玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

恥ずかしくないのだろうか

2008年10月27日 | 日記
 十七日午前七時十二分に、ある電子メールが届いていた。件名は「水と土の芸術祭『市民サポーターズ会議(仮称)キックオフミーティング』を開催します」というもので、送信者はWさんという、一度名前を聞いたことのあるような、ないような人であった。
 内容は、来年新潟市で開かれることになった「水と土の芸術祭」を盛り上げるための「市民サポーターズ会議」の立ち上げを二十九日に朱鷺メッセ展望室で午後七時から開くので参加してほしいというものだった。新潟市の篠田昭市長と総合ディレクターをつとめることになるらしい、新潟市の美術企画監・北川フラム氏も出席するという。
 「高所恐怖症で、あの展望室に長時間とどまることができないため、出席できない……」とメールを返した、というのは冗談で、この「水と土の芸術祭」自体に疑義を持っている。それは、同じく来年十日町市と津南町で四回目が開催される「大地の芸術祭」に対する疑義よりもさらに大きい。
 なぜ天下の政令都市である新潟市が、十日町市と津南町の“二番煎じ”や“モノマネ”をやらなければならないのか。恥ずかしくはないのだろうか。しかも、準備期間も十分ではないのに、いきなり来年の七月から十二月に開催するというのである。事業費は四億七千万円で、新潟市の負担は三億七千万円だという。
 今年三月の新潟市議会で、予算の凍結が決まったというので、市議会の良識を評価していたのだが、九月の議会であっさり凍結解除となってしまった。北川氏は「二〇〇九年でやらないと時間がたつだけ。ここでやらないともったいない」などと言っているが、そんな理屈が通るのだろうか。
 疑義の第一はこのような芸術祭を、行政主導で上から行おうとする姿勢に対するものである。こういうことは市民が自発的に、時間をかけてやるべきことで、税金をつかって上から市民にやらせるようなことではない。朱鷺メッセ展望室にはもちろん行かないし、来年「水と土の芸術祭」を“見物”に行くこともないだろう。

越後タイムス10月24日「週末点描」より)



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