ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

書けなかった「レクイエム」が。

2015-07-14 06:19:49 | 日記
安倍首相の「70年談話」が、気にかかるせいでしょうか。
戦後70年という言葉が、さまざまな記憶を伴なって よみがえって来ます。
やり残したこと、未だ忸怩たる思いに駆られるあれこれ。
そして、書けなかった「レクイエム」なども、書けないままによみがえって来るのです。

  『レクイエム』
   冷たい夏は三年続くという
   集落の人の数が三分の一に減ったという
   木の葉 草の根まで喰ったと
   歴史の文字から削り取られてしまったが
   たしか
   人の肉まで

   身売りされた娘の涙は
   飢えた喉元を潤したか
   山あいの石地蔵は
   水子を今も抱きかかえているか

   九月の青田に空が広がり
   風がうたう
   過去から吹きつける冷たい笛の音

   忘れ去られることを拒み続けて
   冷たい夏は
   死者たちの暗い訴訟状
   透きとおる空の下で
   雨に打たれているのは 私の中の血

   私の生まれた年も寒い夏だったという
   姉は遠いところへ働きに行ったという
   灯火管制の暗い夜
   姉は
   もっと遠くへ逝ってしまった
   私は お手玉で遊んでいたと

   レクイエムの楽譜は
   まだ書けないでいる

ひと昔前になります。
【一人語り 冷たい夏から】で、語りと朗読をいたしました。
その時に読んだ自作の詩『レクイエム』です。

『七たびの、飢饉にあうとも、ひとたびの戦にあうなかれ』
との諺通り、飢饉とは哀しい恐ろしい歴史です。
特に、東北地方の「けがち」(飢饉)は凄まじかったと伝承されています。
数多くの人々が、飢えて死んでいきました。
観光にはなりませんが、飢饉にまつわる供養碑は全国に数多く残されていて、
酸鼻を極めた言い伝えなども残されているのです。

「七度の飢饉に遭うより、戦に遭う方が悲惨で恐ろしい」
と、先人が教え残しています。
戦を避けることが先人の残した「知恵」のはず。

今、私は日本の国の政情に、とても心を痛めています。
戦争の出来る国にしてはいけません。

「安保法案」に NO!
                                    〈ゴマメのばーば〉
コメント (2)
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