一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『東京裁判』

2009-02-13 | 乱読日記

いままで東京裁判についての本はきちんと読んだことがなかったので、年末年始に読もうと思って先送りにしていた本。  

東京裁判について、特定の政治的立場に立たずに史料を丹念に分析し、「裁かれる側」だけでなく「裁く側」の背景にある国際政治や各国の国内事情など多面的な切り口で東京裁判の始まりから戦犯の釈放までを分析した良書です。  

連合国側の東京裁判に関する各国の思惑、ニュールンベルク裁判や戦時国際法との法理論上の整合性、被告人と弁護団の中での「国家弁護」と「個人弁護」の対立、検事の無能、判事団の中の対立など、確かに単純に決め付けられない問題であることがよくわかります。

末文が印象的です。

 ここで注目すべきは、日本の行動を一番大目に見たアメリカにして、犯罪を消し去る「大赦」をついに認めず、「司法的解決」の建前を断じて崩さなかったことである。
 理由は明白、アメリカの「正義」を守るためであった。この基本姿勢は、おそらく現在でも生きている。冷戦期のアメリカは、日本側が多少調子に乗って釈放要求を強めても、「西側の結束」という現実的要請から日本の戦争責任追及を停止し、戦犯釈放にも応じた。
 しかし冷戦後は、そうもいかない。それこそ、われわれ日本人が用心すべき点であろう。東京裁判は国際問題であり、国内問題として完結することはありえないのだから。

 



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ディフェンスラインの引き方

2009-02-12 | あきなひ

トラブルが起きて自分の方が不利な状況の場合、一度後退してディフェンスラインを立て直すということをします。
ただ、いきなり引き過ぎて相手の追撃に加速度をつけてしまったり、逆に被害を最小限にしようと前線で防禦した結果突破されて致命傷になるなど、判断が難しい戦術ではあります。

今週はちょうど好対照の二例がありました。

神鋼、会長と社長が引責辞任へ 地方選めぐり違法寄付
(2009年2月10日(火)16:39 朝日新聞)  

神戸製鋼所(本社・神戸市)は10日、兵庫県と山口県にある3事業所で、地元の県議選や市議選で同社の労働組合が推薦する候補者5人の後援会に計約2700万円の不適切な支出があったと発表した。政党と政治資金団体以外への企業からの寄付を禁じた政治資金規正法に違反する行為だったとして、犬伏(いぬぶし)泰夫社長と水越浩士(こうし)会長が3月末で引責辞任し、後任社長に佐藤広士副社長が昇格する。
(中略) 
犬伏社長、水越会長とも「寄付の報告は受けていなかった」としている。それにもかかわらず、辞任する理由として、同社長は「06年に神戸製鉄所などのばい煙データを改ざんする問題が発覚し、コンプライアンス(法令順守)を第一にしてきたが、徹底できなかった。会社として事態を重く受け止めた」と話した

思いっきり後退して立て直そうというタイプ。

辞任の原因となった事件自体がマスコミ報道すらされていない中でかなり唐突感はあります。逆に言えばマスコミのバッシングを避けるための見事な先制攻撃とも言えます。
さらに社長と会長の首をさし出すことで、社内を引き締めるとともに(内部抗争があったりすると引き締め効果は出ませんが)監督官庁や検察の心証を良くしたり、骨がらみになっている労組との関係を正常化しようという目的があるのでしょうか。


【鹿島裏金】キヤノン会長、関与ないと強調
(2009年2月10日 23:03 産経新聞)  

日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は10日、都内で報道陣の取材に応じ、大分市のコンサルタント会社「大光」社長、大賀規久容疑者(65)が法人税法違反容疑で東京地検に逮捕されたことについて「キヤノンもわたしも事件に何ら関与していない。格別の対応は考えていない」とあらためて強調した。  

御手洗会長は大賀容疑者を「長年の友人」とする一方で「納税は国民の重要な義務。容疑が事実なら許されることではない。弁護する気もない」と突き放した。  

キヤノン発注工事の受注に大賀容疑者の影響力があったという指摘には「全く想像しておらず、夢にも思わなかった。気付かなかったことは非常に残念だし、悔しい思いをしている」と述べた。

