「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

愛のある境界 1 (パワーツール〈6〉) --ランディ・クリーガー氏講演会 (12)

2008年10月15日 21時58分23秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◇愛をもって 境界 (限界) を設ける

 境界を守ることは、 BPDの人を守ること

 私が自分の 境界を設ける権利がある. 自分のためのものでもある

 境界をしっかりさせて、 BPDの人との 関係を守る

 境界は BPDの人が 楽になるための道具

 BPDの人は 愛とサポートを必要としている

 初めは 前より悪くなることを 覚悟する

 専門家でも 初めはうまくいかない. 優秀な人でも失敗する

 BPDの人は ニーズが深い.

  ex. 映画 「危険な情事」 …… 恋人との関係の 最初に失敗した

  初めに 何でも助けてしまった. 要求がエスカレートしていく

  BPDとパートナーの 関係を表した映画


・傘のエクササイズ

 生計を共にする BPDの人が、 傘の収集癖があるとする

 傘にお金を使い、 家中に傘が溜まってくる

 あなたは 月に何本まで、 いくらまでなら許せるか? 

 一人一人 限界は全く違う. 基準はない

 実際の限界設定は もっと複雑. 色々な条件が 混ざっている

 ひとつの答が あるのではない.  ex. セックスの平均数が あるわけではない

 限界は 私にとって独自なもの. 正しいものはない

 自分の限界は 自分で決める

 私が持つ限界の 第一の権利は、 私が限界を 持てるということ


・境界を設定するとき、 恐れ, ~すべき, 罪悪感を避ける

 自分の恐れに気付いて、 それを避けて 境界を設ける

 自分の知覚, 感情, 思考を尊重する

 自尊心が低くなっていることが、 それを難しくする

 他の人と 話すことが必要.人と同感することで 救われる

(次の記事に続く)
 

理解される表現 3 (パワーツール〈5〉) --ランディ・クリーガー氏講演会 (11)

2008年10月14日 22時51分44秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

・目的を持って コミュニケーションをする

 落ち着いて 相手の話を聞き、 話し合おうという目的

 思ったことを そのまま口にする前に、

 BPDの人や自分に 何が起きているかを整理する

 まず自分の頭の中で 自分と会話して、 どう話せばいいか 自分に言い聞かせる

 状況を俯瞰的に見て、 自問自答する

 「 私はここで 何をしようとしている? 」

 目的は 一旦話を止めること. 怒りを和らげること. BPDを理解すること

 BPDの人が 理解された気持ちにすること


・話を先に延ばす. 気をそらす.

 気持ちを鎮める表現をする. 協力できる雰囲気を作る

 BPDの人は衝動的なので、 先に延ばすのは 意味がある

 理屈で説得しようとしない. 討論するのではなく 時間を置く

  ex.コーヒーを入れる. トイレに行く. 一服する

 目の前の問題を解決すれば 大きな問題にはならない

 相手を治める -- 目的を持った コミュニケーション

 「言いたいことは分かる. でも 私の言いたいのはこう」

 言葉の調子, 態度が大切

 非言語的なものは コミュニケーションの93%を占める

 言葉にするより簡単

 顔をゆるめる, 前かがみになって 興味を示す (猫背にならないよう)

 身体的接触は一番いい. 時計を見たり、 足を鳴らしたりしない

・コミュニケーションを 取らないほうがいいときもある. それを見分ける

(次の記事に続く)
 

理解される表現 2 (パワーツール〈4〉) --ランディ・クリーガー氏講演会 (10)

2008年10月13日 21時51分12秒 | ボーダーに関して
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/56247943.html からの続き)

・共感的承認

 共感…… 相手の痛みを 理解しようとする.

        その人の立場に 身を置いて理解する

 同情…… かわいそう, 残念ねと思うこと

 相手の話の腰を折らず 最後まで聞く. 積極的に傾聴する

 言い争っていることの 底流には何があるのか? 

