「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

動じずに受容

2009年04月06日 22時22分24秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

 苦しむ人の苦しみを ありのままに受け入れ、

 心を寄せることが、 その人の傷を 癒していきます。

 心子から 攻撃を受けても、

 一番苦しいのは 心子なのだということを 肝に銘じ、

 僕は彼女を 受容する姿勢でいました。

 そして僕は、

 「動じないこと」 「巻き込まれないこと」 を 心がけていました。

 心子が僕を どんなに非難しても、

 それはBPDが させていることであって、 彼女の本心ではありません。

 理想化とこき下ろしの両極で、 悪いときは 徹底的に批判しますが、

 いい時は そんなことはすっかりどこかへ 行ってしまいます。

( そういう蜜月があるから、 しんどい時があっても やっていけたのですが。)

 彼女の 僕に対する非難は 客観的事実ではありませんし、

 それを真に受ける 必要はありません。

 心子の言葉に 巻き込まれないように、

 自分を保っているのが 大事なことです。

 彼女の言動に いちいち反応することなく、

 常に一貫した態度で 動じないでいること。

 それは、 目まぐるしく変化する ボーダーの人に対して、

 何があっても変わらないものが この世にはあると、

 教えることになるといいます。

 また、 ボーダーの人が 感情的になっている時には、

 どんなことを言っても、 どんな態度を取っても、

 決して 功を奏することはありません。

 してもダメ しなくてもダメ、 どちらに転んでも 怨まれるという、

 ボーダーの人との 袋小路です。

 何かを伝えるのは、 相手が落ち着いている時に、 優しく語ることです。

 上から目線ではなく、 対等な立場で 話すことに留意します。

 しかしながら、 当時 境界設定という情報があったら、

 心子への対応は どうなっていたでしょう。

 違う経過や結果も あったかもしれないと考えると、 とても遺憾な思いがします。