これは一歩も引かずにふんばるタイプ。

ここしばらくきな臭い話が出ていた案件なので、キヤノン側も準備万端だったのではないでしょうか。
後ろを見せてしまうと二の矢三の矢が来るので引くわけにはいかないのでしょう。
御手洗氏としては「間にかませてやったんだから火の粉はこちらに及ばさないのは当然だろ」というところではないかと。そのためのバッファーとかダミーとかなのでしょう。

実際に資金を御手洗氏まで還流させてはいないからここまで強気に出られるのかもしれません。
または御手洗氏くらいになると、検察との間で「立件はここまで」という合意があったりするのでしょうか。



 

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かんぽの宿の入札経緯

2009-02-11 | まつりごと

<2月11日 20:30 追記あり>

2月10日の日経新聞にかんぽの宿の入札経緯の記事が載っていました。ネットに出ていないので概要を書くと

購入希望者は27社。うち「趣意書」による審査で22社に絞って一次入札を実施。
しかし22社のうち15社が入札を見送り7社が応募。

残り7社が応募し、①譲渡の枠組みや価格②事業を発展させるための経営方針③取得後の従業員の扱い--の視点から審査。総合評価の高かったオリックス、ホテルマネージメントインターナショナル(HMI、神戸市)、住友不動産の3社が最終入札に進んだ。

その後住友不動産は不動産市況の悪化を受けて応募を断念、2社の争いとなる。

 最終入札は当初、「かんぽの宿」事業の70施設、東京都内のスポーツ施設「世田谷レクセンター」、首都圏の社宅9ヵ所の計80施設を対象に実施した。入札の結果、レクセンターは簿価を大幅に下回る評価しか得られなかった。このため、日本郵政は、①レクセンターを譲渡対象からはずす②それ以外の施設の譲渡価格も引き上げる--ことを二社に申し入れて入札をやり直した。
 オリックスは、再入札ではレクセンターを除く事業の評価を18億円上積みし、購入希望価格を108億8600万円と提示した。HMIは再入札に応じず、当初の提示価格61億4600万円(レクセンターを除く)を動かさなかった。・・・(中略)・・・結果的に両者の提示価格には50億円近い差がつき、オリックスへの譲渡が決まった。

これが事実だとすると、そもそも売却自体や想定価格が適切でない、というならともかく、入札自体には不正なところはないように見えます。
また、傍から見ると、オリックスは会長の意向を尊重してどうしても落札しようとして、日本郵政側の「最後の一声」に乗せられてしまったようにも思えます。

鳩山総務相は最終入札で条件を変更し、それに応じたのがオリックスだけだったことを問題視している。9日の予算委員会では「金額の提示が2者そろわないと入札とはいえない」と手続きへの懸念を表明した。

最終入札で条件を変更されて上積みを求められたオリックスやHMIが文句を言うならともかく、HMIは上積みのチャンスがあってもできなかったのですから、結局出来るだけ高値で売却する、という目的は達成したように思います。
HMIとオリックスが裏で手を握っていたとか日本郵政も含めた3者の出来レースだったというなら別ですが、鳩山総務相の主張はよくわかりません。

この市況下ではオリックスも高値掴みした、と内心では後悔しているとしたら、鳩山総務相の動きこそオリックスに味方しているようにも思うのですが・・・

<追記>
今日の朝日新聞によると、最終入札ではずしたレクセンターの評価額がオリックス23億6千万円に対しHMI43億5千万円だったそうです。そうなると、玉石混交のポートフォリオの中の「玉」だと思っていたレクセンターがはずれたことでHMIの入札意欲がそがれた可能性があります。そうすると上の鳩山大臣の発言も(引用している部分はいまひとつですが)的を得ているかもしれません。
入札手続きに不正があれば正すべきだは当然だと思います。

ただし、事業としては必要ないものであれば「地元優先で売却」というような「政策的配慮」はかえって全加入者のためにならないのではないかとは依然として思っているので、以下はもとの文章に戻ります)
<追記終わり>


それでもそもそも資産評価額が適切でないので売却自体がいけない、という主張もされています。
もし「適切な資産評価額」(それは今回の売却価格より高いということになります)まで減損したらかんぽの宿の運営は黒字化するとか、数年まって市況が回復すればその期間の運営赤字分を補う売却価格で売れる、というような事情があれば現時点での売却は適切でない、とも言えますが、その辺の分析がなく手続きがおかしい、という主張には無理があると思います。


