つれづれの記

日々の生活での印象

タバコの今ー世界のスモークフリー

2017年09月21日 09時19分07秒 | 日記

 

2017年9月21日(木) タバコの今―世界のスモークフリー 

 

 先日、当ブログの記事、

     タバコの今―受動喫煙防止条例制定へ  (2017/9/17)

で、東京都の条例制定の動きについて取り上げた。

本稿は、その続編で、スモークフリーと、世界各国の受動喫煙防止対策の状況についての話題を扱っている。

 

○ スモークフリー

 筆者は、殆ど知らなかったのだが、スモークフリーという言葉がある。 これは、

     smoke-free (タバコの)煙が無い

と言う事で、

     タバコの煙が無い⇒タバコの煙から解放されている

ということで、完全な禁煙状態の場所を意味し、欧米では普通に使われている用語と言う。

 アルコール分を含まないビールや化粧品を、アルコールフリーと言うのに似ている。

 

 一方、紛らわしい言葉だが、

     スモーキングフリー  smoking―free

というのは、喫煙(スモーキング)が自由、ということで、全く反対の意味で、自由に吸っていい場所、吸い放題の場所ということになる。

日本では、スモークフリーという言い方が、この意味に誤解されることもあるようだ。

 

 以前、英語の参考書で、以下の2つの英文の意味の違いを、知ったことがある。

      I stopped to smoke. 喫煙するために立ち止った。

      I stopped smoking.  喫煙を止めた(禁煙した)。

 

 下図は、前稿で触れたが、この春、WHOベッチャー部長の訪日時に示された、2014年時点での、世界の受動喫煙対策(スモークフリー)の普及状況を現したWHOの地図で、対策のレベルを4段階に分け、色の濃淡で表わしたものだ。

図の凡例が、やや不鮮明だが、拡大してみると、日本語では下のようになっている。  

    

           

  ここで、公共場所(public place)とは、家庭内などの私的場所(private place)を除く、複数の人が集まる場所のことで、公共施設(役所、学校、医療機関等)は勿論、私企業の職場や交通機関、路上等も含まれる。

   

図にあるように、日本は最も遅れているレベルにある。(非喫煙者も年間1万5千人が犠牲となるタバコ 世界最低ルールの厳格化は進むのか(BuzzFeed Japan))

  

○ 我が国の喫煙率の推移

 国内の成人喫煙率について、ネットで調べた所、JTによる調査があり、下図のようだ。 (最新たばこ情報|統計情報|成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)より)

   

 図にあるように、喫煙率は、年々低下傾向にあり、特に男性の喫煙率は、昭和40年と平成28年とでは、大変な減少で、改めて驚かされる。

 図では分かりにくいが、全年齢の数値では、

     S40年 男82.3% → H28年 男29.7%

           女15.7% →      女 9.7%

となっている。

 また、喫煙率から、人口を推計すると、H28の値で

           喫煙人口     喫煙率

              男 1498万人   28.2%

        女  528万人    9.0

となるようだ。 

  子供も含めて、人口の8割は、タバコを吸わない人たちになるようだ。

 

筆者にも、タバコとの関わりについては様々な思いがあり、当ブログでも、7年前に

       タバコ その1  最近のタバコ事情  (2010/3/30)

       タバコ その2  タバコとの付き合い (2010/4/11)

       タバコ その3  タバコの今後    (2010/5/3) 

を、シリーズもので投稿している。

 この中のその2で、筆者の喫煙・禁煙体験について触れているが、当時から以降、タバコには、スッカリ興味が無くなっている。

 

○ 受動喫煙

  タバコは、コロンブスがアメリカ新大陸(西インド諸島)から持ち帰って以来、嗜好品の一つとして、世界に広まっていった、と言われる。

嗜好品として愛用する人にとって、タバコを自由に吸う(能動喫煙 active smoking、first-hand smoking)ことで、身体的快感や、精神的なリラックス効果が得られるものだ。

長い歴史の中で、これまで、タバコの種類や、喫煙形態も多様化し、関連産業も含めた、裾野の広い、社会・文化現象になってきた、とも言える。

 

  でも、吸わない人、臭いや煙が嫌いな人達もおり(前述のように、現在の日本では、国民の約8割が吸っていない!)、受動喫煙(passive smoking、second-hand smoking)という概念が広がり、いまや、この人たちは受動喫煙から守られるべし、という権利意識が確立しているだろうか。

吸っている人たちが発生させている、環境タバコ煙(ETS:Environmental Tobaco Smoke)を、公害の一種とみなして、社会的に規制し、公的場所から追放する動きが広まっている。

 

  下図は、平成22年(2010年)に、わが国で初めて、条例を制定し、「神奈川県からなくそう、受動喫煙」と、公共場所でのスモークフリーを打ち出した、先導的な神奈川県のロゴマークである。スモークフリーという横文字の意味が、“煙から解放されて自由になる”とある。 

象(ゾウ)の吸うタバコの煙を、白鳥(スワン)が顔を背けて嫌がっている絵がかわいいが、スワンゾウ(吸わんぞー)と懸けているようだ。

        

 スローガンの 

       “吸わない人には、吸わせない”

の「吸わせない」という日本語だが、

      周囲が、本人を保護するために、吸わせない

という、積極的な意味になろうが、本人の欲求(?)を抑える、という禁止な意味合いにもなり、やや不自然だが、苦労したところだろうか。 

  スローガンとしては平板だが

      “吸わない人は、吸わなくてよい”

もあるかも知れない。

 

  喫煙が、体の健康に及ぼす害悪(ニコチン、タールなど)の研究も盛んだ。吸う人本人だけでなく、ETSに晒された場合の、吸わない人たちの、身体的害毒や、精神的苦痛の大きさも指摘されている。 

 

  欧米に比べて、公共心に乏しいと言われる日本人だが、タバコについては、私的な欲求と、公的な配慮とをバランスさせることについて、国民的なコンセンサスを得る(腹を決める)時だろうか。 

個々人の「嗜好の自由」は保障されるべきだが、周囲に迷惑をかけてまで、私欲を追及するのは控えるべきだろう。

  個人レベルでは、タバコの喫煙だけでなく、電車中の携帯通話、コンサート場での呼び出し音、イヤホンから漏れるシャカシャカ音、壁越しのピアノの音、うなぎ屋の店先の煙、道路脇や登山道でのポイ捨てごみ、なども入るだろうか。マナーと言う柔らかい言い方で定着しつつあるがーーー。

  社会レベルでは、工場の排煙・排水、車の排気ガス、ゴミや産廃の不法投棄、歓楽街の夜通しの騒音、畜産場の周囲への悪臭拡散、等があるだろうか。

 

  最後の砦である家庭内ですら、同居家族との関係で、肩身の狭い思いで喫煙している人は多いようで、心行くまでタバコを楽しむためには、広大な砂漠の真ん中か、無人島に行くしかなくなるのだろうか!!

 

次稿では、最近の加熱式タバコや、タバコ税などについて取り上げる予定だ。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする