「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

対人関係が両極端で、不安定である

2009年10月07日 20時46分56秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

② 対人関係が両極端で、 不安定である

 ある人に対して、 信頼できる人だという気持ちと、

 自分を裏切るに違いないという、

 相反する気持ち (アンビバレンス) が 同居して、

 両極端に見える 行動を取られます。

 BPDの人は 親に見捨てられたと感じ、

 「本当の親」 探しの 旅をしてきました。

 現実に得られなかった 完全無欠の親、

 100%の愛を 与えてくれる人を 見つけ出そうとします。

 回復するためには、

 いつか見捨てられるという 誤った確信を 克服する必要があります。

 親を信頼できる存在として 受け入れるか、

 それに代わる存在に 支えられながら、

 親を求め続ける気持ちを 卒業していくかです。

 ただ 常に別れを繰り返すのではなく、

 一定の信頼が生まれると、 その関係を 大切にすることがあります。

 気まぐれで 相手を取っかえ引っかえするのが、

 BPDの本性のように捉えるのは 誤解に繋がります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子は こんな手紙を 送ってきたことがあります。

「 母親を泣いて探す 迷い子のように、 心子はいつも 求めていました。

 この世の中に 唯一絶対の愛があることを。

 相手のためなら 自分が死ぬことさえ 笑って受け入れられるほどの、

 強い愛が 存在することを。 」

 心子は 恋愛対象は少なくなかったようですが、 僕と知り合ってからは、

 トラブルがあって 別れていっても、 忘れたころになると 再び連絡してきました。

 恋人として付き合うようになるまで 約6年越し、 別れと再会を繰り返しました。

 付き合い始めた 初期の頃は、 毎日メールや電話をすることを 求められましたが、

 ある時期から それは落ち着きました。

 主治医の先生によると、 僕を信頼して

 「試す」 必要が なくなったからだと言われました。

(次の記事に続く)
 
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見捨てられることに対する 不安が強い--境界性パーソナリティ障害はこうして診断する

2009年10月07日 20時29分46秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 アメリカ精神医学界の診断基準 「DSM-Ⅳ」 は、

 操作的な診断基準と呼ばれています。

 チェック項目の いくつ以上が該当すれば、

 その診断を下すと 便宜的に決めたものです。

 本来、 疾病の診断は、

 原因とその病理を特定した上で なされるのが理想的ですが、

 DSMでは それは抜きにして、 症状によって 統計学的に診断をします。

 精神医学では 原因や病理が 客観的に分かりにくく、

 症状のみで診断した方が 初心者にも容易だということがあります。

 境界性パーソナリティ障害の診断項目を 以下にピックアップします。


①見捨てられることに対する 不安が強い

 この不安は 親しくなった瞬間から始まり、 親密さが増すほど 強くなります。

 相手の機嫌を 取ろうとしたりして、

 それが逆に 相手を苛立たせることにもなります。

 そうすると 不安定になったり、 逆ギレして攻撃したり、

 衝動的な行動に向かったりします。

 拒否されてもいないのに、 先読みしてそう思い込み、

 過剰な反応をしてしまいます。

 それで 相手が本当に 背を向けてしまうと、

 やっぱり思った通りだと 結論付けるのです。

 さらに 自分の傷を思い知らせようとして、 困らせる行為をしたりします。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子の場合は、 見捨てられそうに感じると、

 傷つく前に 自分から僕を見捨てるように、

 離れていくことを繰り返していました。

 また、 僕がいつまでも 心子を愛し続けるはずがなく、

 他の誰かと一緒になると 口にすることもありました。

 見捨てられ感は 根本的で強烈な感情で、

 BPDの中核的なものだと 言う人もいますが、 幾つかの所見があるようです。

(次の日記に続く)
 
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