そもそも簡保事業は保険事業だったわけで、旅館・ホテル業をやる必要はなかったはずです。たぶん「加入者の健康の増進に」などという名目で建てられたのでしょうが、それは保険事業の目的からは大きくはずれているように思います。
自分の加入している保険会社がホテル経営をやって赤字を出したら「保険料下げろ」と文句を言うと思います。損害保険会社ですが、先のバブルのときはゴッホの「ひまわり」を購入して批判された(あきれられた?)会社もありました(そういえばこの会社はその後グループの生命保険会社に「○○ひまわり生命」と懲りない名前をつけていますね。)。
簡易保険事業はより公益性があるので加入者の福利のために周辺事業を行うことが正当化されるとしても、過疎地域などへの健康診断の巡回事業とか健康を増進し直接保険金の支払減につながるような事業に限るべきではないでしょうか(ひょっとしたらやってりるのかもしれませんが。)。

郵政民営化になって、「かんぽの宿」事業は「かんぽ生命」から切り離され親会社の日本郵政の所管となり、将来的に継続する計画がないので順次売却するという方針の中で今回日本郵政が入札を行ったわけで、そもそもその方針がおかしい、というのでなければ、今回の売却自体は特段問題はないように思うのですが。

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かんぽの宿 今度はアドバイザー報酬に飛び火

2009-02-11 | まつりごと

「かんぽの宿」、メリルの成功報酬は6億円 総務相
(2009年2月10日 21:39 日本経済新聞)

宿泊・保養施設「かんぽの宿」の譲渡を巡り、鳩山邦夫総務相は10日の参院総務委員会で、日本郵政がメリルリンチ日本証券と結んだアドバイザー契約の成功報酬が6億円であることを明かした。オリックスへの譲渡が凍結されたので実際は支払っていない。日本郵政は当初の売却予定資産の簿価(約200億円)の約3%で「通常の相場水準」と話している。  

最終的には、簿価62億円の「世田谷レクセンター」が売却対象から外れた。このため、仮に譲渡が成立した場合でも、支払われる成功報酬は2億円程度減額される見通しだという。鳩山総務相は日本郵政にかつて質問した際には答えがなく、最近ようやく回答があったとして「どこまで隠そうとするのかという疑念がわく」と話した。

自分の資産を他人の手を借りなければ売れないような奴はそもそも安く買い叩かれたなどと文句を言う資格はないのではないか、と思ってしまうので、この記事の含意には賛成しかねます。
世間知らずの日本郵政の仕事を手取り足取り手伝ったら「こんな未通女(おぼこ)い会社をだますとはけしからん」と言われたようなものです。

確かに報酬の水準としては高いと思いますし、いいようにやられた感はあるのですが、それは実力差があった(役人のレベルが低かった)ので仕方のないことなのではないでしょうか。
納税者としては「エージェント」である郵政が無能である」というリスクを負っているわけで、安く売られたとしたら誰の判断が間違っていたか、それが法的責任の追及が可能なレベルかというあたりを事後的に検証するしかないと割り切らないといけないのではないかと思います。


PS
入札の経過については昨日(2/10)の日経新聞に詳しく載っていたので、つぎのエントリでそれについてコメントしたいと思います。

 

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Early Small ...

2009-02-10 | まつりごと

彼我を比べても詮無いのですが、麻生内閣はセオリーに反することをしてきたなと改めて思った記事

溜池通信 vol.410 オバマ政権をめぐる2つの問い  

新しい政権をスタートさせるときは、”Early small success”を積み重ねることが重要であるという。大きなことでなくていいから、周囲がなるほどと納得するような実績を細かく積み上げていく。すると有権者に信頼感が芽生え、政権にモメンタムが生じてくる。そのためには、事前の「仕込み」が重要であることは言を待たない。オバマ陣営は、昨年秋に勝利を確信した瞬間から、「仕込み」を着実に行ってきたのであろう。

麻生政権は、小さなことだけどいちいち周囲に「大丈夫か?」と思わせるような”Early small failure”を積み重ねてきて今に至っているわけですね。


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官権が漢検にメスを入れる

2009-02-10 | よしなしごと
僕自身もここ数年キーボードに向かうことが多いので「読めるけど書けない」という状態になりつつあり、そういうご時勢では漢字検定というのはいいところをついたなと思っていました。
朝の通勤時に電車広告にある漢検の問題が解けると妙に気分がよかったりします。

