2016年7月13日(水) 珍しい植物 2 バオバブ
先日、下記記事
珍しい植物 1 アルソミトラ (2016/7/7)
を投稿した。本稿は、それに続く第2弾であるが、少し長い前置きを許容されたい。
数年前の2011年11月に、南アフリカ国東海岸の港町ダーバン(マダガスカル島南部の対岸)で、地球環境保護についての、国連気候変動枠組み条約に関する主管庁会議(COP17)が開催されていて、会議の状況は、当ブログの、下記記事で取り上げている。
気候変動会議 (2011/12/5)
その会議で、下図にある、地球を抱くようにして力強く生きている、バオバブの樹がロゴマークとして使われたのが、今も印象に残っている。
このバオバブの樹のことは、会議以前からも、その後も、地球の自然を紹介するTV番組等で、時々出て来ているので、概略は知っている。
今般、珍しい植物の第2弾として、マダガスカル島等に自生する、ユニークな樹形の、このバオバブの樹を、改めて、取り上げることとした。
◇ マダガスカル島
マダガスカル島は、アフリカ大陸南東部のインド洋上に位置し、サツマイモの様な形をしているが、地球上で、4番目に大きい島と言い、広さは、何と、日本の1.6倍もあるようだ。
南緯20度辺りを中心に、南北に1500kmもの長い島で、亜熱帯地域になるだろうか。11月~4月頃が暑い雨季で、5月~10月頃は、涼しい乾季という。
この島は、長らくフランスの植民地だったが、戦後の1960年に独立して共和国となり、首都はアンタナナリボで、人口は、1900万人程という。 島内には、鉄道は無く、移動は、主に空路と陸路が使われるようだ。主産業は農業のようだ。
この島には、太古の大陸形成と関連して、特異な地形があり、ユニークな動植物が生息しているようだ。 このため、石灰岩が剣山のように無数に突き出ている地形(ツインギー)があったり、表情が面白い固有種の猿等も棲んでいるようだ。
下図にあるように、これらが、マダガスカルの主な観光スポットとなっているようだが、詳細は省略する。(http://www.club-t.com/special/abroad/africa/madagascar/spot.htm)
今回採り上げるバオバブの木も、島を代表する植物の一つで、日本からのツアー人気は高いようで、上の地図の南西部にある、モロンダバ地区では、バオバブの並木道等が整備されていて、下図の様な風景が楽しめるようだ。
壮大なバオバブの並木 写っている人間が小さいこと! 樹高20m程
◇ バオバブの地球上の分布
筆者はこれまで、バオバブの樹は、地球上で、マタガスカル島だけにしか自生していないと思っていたが、今般、アフリカ大陸内各地や、オーストラリア大陸にもあると知り、認識を新たにしたことだ。
バオバブは、植物分類上では、アオイ科バオバブ属(属名:アダンソニア A)に区分されるようで、地球上には、原生種としては8種あると言われている。(バオバブ 【グレゴリウス講座】)
原生種 種名
アフリカ大陸 1種 A.ディジタータ
マダガスカル島 6種 A.グランディディエリ
A.フニー 等
オーストラリア大陸 1種 A.グレゴリ
◇アフリカ大陸内に生育しているのは、幹が太く、ずんぐりむっくり型の、ディジタータという種のようで、通常、アフリカバオバブと呼ばれているようだ。下図のように、西部セネガル地方から南アフリカ北部にかけての 雨が少ない熱帯乾燥地帯(サバンナ)に広く生育しているようだ。 (バオバブ(Adansonia)の播種(種まき)から栽培(育て方))
アフリカバオバブの分布状況
アフリカ最大の個体は、南アフリカ北部のリンポポ州・マジャジスクルーフと言う所にあり、「Sunland Baobabu」という愛称で呼ばれているようだ。(下図)(世界最大のバオバブに大興奮 樹齢はなんと6000年! 南アフリカ/ヨハネスブルグ特派員ブログ | 地球の歩き方)
葉が茂る(雨季)
葉が落ちる(乾季)
巨大な幹廻り(右下に人物2人)
樹高は47m、直径15m程という。年輪が無いので、樹齢の推定は難しいようだが、炭素年代測定法では、1700年以上のようだ。(The Big Baobab Limpopo South Africa | The Largest Baobab in the World) 他では、樹齢2000年や、5000年との情報もある。(バオバブ 【グレゴリウス講座】 等)
*南アフリカ北部のクルーガ―ゲーム禁漁区にあるバオバブ巨木の写真が、数年前、米WSJ紙(ウオール・ストリート・ジャーナル)の一面に載った事があるようだ(世界最長寿の生物たち―10万歳の海草も - WSJ )
*西部のセネガルには、小説「星の王子様」のモデルになったと言われる巨樹があるようだ(下図)。 作者のサン・テクジュベリにとって、余ほど気味悪い樹だったのだろうか。(まるで「星の王子さま」の世界!セネガルのシンボル、バオバブの木 | TRIP'S(トリップス))
一方、4年前のロンドン五輪に出場した、サッカーのセネガルナショナルチームのユニホームには、下図のような、バオバブをデザインしたマークを付けたようだ。
◇マダガスカルは、バオバブの宝庫のようで、本稿の、冒頭の図に出ている、背が高く、すらっとしている樹形の、グランディディエリという種が有名で、島を代表する固有種である。
島内各地に、分布しているバオバブの原生種は6種あると言われるが、ツアーで様々な種類が楽しめるようだ。島内には、樹齢800年と言われる、前項の大陸種のディジタータの巨木もあるようだ。
マダガスカル中央銀行発行の2000アリアリ紙幣には、堂々たるバオバブの樹のデザインが印刷されているという。このバオバブの種類は、ビヤ樽型の、フニーバオバブと推定される。日本で言えば、紙幣に桜が描かれている様なものだろうか。
因みに、この紙幣の価値を、最近のレート;100アリアリ=3.47円で換算すると、3.47×20=約70円 程のようだ。
◇オーストラリア大陸にも、グレゴリという種の下図の様なバオバブが生育しているようで、北西オーストラリアのキンバリー高原地域と言う。
本稿の最後に、夕焼けの空を背景にした、バオバブのシェルエットの絶景を借用したい。(ネット画像より)
次稿で、植物としてのバオバブの一生や、現地の人達の利用法などについて、触れることとしたい。