一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ディフェンスラインの引き方

2009-02-12 | あきなひ

トラブルが起きて自分の方が不利な状況の場合、一度後退してディフェンスラインを立て直すということをします。
ただ、いきなり引き過ぎて相手の追撃に加速度をつけてしまったり、逆に被害を最小限にしようと前線で防禦した結果突破されて致命傷になるなど、判断が難しい戦術ではあります。

今週はちょうど好対照の二例がありました。

神鋼、会長と社長が引責辞任へ 地方選めぐり違法寄付
(2009年2月10日(火)16:39 朝日新聞)  

神戸製鋼所(本社・神戸市)は10日、兵庫県と山口県にある3事業所で、地元の県議選や市議選で同社の労働組合が推薦する候補者5人の後援会に計約2700万円の不適切な支出があったと発表した。政党と政治資金団体以外への企業からの寄付を禁じた政治資金規正法に違反する行為だったとして、犬伏(いぬぶし)泰夫社長と水越浩士(こうし)会長が3月末で引責辞任し、後任社長に佐藤広士副社長が昇格する。
(中略) 
犬伏社長、水越会長とも「寄付の報告は受けていなかった」としている。それにもかかわらず、辞任する理由として、同社長は「06年に神戸製鉄所などのばい煙データを改ざんする問題が発覚し、コンプライアンス(法令順守)を第一にしてきたが、徹底できなかった。会社として事態を重く受け止めた」と話した

思いっきり後退して立て直そうというタイプ。

辞任の原因となった事件自体がマスコミ報道すらされていない中でかなり唐突感はあります。逆に言えばマスコミのバッシングを避けるための見事な先制攻撃とも言えます。
さらに社長と会長の首をさし出すことで、社内を引き締めるとともに(内部抗争があったりすると引き締め効果は出ませんが)監督官庁や検察の心証を良くしたり、骨がらみになっている労組との関係を正常化しようという目的があるのでしょうか。


【鹿島裏金】キヤノン会長、関与ないと強調
(2009年2月10日 23:03 産経新聞)  

日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は10日、都内で報道陣の取材に応じ、大分市のコンサルタント会社「大光」社長、大賀規久容疑者(65)が法人税法違反容疑で東京地検に逮捕されたことについて「キヤノンもわたしも事件に何ら関与していない。格別の対応は考えていない」とあらためて強調した。  

御手洗会長は大賀容疑者を「長年の友人」とする一方で「納税は国民の重要な義務。容疑が事実なら許されることではない。弁護する気もない」と突き放した。  

キヤノン発注工事の受注に大賀容疑者の影響力があったという指摘には「全く想像しておらず、夢にも思わなかった。気付かなかったことは非常に残念だし、悔しい思いをしている」と述べた。

これは一歩も引かずにふんばるタイプ。

ここしばらくきな臭い話が出ていた案件なので、キヤノン側も準備万端だったのではないでしょうか。
後ろを見せてしまうと二の矢三の矢が来るので引くわけにはいかないのでしょう。
御手洗氏としては「間にかませてやったんだから火の粉はこちらに及ばさないのは当然だろ」というところではないかと。そのためのバッファーとかダミーとかなのでしょう。

実際に資金を御手洗氏まで還流させてはいないからここまで強気に出られるのかもしれません。
または御手洗氏くらいになると、検察との間で「立件はここまで」という合意があったりするのでしょうか。



 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする