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「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

謝罪の手紙 読み返し -- かえらぬ命 (6)

2009年04月29日 21時48分37秒 | 死刑制度と癒し
 
 江崎恭平さん (64) は 拘置所から届く手紙を、

 手許に置いて 何回も読み直しています。

 その数は 60通を超えました。

 うまい文章ではありませんが、

 一生懸命 書いているのだろうことは 分かります。

 1994年、 長男の正史さん (当時19才) と友人は、

 3人の少年に 因縁をつけられ、 金属パイプでめった打ちにされて、

 二人とも亡くなりました。

 少年らは 他にも二人の命を 奪っていました。

 公判中、 死刑判決を受けた 二人の少年から 手紙が届くようになりました。

( 現在上告中 )

 恭平さんには 手紙の言葉が きれいごとに見えましたが、

 手紙は送り続けられました。

 受け取りを拒否していますが、

 拘置所の作業で 溜めた現金も 年に一度届けられます。

< 読経や写経を させて頂く事と 請願作業をして頂ける賞与金を

 御遺族に送らせて貰うのが せめてもの気持ちですから (中略)

 今後も送らせて頂きたいと 強く想っています。 >

 二人の少年は述べました。

「 人の命を奪った人間が 言うのは許されないと思うが、

 できることなら 生きて償いたい 」

「生きて 何かできることを やっていければ。

 でも、 自分の立場を考えると、 死刑も やむを得ないと思う 」

「 今、 僕が生きているのは ありがたいことだから、

 ご遺族に恥ずかしくないように、 手紙をずっと書きたい 」

 恭平さんが 3人に死刑を望む気持ちは 変わりません。

「 反省の気持ちが伝わっても、 刑は 残忍な犯行に対する 結論。

 謝罪とは別なんです 」

 ただ、 今は手紙から

 彼らがどう変わろうとしているのか 読み取ろうとしています。

 妻のテルミさんは 手紙を前に 目を伏せます。

「 この子たちも 苦しんでいるんでしょう。

 でもそれ以上に 私たちは重いものを背負った。

 正史の声を もう一度聞きたい…… 」

〔読売新聞より〕
 
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