今回こういうことになってしまったわけですが、出る釘を打つというのではなく何がいけないのかをはっきりさせたほうがいいと思います。

「厳格に対応したい」=漢検協会検査、5時間に及ぶ-文科省
(2009年2月9日(月)22:30 時事通信)

確かに
漢検協会、ファミリー企業に66億円業務委託 3年間で
(2009年2月9日15時1分 朝日新聞)
とか
漢検協会が6億の土地建物、供養塔も購入
(2009年1月29日12時55分 日刊スポーツ)
という話は論外ですが、それは社団法人の運営が杜撰だったということで、検定試験自体の不正はなかったのであれば

「漢検資格」内申点加算対象から除外、都内の高校が検討
(2009年2月9日(月)14:48 読売新聞)
というのは過剰反応かと。
そもそも学校教育はこういおう不正も含んで世の中の仕組みを教えることが大事で、権威に寄りかかったり「権威が失われた」と手のひらを返したりという行動はよろしくないのではないでしょうか。


「利益を出してはいけない」と言いますけど、予想外に人気が出た場合には単年度で利益が出るのは仕方がない、というよりそれだけ世の中の需要を掘り起こしたので評価されるべきで、ただそれを無駄に使わずに中期的にしっかり社会に還元していればいいはずです。
あまり単年度収支にこだわると、公共工事予算のように不用不急の出費をするだけになってしまいます。

その意味では、漢検の主催団体は脇が甘かったともいえます。毎年利益が出ないように親族企業に金を落としていればひょっとしたら見つからなかったかもしれませんから。
当の本人も予想していなかったくらい儲かったということなんでしょう。

また、2003年から利益が出ていたということですので、所管官庁の文部科学省としても監督が甘かったと言われても仕方ないと思います。今さら「公認会計士とともに検査実施」と言われても、「では今までは何をやっていたんだ」と言いたくなってしまいます。


報道を見る限りでは社団法人は相当私物化されていたようですが、大事なのは今回何(どこ)がいけなくて誰(監督官庁や理事(元国連大使の明石氏や清水寺管主もいるようですが)も含め)に責任があるのかをはっきりさせることだと思います。


ちょうど今年公益法人制度も変わることですし、公益法人の認定や検査のあり方に反面教師として生かすべきだと思います。



PS
でも考えてみると、公益法人としては補助金を食い物にしているよりはましだともいえるのですが、そう考えてみると他の特殊法人などを差し置いて今回の手入れをしてのはは漢字の苦手な読めない某政府高官の指令だったりするのでしょうか・・・


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日弁連の法曹増員抑制提言案

2009-02-09 | 法律・裁判・弁護士

日弁連はオブラートの包み方が上手くないようで。

「法曹増員、数年は抑制を」現状と同水準、日弁連提案へ
(2009年2月8日(日)03:01 朝日新聞)

司法試験の合格者を2010年までに年間3千人にする政府の計画について、日本弁護士連合会(宮崎誠会長)が、09年以降の数年間は現状の合格者数と同水準(2100~2200人程度)に抑えるよう求める提言の原案をまとめた。
(中略)
意見書は、法科大学院の「教育の質」が問題となっていることや、企業や市民の弁護士利用が増えていない現状を挙げ、「3千人という数値目標にこだわるのは不適切」と指摘した。

3000人合格体制というのは、司法試験という資格試験の合格者自体には特権的地位を与えるのをやめる、というだけなわけで、なんかピントはずれな議論だと思います。

弁護士にはその使命である人権擁護と社会正義を実現するために(今のところはまだ棒読みではありません)職業独占と自治が認められていているわけですが、司法試験合格者が当然に弁護士になれるとはどこにも決められてません。
逆に、弁護士が少ないために弁護士がいない地方都市の人の権利を擁護したり、一度司法試験に通ったら人数が少ないことをこれ幸いにいい加減な活動をする一部の弁護士を淘汰するために司法試験合格者=弁護士候補者を増やして、サービスの質と量を増やそうということだったはずです。

