「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自己と他者の 境界が曖昧になる

2009年10月25日 20時18分44秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 自分と他者の 境目が曖昧で、 十分に区別できていない という特徴があります。

 自分が好きなものは 相手も気に入ると思い、

 自分と相手の 感じ方は別だと 頭では分かっていても、

 いつの間にか混同してしまいます。

 特に ストレスを受けたり、 枠組みが曖昧な状況では、

 混乱を生じやすいのです。

 また、 甘えが許される 親や恋人に対して、

 自分と相手との 境界が失われやすくなってしまいます。

 しばしば起こりやすいのが  「すり替え」 で、

 目先のトラブルや 相手の過失に 問題を転嫁し、

 肝心の問題から 逃げてしまいます。

 また 自分の基準でしか 相手を見ることができず、

 相手を一面的に 好き嫌いで判断してしまうのです。

 相手の気分に 巻き込まれやすい傾向もあります。

 反対に、 自分の感情を 相手に 「投影」 して、

 自分の気持ちで 相手の気持ちを勘繰ったりもします。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 正に 僕との恋人関係で、 心子は 二人の間の境界を 失いがちでした。

 身も心も ひとつに溶け合う 恋愛において、

 それは 最も起こりやすいのでしょう。

 心子は 自分と同じ気持ちを 僕が感じることを要求するため、

 不協和音が 生じることになりました。

 本当の愛情は、 自立した人間同士が 相手との違いを尊重しながら、

 1+1=2で 愛し合うものです。

 すり替えや投影も 心子には当然 激しくありました。

 ただこれらは、 程度の差こそあれ 我々が誰しも持っているものです。

 そのレベルが ボーダーの人は著しいのですが、

 我々も ボーダーの人の 雛型と言えるでしょう。

 ボーダーの人を理解する 端緒となるものです。
 
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