「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心に絶えず 空虚感を抱いている

2009年10月14日 21時53分21秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

⑦ 心に絶えず 空虚感を抱いている

 順調であるはずのときも、 漠然とした虚しさに つきまとわれてしまいます。

 幸福であることに 居心地の悪さを 感じることもあります。

 うまくいかないときには 空虚感が強まり、

 それまで積み上げてきたものや、 生きること自体が 無意味になってしまいます。

 この空虚感は、 最も愛情を必要としたときに、

 それを得られなかったことと 関係しています。

 逆に、 過保護な子供時代を 過ごした人にも見られます。

 自分自身の力で 物事を達成する 経験が乏しい人は、

 自尊心や自信が 育まれません。

 子供にとって、 厳しさと優しさは どちらも大切なのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子は生まれたとき 足に障害があり、

 親は 心子を抱かないようにと 医者から言われたそうです。

 心子は1年間、 たった独りで 寝かされたままだったといいます。

 赤ん坊は 無条件に親に抱かれ、 慈しまれることによって、

 自分が大切にされている, この世に存在していいんだという、

 無意識の自己肯定感を 育てていくことができます。

 この世に生まれた最初に それが与えられなかったことは、

 どんなに底知れない 空虚感を生んでしまうことでしょう。

 足が治ってからは、 母親は 今までのものを取り返すように、

 心子にできるだけのことをし、 過保護気味だったと 言う人もいます。

 一方 父親は、 100点以外は許さないほど 心子を厳しく育てたといいます。

 本当の客観的事実が どうだったのかは分かりませんが、

 愛情が偏ってしまっていたことには 違いないのでしょう。

(次の記事に続く)