 相手が何を 言おうとしているのか、 聞きながら理解する

 視線を合わせて頷く. 「つらいのね」 とか 相手の気持ちを反映させる

 受け入れにくい感情も 否定しない. 「つらいなんて思わないで」 はダメ

 負の感情と思考 区別する. 共感を持って 感情だけを認める

 歪んでいる考えと気持ちを 分けて考えると、 気持ちのほうは受け止められる

 「つらい気持ちは 分かるわ」

 見えない気持ちを 受け止める. 一緒になって考えてみる


 BPDの感情は歪んでいるが、 それも持つ権利がある. それ受け止める

 二人の関係性を 大切にする

 BPDの人は 話が飛ぶことも多いが、うまくいったときの例を 持ち出してみる

 BPDの言葉を 自分に向けられたものと捉えない

 それは元々 BPDの心の底流に あるものである

 BPDの人は小さい子供. 自分のニーズに囚われている

 母は良い母か 悪い母か ふたつにひとつ. 原始的防衛

(次の記事に続く)
 

三浦和義・元社長は 演技性パーソナリティ障害? 

2008年10月12日 13時55分25秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
 ロス疑惑事件の 三浦和義が自殺。

 自殺の理由を含め、本当に疑惑に満ちた 事件でした。

 しかし 日本で殺人罪の共謀共同正犯は 無罪と確定しているのですから、

 一事不再理の原則で、日本の審判を重じるべきと 思っていました。

 厳密な法解釈は分かりませんが、日本にはない共謀罪も、

 共謀共同正犯の事実と 重なり合うので、ロス郡上級審の決定には 疑問を感じます。


 さて、その三浦和義氏ですが、

 彼は演技性パーソナリティ障害だと 言う人がいるようです。

 演技性パーソナリティ障害の診断基準には、次のようなものがあります。

・自分が注目の的になっていないと 楽しくない

・浅薄で素早く変化する 感情表出

・過度に印象的だが 内容がない話し方をする

・自己演劇化、 芝居がかった態度、 誇張した情緒表現

 もちろん 素人判断はできませんが、三浦氏に該当しそうです。

 演技性パーソナリティ障害は 過度な情緒性と、人の注意を引こうとする 言動で、

 天性の嘘つきと言われます。

 また 演技性パーソナリティ障害の人は、性的な魅力で 相手を誘惑し、

 そうすることでしか 自分の価値を感じられないという 特徴があります。

 性的なことに関する 診断基準は、次のものです。

・不適切なほど性的に誘惑的な、 挑発的な行動

・関心を引くために 絶えず身体的外見を用いる

 三浦氏は このような話は聞きませんでしたが、どうなのでしょう? 

 診断基準には あと2つあります。

・他人や環境の 影響を受けやすい

・対人関係を 実際以上に親密なものと見なす

 上記8つの診断項目のうち 5つ以上が当てはまると、

 演技性パーソナリティ障害とされます。

 性的な魅力に関して 典型的な例は、マドンナだといいます。

 典型的というよりも、セクシャルでスキャンダラスな マドンナの言動は、

 演技性パーソナリティ障害の診断基準さえ かすんでしまうそうです。

 診断概念より、マドンナの方が ずっと先を行ってしまっているのです。

 マドンナのような 天分に恵まれた人は、

 映像メディアが発達した現代では 活躍することがあります。

 でも 演技性パーソナリティ障害の人は、周囲の関心を 引こうとするあまり、

 逆に自分をダメにしたり、嫌われたりしてしまいます。

 華やかな外面とは 裏腹に、弱くて傷つきやすい 内面を持っており、

 急に落ち込んだり 不安にとらわれたりします。

 人に依存しているため、期待通りにいかないと 一遍にふさぎ込んでしまいます。

 三浦氏にも そういうところがあったのでしょうか? 
 

理解される表現 1 (パワーツール〈3〉) --ランディ・クリーガー氏講演会 (9)

2008年10月11日 20時46分52秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◇BPDに理解されるように 表現する

