ばあちゃんたちを挟んで、こっち側が私たち、向こう側にいるのは家族。
出会ってしばらくの間は、ちょっと離れた場所にいる私たち。
月日を過ごして、気がついたらいつの間にか距離が近くなっている。
「もう昨夜はじいちゃん寝ずにずっと暴れて大変だったんよ~」とか、
「その服よく似合うよ~」とか、
「ばあちゃん、今日の昼ご飯は何を食べたん?」とか、
「孫の家に行くんよ~」とか、
「最近、ご機嫌悪くてどうもならん!」とか、
「・・・ああ、もう、しんどい!」とか、
「これからどうしたらいいのかわからん。」とか、
「髪を切りに行きたいけど、時間がない・・・」とか、
時節の話だけでなく、天気の話だけでなく、
普通の送迎の風景とは違って、
毎日のいろんな出来事を、
家族と一緒に感じて、考えて、悩んで、迷って、
そして、いろんなことを決断したり、進む道を選んだり、
一緒に生きてゆく。
真ん中にいる年寄りたちは、
自分のことでありながら、
自分の進む道を家族の言葉を借りて表現したり、
家族の生き方に映し出された自らが歩いてきた道を、その時々に振り返り、
そう生きるしかないのかと諦めたり、
周囲を困らせるほどに自己主張したり、
緩やかに現実を受け入れて生きたり、
いつまでも身勝手に生きたり。
家族とはいつも対岸にいるように感じたり、
離れていると思っても、いつの間にか繋がっていたり、
心から想い合える関係になったり、
どこかで心が離れてしまったり、
一緒に生きているような気がしたり。
長い時間を過ごすうち、
心を通じあうことができたら、
たとえ、それがたくさんの人でなかったとしても、
胸を張って、
その人たちと生きてゆきたいと思って過ごしてきた日々。
この小さな事業所で、
僅かな人々の暮らしの中で、
笑って過ごしてゆきたいと、
いつまでも生き続けたいと思う日々。
1月も残りわずか。
明日は満月。