「境界に生きた心子」 を 読んでくださった方から、
先日コメントをいただきました。
ボーダーである娘さんを、
昨年 自死で亡くされたという お母さんからです。
その方のご家庭は 昔から普通の家族と 何ら変わりなく、
娘さんと よく旅行や食事を 楽しんだといいます。
発病のきっかけは 以前の交際相手との 諍いと別れだということです。
娘さんは、
両親から どんなに愛されていたかという 言葉も残しているそうです。
しかし拙著では、 ボーダーの原因として 生育歴を強調していることに、
とても傷つかれたという 真摯なコメントでした。
子を思う親心は 恋人の愛情に 勝るとも劣らないものなのに、
家庭環境を問題視することが 非常に悲しかったと……。
その方には 本当につらい思いを させてしまい、
大変申し訳ない気持ちで お返事を書きました。
娘さんを亡くされたばかりで、 その悲しみは 殊更だったと思います。
幸い こちらの謝意は伝わり、 理解していただけました。
4~5年前まで、 ボーダーの原因は
専ら 家庭の愛情の過不足だと 言われていました。
2004年出版の本では、 BPDを沢山 診ている専門家が、
円満な家庭に育った BPDは一人もいない,
例外はない などと書いています。
新風舎版 「境界に生きた心子」 を 書いた頃には、
生まれつき 脳に器質的な原因があることは まだ知られていませんでした。
その後、 生物学的な要因が 言われるようになりましたが、
まだ詳しく分かっていませんし、 浸透もしていません。
星和書店版の拙著でも それについての記述は少なく、
生育歴のほうが 色々複雑な要因があるため、
記述が多くならざるを得ませんでした。
(次の記事に続く)