小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

コビレゴンドウの全身骨格 組立大作戦!!

2018年12月07日 | 小笠原 野生動物
■先日、実はずっと楽しみにしていたイベントがありました。
それが、コビレゴンドウクジラの骨格を組み立てるイベントです!!

このイベントには興味のある島民も多く、子供達も多く参加しとても楽しい時間となりました♪

だって組み立ててみたら思わず横になって寝てしまう人が出るくらい(笑)!

この個体は2013年に母島南京浜に座礁し、その後砂浜に埋めて、分解を待ちました。

当時の事は過去のブログ記事にしているので、そちらを参照してみて下さい♪

これはとてもセンセーショナルな出来事でした♪

そしてついに2017年に掘り起こしました。
我々の予想に反して、砂の中に骨だけだと思ったら、
ブルーシートに包んでいたせいか、
と~~~っても香ばしい匂い(笑)と、グッチャグチャの発酵した!?腐敗肉のおまけ付きでした♡

これもとっても楽しい作業でして(笑)、一応当時のブログ記事に書いてあります。

そしてついに今回、その骨格のすべてが日の目を見る事となりました!!やった~~~!!!


■まずは簡単にコビレゴンドウについてスライドでレクチャーを受けます。

ふむふむ。
オスの体長は5.2m、メスは3.8mまでに達するそうです。
出生体長は1.4m。
寿命は60年くらい。
性成熟は♂14~19歳、♀7~12歳。
妊娠期間は15か月。
マッコウクジラに劣らないほどの高度な母系社会を形成するそうです。

潜りも500m以上の深海に潜るんですね!すごい!!

今回の個体は歯の摩耗も激しく、何本も抜けていたので、
高齢のメスではないかとのことです(歯は生えたらそのままで、生え変わらないらしい)。


みんなで頭骨を眺めてその作りの不思議さに驚きます。


ハクジラは呼吸する鼻孔が中心から僅かに左にずれているのが特徴です。
そう、左右非対称なのです!(そう言えば、人間の心臓も左側…身体の左側に何か謎が!?)
これは今年カナダでシャチやマッコウの頭骨を見てもそうでした。
鼻孔は「テレスコーピング現象」というクジラ独自の進化の特徴を獲得したため頭頂部に移動して、
海面に出て呼吸をする事が安易になっています。

あと頭部の大きな丸い飛び出た部分は「メロン」という脂肪の組織で、
ハクジラはエコロケーションという超音波を使い、それを受け止める器官となっているそうです。
ちなみにヒゲクジラにはこの器官はありません!


手に持っているのは下あごの骨です。
中は空洞になっていて、脂肪が詰まっており、
この空洞で音を増幅し、骨を伝って、耳骨に送ると言われているそうです。
すごいですね~~!


これが耳骨です。
左右に2つずつあり、合わせるとぴったりと合います!

現生のクジラ類では耳骨が頭骨から遊離しているそうです。
ハクジラの耳骨は一部の種を除いて軟組織のみで頭骨に接していて、完全に骨による接続は断たれているとのこと。


その位置がここら辺だそうです。



そして、僕が掘り起こしの時に一番気になった部位、「舌骨」です!
このブーメランみたいな不思議な骨は顎の奥に付いています。
これはハクジラが餌となるイカなどを“強い吸い込みで飲み込むための筋肉”を付ける為に発達した骨だそうです。
面白い!!


■そして、首から下の部分になっていきます。

これは頸椎の部分で、7つの骨が癒着しています。
哺乳類尾であれば首の長いキリンでも頸椎の骨は7つだとか!


そして講師のOさんに「まずはみんなで考えて脊髄の骨を並べてみましょう~!」
ということで、みんなでああでもない、こうでもないと言いながら並べていきます。


そして修正してもらいながら、あ~こうだったのかと感心する参加者(笑)。

胸の部分の胸椎、腰の部分の腰椎、尾椎とそれぞれ並べていきます。
面白いようにテトラポットみたいな形の骨もあります。

このナイキのマークみたい(笑)なのは、骨盤の名残となる「骨盤痕跡」です。
哺乳類が陸上から海に戻る進化を裏付ける重要な部分ですね!
胎児期は実際に足もあるらしく、とても興味深い部分の骨です。


尾椎の方になると、強く縦に振る為に発達したV字骨というのが下に並びます。
これの順番がなかなか難しい!!


■そして胸ビレの部分の骨になります。

扇形の肩甲骨からその先、
ちゃんと1枚の胸ビレに5本の指の骨があるのです!!
しかし、この順番はかなり難易度が高いらしく、講師のOさんも難しいと言っていました(*^_^*)


この長いやつは肋骨です。

500mを超える深い深海に潜る為に中央に関節があり、
肺が水圧で潰れても、骨で守るシステムになっているようです。

何から何まで骨は語ってくれますね♪

■ようやくこれで完成です!!

ブラボー!!

体長3.6mのコビレゴンドウ♀の全身骨格標本の出来上がり~~!!

子どもが並んで寝るとちょうど3人分(笑)。

みんな頭も手も使ってのイベントですごく楽しめました♪

OWA(小笠原ホエールウォッチング協会)のOさんのレクチャーの元、
ああでもない、こうでもないとみんなで悩みながら骨を並べる作業はすんごく楽しかったです♪

僕個人的には、舌骨(海中で獲物を吸い込む筋肉の為の骨)、
骨盤の名残の骨が一番興味がある部分でした!!

本当にいい経験をさせて頂きました。
どうもありがとうございました!!

■埋めるのも、掘り出すのも面白かった思い出のコビレゴンドウ、ひとまずこれで完結♡

その後はどう展示するかは決まっていません。

個人的にそんなに巨大なインパクトのサイズのクジラではないので、
こうした組み立てるイベントや勉強の為の標本として保管して、使って行くのはどうかな~と思っています♪


こんな景色の中、海ではコビレゴンドウなどの鯨類が群れを成して泳いでいるのですね。
僕がこうしてブログ記事を書いている間にも、
内地で都会の雑踏で人が歩んでいるその時も。

なんだかその感覚が不思議でなりません。

僕はまだ生きたコビレゴンドウを見たことがありません。
ザトウやマッコウほど有名な種類ではないけど、
そのマッチョなスタイルと、可愛いまあるいおでこは、いつか海上で会ってみたい鯨類のひとつです♪