きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

北京の有毒スモッグ

2013-05-08 10:47:48 | Weblog
北京の有毒スモッグ        (2013-05.08.)

英国のフィナンシアル・タイムス紙の今朝の報道によると、北京のホテルで地上40階という高層階の窓からせいぜい1ブロック先の建物しか見えない事に気が付いた。この街をすっぽり覆う、灰色のスモッグのせいだ。危険な微粒子の具合を示す「空気質指数(AQ)は250に達していた。安全と見なされる水準の5倍である。

その数週間前には、同じ北京で350と言う値を経験した。車に乗って居ても目がチカチカし、肺にも痛みを感じた。今年1月には指数が1000に達した日もあり、この時は米国大使館が、窓を閉めた屋内に留まるようによびかけていた。と言う事である。

この報道に中國の大気汚染は今や非常に深刻になっており、習近平国家主席が描いたビジョンも、くすんでしまいかねない、と言う事である。

習近平国家主席は、「アメリカンドリーム」と対比させて、「チャイナーズドリーム」と言う言葉を使い、国内の「富」と国外の「力」を高める「夢」を描いている様だ。

しかし、中国の中心都市「北京」に於いてこの様な大気汚染を放置している現実は、相当に中央政権の感覚と現実との間に乖離が有る事を物語っている。

医学雑誌ランセットによると、中国の大気汚染で早世した人は2010年だけで120万人に上るとの事である。そして、北京では肺癌患者の数がこの10年間で60%増加していると言われている。

今迄中国が、経済優先を第一に取り上げ、その正当性に胸を張って来た事は事実であるから地方の意識は未だに其れに踏襲する傾向が強く、環境問題はどうしても後回しにされて来た。

だが高まる、「富」と言う チャイニーズ・ドリームの一環は、他方「環境汚染」という悪夢を生む可能性がある。特に、自動車燃料に寄る汚染や、工場や発電所の排出基準と言う規制は、国の経済を支える強力な利権との戦いである。

世界でも産業発展の段階では、イギリスの「石炭による、ロンドンスモッグ」、ロスアンゼルスの「車の排ガスによる、大気汚染」が有名であるが、其れを乗り越える中国の大気汚染問題は、「石炭にも」「車に排ガス」にも両方の戦いであり、中國政府は環境汚染に対する根本的な意識改革から取り組む必要があるのでは、無いでしょうか。

今朝、日本では環境大臣の川口さんが、たまたま中国へ行っていて、中国の外務大臣から急きょ呼び止められて是非会いたいと言う事だが、話の内容は、「中国の大気汚染問題」では無いだろうか???  日本では予定を狂わせての中国滞在延期は、「国会軽視だ」と騒いでいる。真相はどの様な事かわかりませんが、漫画のような話になりそうだ。
(えびならろう)