・普通は当たり前だと 思っていることでも、

 互いの関係によって 複雑になってしまう

 そこで コミュニケーションが必要

 でもBPDの人は そのスキルを持っていない

 相手がどう思っているかを 考える余裕がない

 だから こちらが言うことを理解できない

 ノンバーバル (非言語) のサインを 出しても気付かない

 BPDの人は 自分のことで精一杯

 見捨てられ不安や 分裂思考にとらわれている

 BPDの人は 相手が 自分と違う意見を持つと、 けなされたと思ってしまう

 それだけで距離が空いて、 恐怖を感じてしまう

 BPDの人は 考えてから動くことが難しい

 だから 瞬間的に言ってしまったことで 後悔する

 BPDの人は 突発的に間違ったことも言うが、 こちらはそれは許されない

 いつ爆発するか 分からないので、 今この一瞬の 関わりにかかっている

 自分に向けられた言葉でも 流すことが必要なときもある

 しかし 暴力的になったら 警察などに助けを求める


・BPDの人の怒りを 1~10点として、 5点以上になったら その場を離れる

 5点を超えると BPDの人は 自分を抑えられないので、 安全を守る

 その時の見捨てられ感を 避けるため、優しく、落ち着いた声で言う

 「あなたのことは大切だけど、 今は感情的になっているので あとで話そう」

 「もっと じっくり話せるときにしよう」

 「私がいま 興奮しているから、 落ち着いてから話そう」

 「10分ください」 「また2時間後に」 など

 BPDの人は 引き止めて非難する. 「感情 = 事実」 になっている

(続く)
 

行き詰まりの原因を理解 (パワーツール〈2〉) --ランディ・クリーガー氏講演会 (8)

2008年10月10日 20時08分54秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◇行き詰まりの原因を 理解する

・原因が分からないと うまくいかない

・行き詰まった感じを 持っていることと、 行き詰まっていることは 違う

 どちらに転んでも ダメだと感じる. でも 何とかしなければと思う

 自分より BPDのニーズのほうが 大切だと思ってしまう

 BPDが改善することを 期待しているが、 それは無理

 この状況を続けていくのは 耐えられないが、 どうしていいか分からない

 でも 切らないで続けるには つらすぎる

・苦況でも 選択肢があることを 認識する. 色々な対応の 仕方がある

 「しない」 という 選択もある

 選択肢が あまり良くなくても、 あるというだけで プラスになる

・恐れ, 義務感, 罪悪感は 行き詰まりに結びつく

 それが どのように起きているかを 認識する

 そうなってしまっているのではなく、 自分がそれを選択しているのだ と認識する

 義務と役割も 自分を縛りつける. 縛られている自分に 気付くことが大切

 自尊心の低さ自体が 行き詰まりになる

・BPDを救助したい欲求に 縛られるのを振り返ってみる

 人から必要とされるのは プラスとなるが、

 ~ねばならぬという考えは 束縛になる

(次の記事に続く)
 

自分を大切に (パワーツール〈1〉) --ランディ・クリーガー氏講演会 (7)

2008年10月09日 20時33分32秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◎ 5つの有効な手段 (Power tools) ◎

◇自分自身を 大切にする

・BPDの家族は疲れ果てて 何も感じてくなってしまう

 やる気がなくなる. 絶望する

 頭痛, うつ, パニックなどに 圧倒されているときは、 人のケアはできない

 自分で枠づけをしないと 流されてしまう

・友人や地域と つながりを作って、孤立しないようにする

 離れていた人と 連絡を取るのもいい

・BPDは障害である と理解し、自分が悪いと考えない

 心配して おろおろするのではなく、問題解決する行動に 結びつける

 罪悪感は贅沢である. そのエネルギーがあるなら 他に使う

(罪悪感など 感じてる必要はない

 そんなことより もっと他に するべきことがある)

 罪悪感を許して、 前向きに考える

 怒りは 変化が必要だというサイン. 安全に表現すること

・受け入れる練習をする

 悪いことだけでなく、 いいことに目を向ける

 最悪の状況で 上を見上げる. “上から下へ ではなく、 下から上へ”

・笑う, 寝る, 動く, 呼吸法 …… 身体的問題も解決する

(次の記事に続く)
 

機能不全の家族形態, 5つの有効な手段 -- ランディ・クリーガー氏講演会 (6)

2008年10月08日 22時11分03秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◇機能不全の家族形態

・全てが親のせいだと 言われる

 BPDの人は 傷ついているので、みな相手のせいにする

 自分を相手に 投影している

 高機能BPDの人には、BPDだと 言わないほうがいい

・ “勝者のない筋書き”

