「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「車椅子社長の猛烈ケアビジネス」 企画書 (1)

2009年04月19日 14時44分45秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
(※ 2000年の 介護保険制度が施行されるときに 書いたものです。)

[企画意図]

 本格的な高齢社会を迎え、

 介護の問題は 誰にとっても 避けて通れないものになってきた。

 個人が 辛い重荷として背負わずに、

 社会的にシステムとして 支え合っていくことが肝要だ。

 「介護」 「福祉」 という言葉には、

 人の役に立つとか 高邁な慈善事業とかいう 罠がある。

 しかし 健全な利益がなければ、 ビジネスとしての介護は 成り立たない。

 利益があってこそ 次の活力が生まれ、

 さらにサービスを 提供することができる。

 それが 利用者のためにもなる。

 儲けなくして 優しいサービスは続かないのだ。

 介護ビジネスは 生き残るため命懸けの 真剣勝負である。

 金儲けと 心のこもったケア、

 一見矛盾する ふたつの葛藤を このドラマでは描いていく。

 当の家族にとって 介護は切実な問題だ。

 一人で抱え込むのではなく 人の力を借り、

 時には 気を抜くことも重要だし、 スキルも必要だ。

 それまで元気だった親などの 老いた姿を見るのは 辛いことではあるが、

 ありのままに受け入れ、 「共にある」 ということを 何よりも大事にしたい。

 やはり一番大切なのは、 お互いの愛情なのだ。


 主人公の新米介護福祉士・ 美由は、

 お年寄りとの思いやりのある 理想的な触れ合いを求めて、

 介護会社に入ってきた。

 ところが、 障害者で車椅子の社長・ 不動は やくざまがいの風体で、

 介護をビジネスとして割り切る 尊大で貪欲な男だった。

「 従来の 公平なバラマキ福祉が 財政を食いつぶした。

 介護は競争の時代だ 」

 そう言って憚らない、 儲け主義の不動。

 美由は不動に反発し、 自分の 理想の介護を求める。

(次の記事に続く)