「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

遺族になって 考え変わった -- かえらぬ命 (1)

2009年04月23日 23時05分06秒 | 死刑制度と癒し
 
 裁判員制度も 目前に迫ってきました。

 少し前の 記事になりますが、

 読売新聞に連載されていた 死刑シリーズを紹介します。

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 オウム真理教の犠牲になった 阪本堤弁護士,

 妻の都子(さとこ) さん, 長男龍彦ちゃん (当時1歳)。

 都子さんの父・ 友之さんは、 次のような言葉を 残しています。

「 (犯人たちは) 死刑になるでしょうが、

 1回には殺したくない という気持ちです。

 死刑台に 載せては下ろし、 載せては下ろし、

 何日もやってもらいたいです。

 都子の分、 堤の分、 そして龍彦の分を やってやりたいです。」

 友之さんは 死刑制度にずっと疑問を感じ、

 死刑のない社会が 理想だと思っていました。

 都子さんにも  「人の命は地球より重い」 と言い聞かせ、

 都子さんは 人の痛みを感じられる 娘に育ちました。

 都子さんは 死刑制度を良いと 思っていなかったでしょう。

 阪本弁護士も 国が人を殺すことに 疑問を持ち、 死刑に反対の立場でした。

 しかし友之さんは、 当事者になって 考えが変わりました。

 死刑制度があって良かったと。


 一方、 死刑が確定した教団幹部の、 延命を望む遺族がいます。

 信者になった家族の 脱会活動をしている  「家族の会」は、

 阪本弁護士一家殺害の 実行犯・岡崎死刑囚の 執行停止を求め、

 4000人分の署名を集めました。

 「家族の会」 会長で、

 自らも教団に襲撃され 生死の堺をさまよった 永岡さんは、

 岡崎死刑囚に面会して 伝えました。

「 少しでも生き延びて、 教団に残る信者に、

 教団の誤りを 気付かせてほしい。」

 永岡さんは語ります。

「 教団に子供を奪われた 親たちにとって、

 (幹部の存在は) わずかな希望でもある。

 ただ、 犠牲者の遺族の方々には

 納得していただけないことも 理解している。」

〔読売新聞より〕