玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

税金で空気を

2007年12月02日 | 日記
 十九日の「柏崎市における地域生活交通体系整備と夜間乗合タクシーの導入プロジェクト検討会」という、やたらと長い名前の会議を取材して、“なるほど”と納得するものがあった。
 中山間地から柏崎駅に向けて走ってくる路線バスに、ほとんど乗客がいないことは知っていたが、一便平均で、柏崎│岡野町が六~七人、柏崎│野田は三人、野田│鵜川間は〇~一人だというのだ。しかも、どんなに乗客が少なくても大型バスがつかわれていて、“税金をつかって空気を運んでいる”と揶揄される由縁となっている。
 “大型バスを小型に替える予算もない”というのが事業者の現実で、そう簡単な問題ではない。しかし、路線バスの赤字補填のために、毎年市が六千万円の補助を行っていて、高柳地区だけでも補助金が二千万円にのぼるという話を聞くと、何とかしなければと思ってしまう。
 ということで、市は生活交通の確保のために、成沢地区で支線乗合ワゴン車の、米山地区で乗合タクシーの試行運行を始め、そうした試みを全市に拡げていこうという方針なのだ。今年七月に開始された米山地区の乗合タクシーは、住民負担もあって、市の負担は年間六十万円ほどに止まる。市全体の路線バスへの補助の百分の一に過ぎない。
 米山地区では、「ガソリン代より安くて便利だ」「柏崎で飲んだ時にも走らせてくれないかな」という声を聞いたが、市はそのことも本気で考えている。飲み会帰りの人のための夜間乗合タクシーの運行を緊急課題としているのだ。
 飲んだあと、いつでも歩いて帰ることのできる者にとっては理解できないことかも知れないが、市周辺部に住む人々にとっては切実な問題なのだ。タクシー代が飲み代よりも高くなってしまうからだ。深夜乗合タクシーは、飲酒運転の防止と、まちなかでゆっくりたっぷり飲んで、中心市街地の飲食店に潤いをもたらすことも目的としているのである。

越後タイムス11月23日「週末点描」より)