(前の記事からの続き)
⑨ 一時的に記憶が飛んだり、 精神病に似た状態になる
強いストレスが かかったとき、 精神の統合機能が 一過性の破綻を起こし、
解離症状や 一過性精神病状態を 示すことがあります。
「解離」 とは、 意識や記憶の連続性が 一時的に破れることです。
人格が別人と入れ替わる 「解離性同一性障害」 などが典型的です。
意識が変容する スプリットや、 フラッシュバックを起こすこともあります。
意識ははっきりしているが、 現実感がなくなるのは 「離人」 と言われます。
また、 被害妄想的な 「妄想様観念」 に囚われ、
幻聴や幻覚が 起きることもあって、
統合失調症と誤診される 場合も少なくありません。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
心子は当初は 解離はありませんでしたが、
父親の幻影に脅かされ、 自殺企図を繰り返すようになりました。
あるとき 初めて解離を起こし、
死人のように半開きの目で 無意識状態に陥りました。
「解離」 を 机上の知識としてしか 知らなかった僕は、
そんな人間の顔を 初めて見て、 不気味な感触に 見舞われたものです。
その後、 心子はしばしば 意識や記憶をなくしたり、
子供の人格に 入れ替わってしまったりしました。
時には あどけない可愛い子供、
時には 死の呪縛に囚われて 死のうとする危険な子供でした。
自分の胸を 包丁で刺そうとして 大騒ぎを起こしたかと思えば、
30分後には 元の人格に戻って、 面白おかしく 笑ったりしていました。
アップダウンが 極めて激しくなってきた 時期でした。