資格があったら当然に就職が出来るとか高い収入を得られるというのは一般的には不健全だと思います。
タクシーが多すぎるから自動車の二種免許を減らせとか長距離トラックの運転手の労働条件が悪いから大型免許を減らせ、という議論にはならないのと同じことです(弁護士の方が一緒にされて腹が立つ、というのであれば、腹が立つ理由を考えることが問題の本質に近づくことになるのではないでしょうか。)。

弁護士の「就職難」の実態はよくわかりませんが、弁護士過疎地域はまだ存在しているので、司法試験合格者の方も大都市での就職にこだわらなければ「失業」ということにはならないのではないかと思いますし、雇う側の既存の事務所も自分のパイを守ることだけを考えれば就職口は増えません。
既存の法律事務所が「仕事が増えないのにこれ以上雇えない」というのは、構造的には企業の非正規社員切りや正社員採用抑制と同じで、企業がマスコミのバッシングを気にしている中このご時勢堂々と言えるのはうらやましくもあります。
就職難の原因が「最近の司法試験合格者は能力が低くて使えない」とまで明言されてもいないようですし。


つぎに各論について。
「法科大学院の「教育の質」が問題」だというのは何を根拠にいっているのでしょうか。司法試験の合格率が低いのであれば、それは資格試験として機能している証拠なはずです。ましてや法科大学院の質それ自体は直接的には「合格定員を減らせ」にはならないはずです。
それよりも受け入れ側の弁護士会として具体的にどのような教育をするように求めるとか、司法試験のハードルをどの程度の高さに設定すべきだ(その結果として3000人合格にこだわるべきではないというならわかります)という提言をするべきではないでしょうか。
それに、多くの弁護士が法科大学院の教授や講師を務めているという事実を日弁連はどう評価しているのでしょうか。
弁護士が教育に専従しても成果が上げられない=実は弁護士事務所でのOJTも機能しない=結局司法試験を超難関にして優秀な人材を集めて初めて機能する仕組みだ、と開き直ればそれはそれで説得力はありますが、そういう仕組みにのっかって「人権擁護と社会正義の実現」(ちょっと棒読み)をはかるという制度自体がいかがなものか、というのが今回の司法制度改革のそもそもの問題意識だったのではないでしょうか。


「企業や市民の弁護士利用が増えていない現状」についても、弁護士側からここ数年特別な努力をしていたのでしょうか。
「市民の利用」については電車などの債務整理の広告は確かに増えましたが、ほかに何かやっているのでしょうか。
また企業の側からも、ここ数年でサービスの質が変わったという印象は持っていません(「質が低い」というわけではないですが特に向上もしていないかと)。ローファーム系の事務所に依頼すると打ち合わせの末席に座る最近入った弁護士の数が増えたくらいのものです。
「需要が増えないから供給調整をする」というのは企業の世界ではカルテルと呼ばれているのですが、その調整をしないと「人権擁護と社会正義の実現」(かなり棒読み)が危いような状況なのでしょうか。


どうもいろんな配慮の結果中途半端な提言になってしまっているようですが、開き直ってこのままじゃ食えないからどうにかしろと言ってしまうと、(昔の?)日本医師会のように診療報酬の引き上げのための圧力団体になってしまうところが悩ましいところなのかもしれません。

でも医師と弁護士の両方の資格を持っている人のほとんどは弁護士を本業にしていることなどからみても、まだまだ弁護士業は「おいしい」のではないかと思うんですが。


 

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春の訪れ

2009-02-08 | おイヌさま



暦というのは上手くできているもので、2月4日の立春を過ぎたあたりから寒さもやわらいできた感じです。
日差しも暖かく感じられるようになりました。


とたんに犬の毛も生え変わり始めました。
ブラッシングをするとごそっと抜け毛がとれます。




そして、花粉も飛び始めたようです。
しばらくは苦難の日々が始まります・・・
(参考:花粉チャンネル


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数毒

2009-02-07 | 自分のこと
昨年末に、携帯に「数独」のアプリケーションソフトが入っているのに気がついて以来はまっています。

電車で本が読めない状態でもできるので、通勤途中の駅までの徒歩と乗換え駅までの立っている時間を利用して主にやっています。

中に「成績」を表示する機能があってさっきそれを見たら、なんと通算2549分37秒も費やしていました。
時間を効率よく使っているつもりが無駄遣いになっている典型です。

