玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

巨大ヤマボウシの実

2008年10月10日 | 日記
 先日、タイムス俳壇賞の年間最優秀賞をお届けに、市内大広田の小林一昭さん宅を訪問した時に、奥様が洋いちぢくを出してくださったので、おいしくいただいた。いちぢくなんか、どこの家にもあって、洋いちぢくの大木のあった父の実家を思い出した。
 だから、いちぢくというものは買って食べるものではなく、自分の家の木から採って食べるか、親戚からもらうかして食べるものと思っていた。ところが今ではスーパーで売られていて、しかも結構な値段がするのだ。“買って食べるものではない”という思い込みがあるから、買わない。だからめったに食べることがない。
 奥様はさらに、庭から何かを採ってきて「これ何だか分かりますか」と言われる。掌を見ると、そこには超巨大なヤマボウシの赤い実があった。「ヤマボウシでしょ。でも、こんなバカでかいの初めて見ました」と答えた。普通のヤマボウシの実の直径の二倍はあった。
 ヤマボウシの実は、サクランボのような形で、木にぶら下がっている。二個セットでなく、こちらは単体で、サクランボよりやや大きい。表面にイボのようなものがいっぱいついていて、一見無気味だが、意外とおいしい。果肉は濃いオレンジ色で美しく、果肉を食べて皮は吐き出す。
 完熟したアボカドのような食感と味が特徴で、他のどんな果物にも似ていない。アボカドは料理につかうからヤマボウシも料理につかえるかも知れない。あのあざやかなオレンジ色は、食欲をそそるにちがいないし、甘さが強くないのも料理向きのような気がする。
 ところで北条では、このヤマボウシの実のことを“ヤマカ”というのだそうで、初めて聞く言葉だった。奥様が言うには「漢字で書けば山果」ではないかということだった。昔はきっと“ヤマクァ”と言ったに違いない。“果”は“クァ”と発音していたからだ。“ヤマクァ”の方が田舎っぽくていいと思った。

越後タイムス10月3日「週末点描」より)


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