一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

メタボ2

2008-04-09 | よしなしごと

おとといメタボのエントリをアップしたら、ちょうど日経新聞の経済教室に「肥満と負債、強い相関」という記事がのっていました。

05年に住宅ローン以外の借金の有無と回答者の体系の関係を調べたところ、「負債あり」のグループの方が肥満度が高いという結果が出たそうです。
さらにこれを余分な脂肪を「負債」と考え、他の回答を利用して経済学的に分析しています。
その結果肥満の人に共通している性格として

1 せっかち
将来の価値(利益・損失)に対する割引率が高い=将来を待てない

2 後回し傾向
遠い将来は辛抱強い選択ができるのに、目先の計画にはとたんにせっかちになる=「双曲割引」というらしい

3 将来の損失をおそれない
将来の受け取りの期待割引率と将来の支払の期待割引率との差(=符号効果)が小さい

という傾向があることがわかったそうです。

その結果長期的利益に反して過剰な脂肪を蓄えてしまうとか。

太り気味というだけで社会的な非難を浴びるような世の中はどうかと思うのですが、こういう統計的分析も「性格的欠陥」のように言われかねない危さがあります。
「ちょっと前のアメリカと同じ」という日本の得意技でもあるのでしょうが行き過ぎのように思います。

「容姿で差別してはいけません」と子供に教えている小学校の先生は、どう対応するのでしょうかね。


PS
余談ですが「長期的利益に反して過剰な脂肪を蓄えてしまう」というところで、ケインズの「長期的という視点は現在の問題の解決を誤らせる。長期的には我々は皆死んでしまう。」という文章が思い浮かんだぶのですが、ケインズご本人(写真右側)は大柄ではあるものの肥満ではなかったようです。

 

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『敵対的買収の最前線』

2008-04-09 | 乱読日記
toshiさんの課題図書に指定されていたので購入してみました。

『敵対的買収の最前線―アクティビスト・ファンド対応を中心として』というものものしい副題がついています。
本書は「西村高等法務研究所叢書」というシリーズの2冊目で、西村あさひ法律事務所の研究部門である西村高等法務研究所の講演会をまとめたものです。

なんかやたらと「高等」が目について、講演会のまとめなら「口頭」じゃないか、などとまずは悪態をついてもみるのですが、考えてみればこの手の本はけっこうありがたいです。

講演会といっても、人気のものだとそもそもはいれないし、スケジュールがあうとも限りません(それに講演会だと「緊急の要件」に負けてしまうことも多い)。
また出たは出たで満員だと冬場は特に荷物の置き場がないし(まあ、「西村高等・・・」であればホテルのクロークつき宴会場とかでやるのでしょうが)、夏場は隣の人が体臭がきつかったりすると最悪です。
なので、講演内容をまとめた本は時間のあるときに細切れで読めたり、ポイントは読み返したりできるのでけっこう重宝します。
本書もコンパクトにまとまっていて、講演時のスライドなども乗っているので、自分の資料にパクれを作るときに参考にもなります。
これで1400円は時間効率からいってもお買い得です。


内容的には、落合中央大学教授、中山弁護士、マーク・ラムザイヤーHLS教授らが委任状争奪戦(proxy fight)について、岩倉弁護士がブルドックソースの話(高裁決定時点)をしています。

中山弁護士は委任状勧誘と株主提案権の行使について概観をさらっとふれています。
これはモリテックスの事件に代表されるように、いざ実戦となると相当いろいろなパターンがあるでしょうから、奥が深い話です。
(大統領選挙の集計でももめるアメリカ由来の議論だからというわけでもないでしょうが)

さらに保管振替機構の実質株主名簿にカストディー名義で登録されている場合の大量保有報告とのずれについてもさらっと書かれていますが、この辺もけっこう厄介な問題がありそうです。

実務的には詳細な検討がされている中での氷山の一角の講演だと思いますので、ぜひ氷山の水面下の部分も別の論稿で拝見したいと思います(というか、そこは仕事として依頼しなさい、ということでしょう。)。


講演を聴きにいって、最近のトピックスや論点を仕入れる、という役目は十分果たせる一冊だと思います。

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