 何をしてもダメ, しなくてもダメ. どちらにしてもうまくいかない

・BPDの見捨てられ恐怖. “大嫌い、 行かないで! ”

・BPDの人は 相手を試す. 本当に愛しているなら ○○しても構わない

 何度も試す、 何度も、 何度も、 何度も……



◎5つの有効な手段 (Power tools)◎

 今回の講演の主眼

 ランディ・クリーガー氏が 3年間の体験と文献研究によって まとめたシステム

 例えば、 電気ノコギリのほうが ノコギリよりパワーがある

 力があるので 体調が悪いときは使わない

 以下のように まとめられる

◇自分自身を大切にする

・BPDの人を サポートするため

◇行き詰まりの原因を 理解する

・わなにはまっている感覚自体が マイナスになる

◇BPDに理解されるように 表現する

・コミュニケーションが 一番のチャレンジ. 練習で できるようになる

◇愛をもって 境界 (限界) を設ける

・BPDの人が 自分をコントロールできるように、 家族が見本を見せる

 一緒に考えながら 進んでいくプロセス

 この問題は 私の問題, これはあなたの問題 という境界を作る

◇適切な行動を 強化する

 BPDの人が うまくできたときの行動を 強める

 以上の 「パワーツール」 を さらに詳しく述べていきます。

(次の記事に続く)
 

家族への影響 -- ランディ・クリーガー氏講演会 (5)

2008年10月07日 21時44分51秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◆家族への影響 (家族が感じる感情)

・孤立感

 一番大切なのは 孤立しないこと. 苦悩しているのは 自分だけではない

 他の人と コミュニケーションを取って、 自分の価値を取り戻す

 ネットで 繋がることなども良い

 BPDの人は、 夫が 夫の親に 会わないようにさせることもある

 昔の知り合いに 会ったりすることも大切

・怒り

 怒りを感じてもいい. ただし BPDの人にぶつけず、 他の方法で発散する

  ex. エンプティチェア

  (自分の前に 椅子を置き、 相手が座っていると 想像して、

   怒りや不満をぶつける)

・罪悪感

 家族は、 BPDの人とのトラブルを 自分のせいだと思ってしまう

 ほぼ全員が 罪悪感を感じる

 でも それを感じている暇はない

 罪悪感を許して 前向きに考える. 罪悪感のエネルギーを 他に注ぐ

 家族は 罪悪感を感じているので、 治療者は それを上塗りしない

・悲嘆

 失ってしまうものへの 悲嘆

 親は 子供との関係を失う.

 “今までいた 『あの子』 が いなくなってしまった”

 パートナーは 相手との蜜月を失い、 幸せが期待できなくなってしまう

 低い目標を立てて、達成できたら 一緒に喜ぶ

・自信や自尊心を喪失

(専門家も陥るが、BPDについて 学ぶ機会がなかったから)

 混乱している家族には、 BPDの診断自体で 落ち着くきっかけになることもある

 名前を付けることで 安心する. 今までのトラブルの 理由が分かる

・PTSDや フラストレーション, 混乱に陥ることもある

 それらを コントロールすることはできる

 BPDを理解して、 対応を練習する必要がある

(次の記事に続く)
 

DSM-Ⅳ-TR -- ランディ・クリーガー氏講演会 (4)

2008年10月06日 20時09分26秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◆DSM-Ⅳ-TR (米国精神医学界・精神科診断基準)

・BPDは思考, 知覚, 論理が損なわれている

 間違った思考 → よくない感情 → 不適切な行動

・考える前に 感じることもある → 「感情 = 現実」 に なってしまう

  ex.「あなた、夢でひどいこと 言ったでしょう!」

・色々な特性が サラダのように混ざっている

 以下に、DSM-Ⅳ-TRの診断基準を、 思考, 感情, 行動に分けてみる

◇思考に関する特性

・分裂 …… 白黒思考. 理想化とこき下ろし

 悪い感情に 支配されているときは、 優しく、

 いい想い出を話すと いいかもしれない

 そのとき、非言語の 「話し方」 が大切

・解離 …… ストレスに関連した 一過性の妄想様観念

◇感情に関する特性

・不安定で 変動する気分

 感情の調整が乏しく、 極めて変化しやすい

・見捨てられることを避ける 必死の努力

 自分はひどい人間だから、 二度と愛されることはない と思ってしまう

 パートナーの帰りが 5分遅いだけで パニックになる.