キリよく終わらないと乗換で始発電車に乗っての読書の時間に食い込んでしまうこともしばしばです。

さらに歩きながらやっているのは危ないと自覚しているのですが、どうも癖になってしまっています(汗)


ところで今しがた、用足しをして駅から戻る途中で例によってゲームをしながら歩いていたのですが、交差点で右から来て右折する軽自動車を横目でやり過ごしたところ(気をつけていれば大丈夫。)、その軽自動車が50mくらい先のつぎの交差点で、横から来た車にもろにぶつけられてしまいました。
わき見運転なのか、かなり勢いよくぶつかったので軽自動車は交差点から押し出されて角の電柱にぶつかり全損に近い状態、ぶつかったほうの車もフロントグリルはぺしゃんこになってました。


車の方が見ていないときもあるわけで、ゲームに気をとられ車に轢かれたのではシャレにもならないので、これからは歩きながらするのはやめようと心に誓いました。


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日本綜合地所会社更生申立

2009-02-06 | あきなひ

内定取り消しの日本綜合地所破綻 補償金は支払い済み(共同通信)
(2009年2月5日(木)19:42)

みんな心配するところは同じなようで。

内定取消の補償金だと、雇用契約は終了しているので労働債権としても保護されないだろうし、踏んだり蹴ったりになるところでした。
結果的にはやはり内定取り消しをするような会社にはしがみつかないほうがよいかと。

ところでこれもクリードに続いて経営者が管財人として残るDIP型の会社更生なのでしょうか。
そもそもマンションデベは棚卸資産の土地+建築中建物と借入金とでバランスしているだけのいわば自転車操業の構造なので存続させないと社会的影響が大きいってほどでもない(対処が必要なのは契約後引渡し前の顧客くらい)し、新しく作ろうと思えばファイナンスさえつけばすぐに作れるので、破綻したところはとっとと清算してしまったほうがいいと思うので、民事再生でも(清算型以外は)どうよ、と思っているのですが、研究会報告などもあり、弁護士としては実績作りをしてみたいので会社更生に誘導しているということがあるのでしょうか。


結局エルピーダとかJALとか経産省の子飼いの企業を救済するためだったのかよ、という政府の事業会社への公的資金注入と比べて、国土交通省の下の宅建業者は実験台送りというのはかわいそうな気もします。
でも国土交通省としては可愛いのは公共工事と建設業者のほうなんでしょうね。

いずれにしても、退出すべき企業を延命させるよりは新陳代謝をはかったほうがいいと思います。
そうしないとアメリカに「日本の経験を生かせ」などと説教を垂れても説得力がなくなってしまいますし。



おまけの小ネタですが、別に「総合地所」というマンションデベもあるようです。
弊社「総合地所株式会社」と平成21年2月5日付けで会社更生手続開始申立てした「日本綜合地所株式会社」との混同についてのお知らせ

平成21年2月5日付けで会社更生手続開始申立てした「日本綜合地所株式会社」(東京都港区高輪二丁目21番46号、東証一部上場)と弊社「総合地所株式会社」は一切関係がございませんのでお知らせいたします。 社名が似通っていることからお問い合わせをいただきましたので誤解を避けるためにここにお知らせをいたします。

ごくろうさまです。

 

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インフルエンザ流行レベルマップ

2009-02-05 | よしなしごと

(2009年第4週 国立感染症研究所)
サイトはこちら


確か第3週までは警報レベルの一番高い赤は北海道と大阪近辺くらいだったのですが、そちらは一段落して他の地域に広がってきたようです。


皆様もご注意を。



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家電量販店とスーパーがヤマダ電機とイオンだけになるのはいやだな

2009-02-04 | よしなしごと

今回は少し

ビックカメラは粉飾決算問題で監理銘柄に指定され、さらに ビックカメラ会長に課徴金=1億2000万円、個人へ過去最高-監視委 (2009年1月31日(土)22:30 時事通信)  

家電量販大手のビックカメラが有価証券報告書に虚偽記載したとされる問題で、証券取引等監視委員会は31日、新井隆二会長が粉飾決算をもとに保有株を売却し、不当な利益を得たとして、約1億2000万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告する方針を固めた。個人に対する課徴金としては過去最高額となる。  
また監視委はビックカメラの増資も不正として、同社に対する2億5000万円前後の課徴金納付命令も勧告する方針だ。 

