2013年9月16日(月) 事故原発との闘い 2
東日本大震災と福島第一原発事故から、丁度2年半が経過した先日、当ブログに、
事故原発との闘い 1 (2013/9/11)
の記事を投稿し、当面する汚染水問題の処理等について触れたところである。
これに続いて本稿では、長期的な課題である廃炉処理について、まず、実際に原子炉の解体作業が行われている、東海村の事例を取り上げることとしたい。
○東海村での廃炉作業
40年とも言われる、原子炉の耐用年数が来ると、人間による制御下で、計画的に原子炉の運転を止め、廃炉処理が行われる訳だ。
この場合の原子炉の状態は、事故原発と違って、メルトダウンや水素爆発などは起こしていないため、確実な手順を踏むことで、安全に廃炉作業が行われることとなる。
我が国の原子力の先行地域である茨城県東海村に、日本で最初に設置され商用運転された、原電 東海原子力発電所が、役目を終えて運転を停止し、廃炉作業が実際に行われているようだ。 福島の事故原発等を含めて、今後の我が国の廃炉作業の先例となるものとして、この東海村での状況について、概略、見てみたい。
ここで、世界を見渡してみると、原子力発電所の廃炉(廃止措置)の状況は、下図のようである。(海外の廃止措置状況 | 日本原子力発電株式会社 )
2012年3月時点で、実際に廃止措置が完了しているのは、
アメリカ 10基
ドイツ 1基
とある。 米国では、既に、多くの実績を積み上げている訳だ。
日本の東海原発は、廃止措置の作業途中にあるわけで、国内では、他に、浜岡原発1、2号機も廃炉にすることが決まっていて準備中ということだ。
一方、原発事故を起こした、アメリカ スリーマイル島原発、 ウクライナ チェルノブイリ原発、福島第一原発(1~4号機)は、作業途上にある訳で、これらは、前図では、廃止措置中に含まれているようだ。
○東海原子力発電所の概要
事業者 日本原子力発電(日本原電)
形式 黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR ガス冷却型とも)
英国製炉を輸入し、耐震化設計追加 出力16万Kw
設置工事 1960着工 1965年臨界
運転期間 1966年商業発電開始~1998年3月運転停止
着工以来38年で停止、運転期間は27年間
東海原子力発電所(前記サイトより)
○東海原発の廃炉工程(廃止措置工事のスケジュール | 日本原子力発電株式会社)
廃炉作業工程は、当初計画では、2001開始~2017年完了で、結構長いという印象だ。加えて、諸準備の関係から、2020年度終了に延期されている。
(参考工程) |
|
原子炉領域以外の撤去 |
2001年度~2019年度(実施中) |
熱交換器等撤去工事等 |
2006年度~2014年度(実施中) |
原子炉本体等解体撤去工事等 |
2014年度~2019年度 |
建屋等撤去工事等 |
2019年度~2020年度 |
終了予定時期:2021年3月
○廃炉作業状況
(以下は、(【節電・省エネトピックス】日本原電、廃炉の技術蓄積へ-来春、東海発電所の原子炉に着手 :日刊工業新聞 等から引用)
・この原子炉は、他の多くの炉とは異なって、冷却水を使わない形式だが、解体技術としては可成り共通な部分もあるという。
・放射線量は、人間が入って作業が出来るレベルだが、今後の解体作業に向けての技術と知見を蓄積するため、遠隔ロボット操作中心に作業を行っている。
・2001/3 使用済燃料の取り出し完了
2001/12月廃止措置開始
・現在は、熱交換器の解体を、マニピュレータアームという多関節ロボットを使った、ジャッキダウン工法で行っているという。この9月末には、4基の熱交換器のうちの1基の解体が完了予定。
・原子炉本体の解体は、遠隔操作ロボットの準備の遅れで、来年の2014年4月から開始予定。
・施設の管理等が不十分なことから、火災が起こるなどのトラブルも多く、想定したよりも、結構な手間暇がかかっているようだ。
・廃炉に伴って出て来る、多量の放射性廃棄物の処分・保管が大きな問題になっているようだ。廃棄物の状況は、
高レベル放射性廃棄物 1600トン
低レベル放射性廃棄物 13000トン
とあるが、他の情報では、放射性廃棄物の量は、24000トンとも言われている。
処分場の方向が見えていない状況では、当面、これらの放射性廃棄物は、敷地構内に置く事とならざるを得ないだろう。
・放射性廃棄物の処分場については、
A 広範囲に飛散した放射性物質の回収に依る廃棄物の処理
除染作業 焼却灰
B 原発本体の運転や廃炉作業によって出て来る放射性廃棄物の処理
高レベル放射性廃棄物
があり、当ブログでも、A,B取り混ぜて、最近だけでも、以下の様に取り上げて来たテーマだ。
オンカロ建設の驚き (2012/7/15)
中間貯蔵施設 (2012/8/22)
指定廃棄物―負の遺産 (2012/10/7)
原発事故のその後 (2013/2/4)
放射性廃棄物の処分を巡って (2013/3/2~3)
廃炉処理の現況は問題ない? (2013/3/5)
当面するAについてすらも、最近は、殆ど話題にならなくなっていて、処分場・貯蔵施設の建設問題は、いずれも、宙に浮いたままである。
○廃炉予定の原子炉
耐用年数が来て廃炉にする事が決まっているのは
浜岡原発1,2号機で、炉形式も、GWRで、福島第一と同じ形式である
方向決定
廃炉工程予定
また、今回事故位なった、福島第一原発の1~3号機は、浜岡よりも古いのだが、必要性から廃炉に出来ず、延命措置で使って来ていたと言う。
又、立地上で活断層があったり、自元が廃炉を、強力に要求している所もある
敦賀
東海第二
廃炉にかかる経費
(難航する廃炉作業 商業炉で国内初の東海原発のいま(東京新聞:こちら特報部)