玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

あと1年で百年

2010年06月03日 | 日記
 五月二十日を看過してしまった。本来なら先週書くべきことをこれから書く。本紙「越後タイムス」は明治四十四年五月二十日創刊である。つまり創刊以来九十九年が経過し、来年の五月二十日には創刊百周年を迎えることになるのだ。
 ずっとこのことは意識してきたのに、やり過ごしてしまったことは、編集発行人のズボラな性格をよく表している。近頃では自分の誕生日さえ忘れてしまうこともあるから、老化現象の表れかもしれない。
 吉田昭一前主幹の跡を継いだのは、平成十三年十月であるから、九年と七カ月、タイムス紙を発行し続けてきたことになる。吉田前主幹が四十五年間続けたことに比べれば、ものの数ではないが、創刊百周年まであと一年という日を迎えて、“よく続けたな”という気持ちがないでもない。
 前主幹の著書『石ぐるま』の巻末に付された年表を見ていると、タイムスの積み重ねた偉業に驚きを禁じ得ず、現編集発行人が十年かけて、それらに何事を付け加えることができたのかと考えると、忸怩たる思いにかられてしまう。
 しかし、あと一年である。これから百周年の準備もしなければならない。百周年記念号の企画も考えなければならない。「越後タイムス百年史」のようなものを書くことも義務の一つと考えている。だが皆目、具体的なアイデアが浮かんでこない。
 今までも時折、タイムスの百年を振り返ってきたが、今号から本格的に「タイムスの百年」回顧の欄を継続させる。まだ大正九年までしか辿れていない。あと九十年分も残っている。
 大正十三年には民芸運動の創始者・柳宗悦が柏崎に木喰仏の調査に訪れ、同人達が協力したという歴史もある。ものの本には、この事実が地方ローカル紙の輝かしい歴史として取り上げられているが、戦前に廃刊になったことになっている。まだ死んじゃいませんよ。

越後タイムス5月28日「週末点描」より)

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