という状態で、今やビックカメラの株価はマイナスイオンドライヤー1個分くらいになってしまっています。  

でも僕は、もともと池袋界隈で育ったということもあり、家電量販店としてはビックカメラは好きなんですよね。
(メーカーの応援でない)店員がきちんと商品説明ができるところは立派だし、なんとなく買い物をしたくなる雰囲気がお店にはあります。  

これの反対でいい印象がないのがヤマダ電機。 2、3回しか買い物したことがないのですが、そもそも店員が少ないし、商品説明どころか担当以外の売り場の場所もよくわからない、挙句の果てにレジが一部しか開いていなくて長蛇の列ができても応援の店員が来ない、と気持ちよく買い物をできた記憶がありません。  
「安ければいいだろ、文句を言うな」というスタンスもありだとは思いますが、それなら個人的にはネット通販を選びます。  

たとえビックカメラが上場廃止になったとしても、お店としては頑張り続けてほしいものです。
(もっとも個人的には今回の課徴金で「手打ち」なのではないかというtoshiさんと同意見ですが、当然のことながら投資はご自分の判断で行ってください。)  


これも決めつけなのですが、イオンにもヤマダ電機と似たような匂いを感じます。  ダイエーに資本参加をして以来、近所のダイエーにイオンのプライベートブランドである「トップバリュ」の商品が数多く並ぶようになりました。
確かに価格はとても安いのですが、「トップバリュ」がずらーっと並ぶと売り場が威圧的になるんですよね。
色使いが暗いというのもありますが、選択の余地を狭めて「庶民にはこれで充分だろ」と言われているようで、買い物の楽しさが奪われるような感じがします。
ダイエーのプライベートブランド「セービング」もまだ一部で頑張ってますが、食品ではちょっと高級というか安全重視路線の「おいしく食べよう」(だったかな?)というシリーズを増やそうとしているようなので、そっちを応援したくなります。


元来の天邪鬼な性格もあるのですが、何回か言及しているように、特に食品においては『日本の食は安すぎる』の著者の主張でもある「消費者がいいものを買い支える」ということが大事だと思います。
高成長企業かもしれませんが、ヤマダ電機とイオンだらけの世の中はちょっといやだな、と思うのは贅沢なのでしょうか。


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「公務員制度改革」だけでは片肺飛行

2009-02-04 | まつりごと

公務員改革「工程表」を決定、人事院機能を一部移管
(2009年2月3日(火)13:58 読売新聞)

政府は3日午前、国家公務員制度改革推進本部(本部長・麻生首相)を国会内で開き、2012年までに取り組む改革の道筋を示す「工程表」を決定した。  焦点となっていた、幹部公務員の人事を一元管理する「内閣人事・行政管理局」(仮称)は2010年4月をめどに設置し、人事院の持つ各省庁ごとの給与ランク別の定員を定める「級別定数」管理機能などを移管すると明記したが、人事院の反対姿勢は強く、実現までには曲折がありそうだ。
 (中略)  
「天下り」については、「根絶」する方針を打ち出し、定年まで勤務できる環境整備に努め、11年から「根絶に対応した新たな人事制度を実現する」と明記した。1種試験合格者がほぼ自動的に昇進する「キャリア制度」を廃止し、12年度前半から、新採用試験に移行するとした。

(前から書いているように)僕自身は官僚の「天下り」や「渡り」がすべていけないとは思っていません。 
組織に適切な人材を配置することは必要ですし、また組織のピラミッド(指揮命令系統)を維持しながら人材の世代交代を進めていくには昇格できなかった人を滞留しないようにしないといけないので、何らかの形で新陳代謝は必要だと思います。
公務員として内部に抱え続けるとコストがかかるわけで、特殊法人や外郭団体が人材を必要としているのであれば、そちらで活躍してもらったほうがいいわけです。
そして、本来特殊法人や外郭団体が所定のパフォーマンスを上げていて、そこの要職にはしかるべき能力の人材をしかるべき処遇で配置することが必要であれば、天下りであろうと渡りであろうと内部昇格だろうと外部の人材だろうと国民にとっては税金が無駄に使われているわけではないので目くじらを立てる話しではないはずです。  

