玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

偽装ベーコン

2013年11月29日 | 日記
 阪急阪神ホテルズの経営するレストランの食品偽装問題発覚に端を発して、全国いたるところの高級レストランで同じような問題が次々と露見している。高級レストランで食事をすることなどないので、ほとんど関わりのない世界の話だが、“偽装”を“誤表示”と言いつのる二重の“偽装”に憤りを感じる。
 いかに“誤表示”と強弁しようが、消費者離れは防ぎようもなく、それらのレストラン経営者は社会的な処罰を受けざるを得ないだろう。しかし、正直な表示を行って良心的にお客に提供しているレストランまで巻き添えを食うのを防ぐ方法はない。
 先日ある居酒屋で“芝エビの唐揚げ”がメニューにあり、食べてみようかと思ったが、“芝エビ”でなくて“バナメイエビ”ではないのかとの疑惑を感じ、結局注文することはなかった。どちらも食べたことがないので区別などできっこないのに、今回の事件で、そうした抑制が働いてしまうのだ。
 過去にも食品偽装事件はたくさんあったのに、我々はそのほとんどを忘れている。平成十三年から十五年にかけては牛肉偽装事件が多発し、日本ハムや雪印などの大手メーカーが関わっていたことも忘れている。
 平成二十年には不二家が消費期限を偽装表示して信頼を失い、柏崎市役所近くにあった店舗がペコちゃんと一緒に消えたことは、身近な話題だったのでよく覚えているが……。
 ここまで書いたら、さらに大手百貨店での食品偽装が報じられ、事件は拡大の一途の様相だ。三越伊勢丹までやっていたのかと思ったが、それはテナントでのことであって、監督責任を問われているのにすぎないと分かった。問題の性質が違うと思うのだが。
 ところで最近手作りのベーコンを楽しんでいるが、市販のベーコンよりはるかに美味しいのにびっくりしている。市販のものは燻製時間を短縮するために、燻液を注入したり、表面に吹きつけたりしたものがほとんどだそうで、そんなものを“ベーコン”として売るのを“偽装”とは言わないのだろうか。

越後タイムス11月8日「週末点描」より)


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