きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

1票の格差5倍が違憲と判定

2010-11-18 11:14:20 | Weblog
1票の格差5倍が違憲と判定       (010.11.18.)

法の下での平等は、格差が無いのが当たり前であるが、地域ごとによる人口の変化が議員一人当たりの有権者数に変化が生じる事は、多少は仕方がないという事で、最高裁の判断でも格差の大小で「違憲状態」と言う警告は出すが、「投票価値の平等は民主主義の基礎を成すものであり、国会も此れを損なわないように配慮しなければならない」とその都度指摘してきたのである。

そして、94年には6.59倍と言う格差に対し、議員定数を「8増8減」と言う措置をとり、06年には5.13倍に対して「4増4減」と言う定数是正で5倍前後に押さえ込んでいる。

しかし今回7月の参議院選挙をめぐり1票の格差が最大5倍になった事に対し、東京都の有権者から訴訟が起こされ、東京高裁は、選挙無効の請求を棄却する一方で、格差に付いては「違憲である」との判断を示し、その理由として「5倍前後の不平等状態が十数年続いており、選挙制度を決める国会の裁量権の限界を超えている」と言うものである。

最小の鳥取県では議員一人に対し、24万人の有権者であるが、最大の神奈川県では121万人の有権者であるという結果であり、一票の重さが神奈川県民には5分の一の重さしかないことになる。

そして、この不平等差に対し、今まで2回の改善が成されたが、いずれも5倍前後程度に留め、5倍程度の格差では、「違憲状態」の警告を無視して来たのである。

今回警告を無視してきた事に対しても高裁の見解は、「不平等状態の積み重ねの結果を考えると5倍の格差は到底看過できない」と明確に表明されたのである。

しかし、結果的には「違法でも公の利益に著しい障害が出る場合は請求を棄却できる」とした「事情判決の法理」により「選挙無効の請求」自体は棄却されたのである。

この判決により、今までは、5倍程度までは、「違憲状態」と言われていても「事情判決の法理」によって、許されると言う慣例が、選挙管理委員会の放置を許してきた事で、今度こそ、次期選挙までは、当然何らかの措置が取らざるを得なくなったのである。

此れを期に、議員定数の削減も考えると同時に、国民を代表する議員に対して行政に対する「チェック機能」の強化を諮り、特別会計のごとき、税金の使われ方には、国民の意思が反映される機構にするべきではないでしょうか。
(えびなたろう)