ただ問題は、特殊法人や外郭団体が本当に必要な業務を行ってはおらず、結局官僚OBを補助金で養うことが主目的になっていると思われているところです。 
つまり一番の問題は、天下り・渡り先である特殊法人や外郭団体のパフォーマンスを測定する物差しがないことと、そこの要職の処遇体系が必要とされる能力に対して適当かどうかということが検証されていないことです。 
特に前者については、そもそも特殊法人や外郭団体の設立を許可した時点(または補助金を交付した時点)で効果測定の基準を持っていなければいけない話です。  


ということで、定年まで勤務でき、キャリア制度を廃止した「根絶に対応した新たな人事制度」がそのこと自体は異論はありません。 
ただ、民間企業においては人事制度は常に試行錯誤の連続のわけで、継続的に見直すメカニズムを盛り込むことが必要だと思います。 

いずれにせよ、官僚に優秀な(トップレベルではないにしても一定程度の能力のある)人材が集まらないと困るのはわれわれ国民ですので。


それから、公務員制度改革だけでなく特殊法人や外郭団体の存在意義の検証のほうも力を入れてもらいたいと思います。
これは車の両輪ですし、こちらのほうが公務員制度改革よりは難易度は低く、しかも実効性が上がると思うので。

また逆に、今の状態を放置して天下りを禁止すると、既に天下っている人に対するガバナンスが効かなくなる、という弊害もありえますし。 


 

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GMとトヨタ

2009-02-03 | あきなひ
NHKスペシャル「アメリカ発 世界自動車危機」を見る。
なかなかよくまとまっているのと、将来展望が総花的で見えにくいあたりがかえって暗示的。

冒頭でGMが90年代から金融子会社のGMACを使って自動車ローン事業とその証券化による資金回収に積極的に取り組み、自動車販売でなく金融事業で収益を上げるモデルに代わっていったこと、それがさらにより購入者の負担が少ないリース事業に進出し、さらにリース債権も証券化することでますます加速していったことが描かれています。


一方日経ビジネス1/26号の記事「資金確保に焦る大企業」では、トヨタ自動車が2008年3月期の連結キャッシュフローが8933億円の赤字だったことを取り上げています。
内訳は自動車事業が7516億円の黒字の一方でローンなどの金融事業は1兆5888億円の赤字になっていて、これはローンにより自動車販売を拡大してきたGMなどと同じビジネスモデルだ、と指摘しています。


実はトヨタ自動車の連結フリーキャッシュフローが赤字になったのは2002年度から、大幅な赤字になったのも2005年度からとかなり前から兆候はあったようなのですが、証券アナリストたちはこの辺の構造変化を指摘しなかったのでしょうか。

また、GMと違ってトヨタはローン債権を証券化して売却をせずに自分で抱えているのでキャッシュフローの赤字になっているとしたら、ここの部分はGMを見習っておいたほうがよかったのではないか、それとも日本の金融市場にそこまでの引き受けてがいなかったのか、日本人の自動車ローンの事故率がとても少ないので証券化しないほうが得策なのか、はたまた実は思いっきり証券化して債権を売却したのにまだこれだけ残高が残っているのかなどいろいろ考えさせられました。


結局、洋の東西を問わず同業の会社は中期的には似たような行動を取るようになるということなのでしょうか。

コメント (2)
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『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』

2009-02-02 | 乱読日記

年末いろんな本を衝動買いしたので、何で買ったんだかわからない本が山積みになっているので片っ端から読んでます。

結論から言えば、論理的な文書(著者はこれを「相手に自分の考えを間違いなく伝える文章」というように定義してます)の書き方のコツは

<問題・結論・理由>という型式に沿った文章を書くこと

と著者は言ってます。

「ああ、そんなこと普段からやってるよ」、という人は読まなくていいと思います。
「へぇ~」っと思った人は、そのことについての著者の大学での講義を再現したかのようにわかりやすく書かれているので(新書版250ページで1000円というのはちょっと高いですが)読んでみてもいいかもしれません。

著者は上のような<問題・結論・理由>という型式の文章を「クイズ文」といい、<事実・感想>という型式の文章を「日記文」といって区別しています。
これは優劣の問題でなく性格の違いで、両者の一番の違いは

クイズ文には論理的に反論できるが、日記文には反論できない

というところです。

だからブログのコメントは「議論」にならずに炎上しやすいんですね。


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