「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

一時的に記憶が飛んだり、精神病に似た状態になる

2009年10月17日 22時27分42秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

⑨ 一時的に記憶が飛んだり、 精神病に似た状態になる

 強いストレスが かかったとき、 精神の統合機能が 一過性の破綻を起こし、

 解離症状や 一過性精神病状態を 示すことがあります。

 「解離」 とは、 意識や記憶の連続性が 一時的に破れることです。

 人格が別人と入れ替わる  「解離性同一性障害」 などが典型的です。

 意識が変容する スプリットや、 フラッシュバックを起こすこともあります。

 意識ははっきりしているが、 現実感がなくなるのは  「離人」 と言われます。

 また、 被害妄想的な 「妄想様観念」 に囚われ、

 幻聴や幻覚が 起きることもあって、

 統合失調症と誤診される 場合も少なくありません。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子は当初は 解離はありませんでしたが、

 父親の幻影に脅かされ、 自殺企図を繰り返すようになりました。

 あるとき 初めて解離を起こし、

 死人のように半開きの目で 無意識状態に陥りました。

 「解離」 を 机上の知識としてしか 知らなかった僕は、

 そんな人間の顔を 初めて見て、 不気味な感触に 見舞われたものです。

 その後、 心子はしばしば 意識や記憶をなくしたり、

 子供の人格に 入れ替わってしまったりしました。

 時には あどけない可愛い子供、

 時には 死の呪縛に囚われて 死のうとする危険な子供でした。

 自分の胸を 包丁で刺そうとして 大騒ぎを起こしたかと思えば、

 30分後には 元の人格に戻って、 面白おかしく 笑ったりしていました。

 アップダウンが 極めて激しくなってきた 時期でした。
 
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