 二度と帰って来ないと思う

・空虚感

 一般の人には 理解しにくい

 “お腹の中に ブラックホールがあるような感覚”

 “それを埋めようとするのは、

 グランドキャニオンに 水鉄砲を打っているようなもの”

 埋めたいと思う欲求が、 しがみつきや依存症になる

・同一性の欠如

 これも 普通は理解しにくい

 一人でいることが難しい. 仲のよい友人の 真似をしたりする

◇行動に関する特性

・自己を傷つける、 ふたつ以上の衝動性 (生物学的要因?)

 衝動的で 無謀な振る舞い

 感じるとすぐ行動してしまう. 特に10代のときは それが顕著

 衝動が危険であることを、何度も何度も 説明してあげることが必要

・自殺のそぶり, 自傷行為 …… 両者は異なる

 自傷は 心の傷を何とかしたい, 表現したいというもの

 心の痛みの対処策

・不適切な激しい怒り. 衝動的な攻撃性 (生物学的要因?)

 突発的で分別がない. 結果を考えない. あとになって恥じる

 “心に ライオンが住んでいるよう”

(次の日記に続く)
 

パーソナリティ障害の特徴 -- ランディ・クリーガー氏講演会 (3)

2008年10月05日 23時51分44秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◆「パーソナリティ障害」 の特徴

・人との関係なしには 診断できない. うつや他の病気と違う

・柔軟性に欠ける.別の方法を試さない

 普通は 自分の欠点に気付いたり 変えたいと思ったりするが、そう思わない

・BPDの反応は 私 (家族やパートナー) に 対してのものではなく、

 BPDの人が 元々持っているもの

・他の障害も 同時に発症して 複雑である

 うつ,自己愛性パーソナリティ障害,双極性障害,薬物嗜癖など

・BPDの人は 自分が問題ではなく、周りの人が問題と考える

・BPDの内的経験は 外から見たものと違う

 それを理解すると、どう対応したらいいか分かる

◇BPDのタイプ

・非科学的だが、家族によって報告されている 2つのタイプがある

 低機能で 従来のタイプ (自傷などをしてしまう) ……アクティング・イン

 高機能で 見た目には 分からないタイプ ……アクティング・アウト

 その両方を 持っているタイプ (薬物乱用は 双方に共通している)

・ふたつのタイプでは 内的苦痛への対処法が異なる

 自傷や自殺行動がある人は、辛いので医療にかかる

 高機能の人は 治療を受けない. 無理に受けさせようとすると トラブルが起きる

 BPDの人は 自尊心が傷ついて 恥を感じている人が多いので、

 治療を受けさせようとすると それが表面化してしまう

・低機能の人は 依存障害がある

 高機能の人は 自己愛性パーソナリティ障害の症状がある

・高機能BPDの家族は、第三者には 外から見ても分からないので、

 大変さが理解してもらえず、つらい思いをする

(次の記事に続く)
 

基本原則 -- ランディ・クリーガー氏講演会 (2)

2008年10月04日 19時49分46秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

◆講義の目標

・BPDは 遺伝と脳の障害によって 起こる面があり、他の障害と変わらない

 専門家も それを理解しておらず、親が悪いと 言われてしまう

・人間は 全ての感情を 持つ権利がある. 怒りも 正常な感情である

(ネガティブな感情が 起きたときは、大きく呼吸をする

 腹式呼吸で、口から吸って 鼻から吐く)

・苦しんでいるのは あなただけではない

 独りぼっちではない ということを共有していく

・失敗してもOK.完全でなくてもいい.治療者も失敗する

 専門家も、全てを知っていなければならない ということはない

 自分を批判したり 判断したりする必要はない

・感情には IQは当てはまらない

・BPDの人も どんな感情も 持つ権利がある

 BPDの感情を 受け入れるのが大事

・自分を変えることはできる.BPDの人を 変えることはできない

 自分が変わると 関係が変わる

 お互いの関係において、自分の責任は50%

 全てが うまくいくわけではないが、BPDについて 理解することが必要


◆BPDの家族のための エッセンス

(基本原則)

