそんな詩を使っていたなんて、鳥肌が立ちますね。でも誰が気が付いただろうという…伊藤先生も試写のあと配給会社の人に「これ解説ないと分かりませんよね!?」と言われたそうで。(解説は作ったそうですが、パンフレットには入れられなかったそうです)

最初にスライド上映の機材トラブルがあったのもあり、予定されていたエルフ語のお話は残念ながらカットになりました。
最後にカルチャーセンターの方が、「時間も足りなかったようですし、また先生をお呼びしたいと思います!」と言っていたので、きっとまたこのような機会があるのでは。盛況でしたしね。次回が(あれば)楽しみです。


トールキン 旅のはじまり(ネタバレ)

2019年09月07日 | 指輪物語&トールキン
映画「トールキン 旅のはじまり」の、1回目を見た私の率直な感想を書いてみたいと思います。
本当は2回目を見てからと思ったのですが、なかなか見に行けず、まあ1回目を見た時点の感想を書いておくのもいいかも、と思って書くことにしました。

以下、もちろん映画の内容のネタバレを含みます。
あと、結構批判的な意見もありますので、そういう感想を読みたくないという方はスルーされることをお勧めします。
(そんなにすごく不満があるわけでも怒っているわけでもないのですが……)

映画を観る前に、機内上映で今更ですが「リリーのすべて」を観ました。
なかなかに衝撃的で心を打たれ、ちょっと検索してみたら、事実とはかなり改変されているのですね…まあ伝記映画ではよくあることですよね。
これを見ながら、「トールキン-」に関してもきっとこんな感じなんだろうな、とある程度覚悟しながら観に行きました。

ちょっと話が逸れますが、伝記映画って本人や遺族の許可がなくても作れるものなんですね。もちろん内容によっては名誉棄損で訴えられることもあるでしょうが、作品や楽曲の著作権の問題とは違い、作ること自体は法的に問題がないんですね。意外な穴だなと思いました…
「トールキンー」についても、公開前にトールキンエステートが「許可を出していない、内容について支持しない」と声明を出して話題になりました。
これについては、トールキンエステート側は、「作品を見ていないので作品の内容について批判しているわけではない」と言っていますし、単純に「許可を出していないから内容については(良かろうが悪かろうが)保証するものではない」という程度の意味合いなのだろうなと思っています。

そんな心の準備をしつつ観に行ったのですが…思ったよりも史実と違う、ということに違和感を持ってしまって、あまり素直に楽しめませんでした…とりあえず1回目は。先に試写会等で見た方たちも、「2回目くらいからようやく感想が言えるようになった」とおっしゃっていたので、多分2回目を観たらまた違う感想になるとは思うのですが。

1回目の率直な感想としては……美術や音楽や、言語の扱い方など、細かいところにはすごくリスペクトを感じるのに、肝心の脚本はすごい自由だな…という感じでした(^^;)あれ、なんか某映画を思い出させるぞ(大汗)
なんだかんだと脚本が一番大変なのかもしれないなと思ったり。

原作にこだわりがある人って、細かい重箱の隅をつつくようなことにこだわって文句を言う、と思われているようですが(「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」でもそんなようなことを書いてましたね…)、そうじゃないんですよね。少なくとも私は、ですが。
要は解釈違い、自分が大切に思っていて感動した部分が違う解釈で改変されていた場合に、違和感を感じてしまうのですよね。
原作と違っていても、自分が大切にしている核が同じ解釈で大切にされていれば、受け入れられるのです。

この映画に関しては、時系列や設定で史実と違う部分が多々ありますが、その全てが受け入れられないわけではないです。
個人的に一番違和感があったのは、トールキンが求めた芸術の答えが、「ホビット」、そしてそれに続くLotRであった、と思わせるような展開と演出ですかね……そんな予感はしていて、そうじゃないといいなと思っていたところだったのですが。
ご存知の方が多いと思いますが、トールキンが思い描いていた世界は今でいうところの第二紀以前の世界で、「ホビット」は最初はそれらの世界観とは無関係に偶発的に生まれたものでした。後に改訂してアルダの神話とリンクする物語になりましたが。
部屋の中に貼られたスケッチや、口ずさむ言葉などでトールキンのイマジネーションを感じさせる場面はありましたが、その行きつく先が「ホビット」LotRであるかのような脚本・演出だったので、そこが一番違和感があったところでした。
トールキンが伝説に興味を持ったのが母の影響であるかのような描写も違和感がありました。
昨年トールキン展で様々なスケッチや挿絵、地図を見たから余計に、かもしれません。彼の頭の中にある想像世界の深さに驚き、これは誰かに影響を受けたとかそういう次元ではないな、彼自身の中から湧き出てきたものなんだな、と衝撃を受けたのですよね。実はそれまでは、何だかんだ言っても言語学の教授が手すさびで書いた作品なんだろう、なんて思っていたのですが(^^;)

というところで躓いてしまったので素直に楽しめなかった部分が多いのですが、それでも良かったところもたくさんありました。
まず、トールキンの従卒の名前がサムだったこと。もちろん、サムのモデルとなった実際のトールキンの従卒たちにサムという名前の人がいたわけではないはずですが、それでもあのサムワイズ・ギャムジーそのままのような忠実で優しい従卒が「サム」と呼ばれていることになんかじわっと来てしまいました。
またとてもサムっぽい健気でかわいい従卒でしたからね…
ただ、あのジェフリーを探しに行く場面はトールキンの夢だったのじゃないかと思うし、そうであってほしいです。そうじゃないと「サムどうなったの?!」となってしまうので…(^^;)

史実と違うという点では、エディス・ブラットも相当にフィクションだろうなあと、公開前の情報から思っていたのですが、こちらは意外と気になりませんでした。リリー・コリンズ演じるエディスが魅力的だったからだと思います。
女優さんとしても演じがいのある人物を演じたいだろうと思うし、あれはあれでいいんじゃないかなと。
トールキンとエディスの絆は、もっと普通の恋愛とは違っていたのでは、と個人的には思っているのですが。

この映画が一番描きたかったと思われるT.C.B.Sの4人の友情は、戦死するメンバーがわかっているから最初から切なくて、とても良かったと思います。
出会いが階級の違いによるいじめ?とか喧嘩とか、というのはちょっとやり過ぎだと思いましたが…当時のトールキンはお金には困っていたけれど、別に下層階級ではないですしね…(上流階級でもないけど。もともとはそこそこ裕福な中産階級ですよね)
ジェフリーのお母さんとの会話は一番泣けました。

そう言えば最後に出てきたひげのおじさん誰?と思ったら、弟のヒラリーだったんですね(^^;)教えてもらってわかりました。ヒラリーのことも忘れずに出してくれたのは嬉しかったです。

映像も美しく、オックスフォードに関してはロケ地特定して次回行ったら回るぞ!と思いました(笑)

というわけでいろいろひっかかってしまって素直に楽しめなかった1回目の感想でした。
次回はもう少し落ち着いて良いところも見えて来るのではないかなと思います。早く観に行かないと。