ひょんなことから、チエちゃんと同居することになった私、主人公のカオリ。
チエちゃんが交通事故に遭ってしまい、電話連絡を受ける場面から始まる。
「とにかく自分がいなくなっても、チエちゃんが一人で生きていけるように…」
そう思っていた筈なのに、自分の方がチエちゃんに依存していたんだ!と 誰かを突然 失うかもしれないという局面で悟ることって実際あると思う。
いろいろあって、チエちゃんがオーストラリアへ旅立つ前の会話も印象深い。
「カオリちゃんも来たかったら、おいでよ。」
「万が一、チエちゃんがしょっちゅう行ったり、住んだりするようになったらね。遊びに行く。」
私は言った。
「そうだね。そしたら、いっしょにシドニーとか行ける。」
チエちゃんは言った。チエちゃんにとって、オーストラリアは地元なのだ。
チエちゃんも変わり続けているんだ、と私は思った。
なんでもない毎日のように見える、でも少しずつ動き出している。兆しはそこここにあって、それがある日、花開くように、雨が降り出すように、突然現れる。それで私に何ができるかというと、何もできない。ただ見ているだけだ。命の問題とさほど変わりない。
お茶を飲むって何だろう。いっしょにごはんを食べるってなんだろう。それは明日にはなくなってしまうささやかなことを積み重ねるということだ。(90ページ7行目から91ページ4行目まで抜粋)
最も印象に残ったシーンかなぁ。ここ上記。
例によって、例の如く、そのシーンをまるまる抜粋しちゃった。
そのまま書き留めておきたくなる、ばなな作品には、昔からそんな魅力があります。
特にこのシーンは…自分もかつてオーストラリアで暮らし、誰かと一緒に🍵を飲み、ご飯を食べたからかな。
ほんと 何でもないようなことが実は特別だったこと。少しずつ人は変化していくこと。身をもって感じます。
そして~1つ前の記事の最後にも、ちらっと書きましたが、本気で人と関わってこそ、心は満たされる…だね。
何から読めばいいですか?
チエちゃん、そしてオーストラリアという二つのキーワードだけで図々しいようですが、実際には大違いの千恵子選手とすずさんを結びつけ、咄嗟に『よしっ、読んでみよう』と思ってしまいました。
「初恋」もまだ途中、「飛ぶ教室」もまだ開いていないのに・・・
そしてすずさんの説明の中の交通事故に遭ったチエちゃん・・や、抜粋の文章からお互いに相手を思う気持ちやそれぞれが持つ「幸福感」のようなものを感じ取れるかもしれないという気がしたのです。
吉本ばななさんらしい、読者に『私だったら・・』と考えさせられる内容で展開していくのでしょうか・・・楽しみです。
私も思いました。
千恵子選手ーチエちゃん。
是非、お読みくださいませ。