・BPDの考え,感情,行動は 我々と変わらない.ただ極端なだけ

・BPDの人が変わらなくても、状況は変えられる

 関係の変化は、一人の変化で 起こすことができる

・BPDの人と 関わっていく前に、学べることを 沢山学んでおく

 それで全て うまくいくわけではないが

(次の記事に続く)
 

ランディ・クリーガー氏講演会 (1)

2008年10月03日 22時07分39秒 | ボーダーに関して
 
 先日書いた、星和書店主催 ランディ・クリーガー氏の公演会の内容を、

 連載していきたいと思います。

(講義とワークショップを 合わせて書きます。)

 「境界性パーソナリティ障害 : 家族障害」 と題されたもので、

 内容は専ら 家族やパートナーに対するものです。

 もしかすると 場合によっては、BPDの人が見ると

 不愉快に感じることが あるかも知れませんので、ご了承ください。

 全体の構成は 大体次のようになります。

◆講義の目標

◆BPDの家族のためのエッセンス (基本原則)

◆「パーソナリティ障害」 の特徴

◇BPDのタイプ

◆DSM-Ⅳ-TR

◇思考,感情,行動に関する特性

◆家族への影響

◇機能不全の家族形態


◎5つの有効な手段 (Power tools) ◎
(今回の講演の主眼)

◇自分自身を大切にする

◇行き詰まりの原因を理解する

◇BPDに 理解されるように表現する

◇愛をもって境界 (限界) を設ける

◇適切な行動を強化する


Q&A

 それから ワークショップですが、

 お約束で 参加者のプライバシーを 外部に持ち出すことはできないので、

 その内容は書きません。

 以上の項目について、詳しく書いていきます。

(次の記事に続く)
 

新風舎 「境界に生きた心子」 在庫が底をつく

2008年10月01日 22時56分13秒 | 新風舎から星和書店へ、新たな歩み
 
 新風舎が倒産したとき、

 「境界に生きた心子」 の新品在庫 200冊を買い取りました。

 それを Amazon の 「e託」 という システムで販売しています。

 Amazon での それまでの売上ペースから考えて、

 1年半くらい持つのではないか という見当でした。

 その間に 再出版の道を探ろうと 思っていました。

 そして 早い段階で 星和書店からの再出版が決まったのは、とても幸いでした。

 ところが、新風舎が倒産した直後から、

 何故か Amazon での売上ペースが 突然倍増したのです。

 新風舎問題で アクセスする人が多いのだろうか と思っていましたが、

 その後も 多少の増減はあるものの ハイペースはずっと続いています。

 正しい理由は 分かりませんが、大変嬉しいことではあります。

 ただそれは、在庫が早くなくなる ということでもあります。

 再出版がされる前に 在庫が切れて、

 拙著が読者の手に 届かない期間を 作りたくありません。

 Amazon で購入しようと思って アクセスした人が、そのときに在庫がないと、

 もう その後も買わないということが 少なくないそうなのです。

 当初の予想の 倍くらいの速さで 在庫は減っていきました。

 星和書店での出版作業が 順調に進むことを 期待していましたが、

 星和書店では、ランディ・クリーガー氏の公演会や 多数の本の同時出版もあり、

 拙著の進行も遅れています。

 Amazon で拙著が売れるのは 勿論ありがたいけれど、

 売れると在庫の寿命が 短くなってしまうという、複雑な気持ちにもなりました。

 そしてとうとう、

 「境界に生きた心子」 の在庫が 20冊ほどになってしまいました。

 自分の分としてある程度 手元に残しておきたいし、

 Amazon の在庫が底をつくのは もう秒読み段階です。

 「境界に生きた心子」 を 販売できない期間が生じるのは、

 確実になってしまいました。

 しかも 思ったより大分長く。

 再出版まで まだ何ヶ月か かかるでしょうから、

 読者の購買意欲が 冷めてしまわないかということが 非常に心配です。

 とにかく 少しでも早く、

 星和書店からの 「境界に生きた心子」 が でき上がることを祈るしかありません。