道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

特別展「妙心寺」(東京国立博物館平成館・台東区上野公園)

2009年02月19日 | 美術道楽
東京国立博物館の妙心寺展に行きました。
京都にある妙心寺は京福電鉄で行くことができます。
妙心寺自体は広大な敷地の寺で,多くの塔頭寺院を抱えていますが,一般公開しているところは少なく,その中では退蔵院くらいしか拝観した記憶がありません。退蔵院には「元信の庭」と呼ばれる庭園があるのですが,枯山水の庭園とはいえ,石と砂だけではなく常緑樹を用いており,色彩も豊かで絵画的調和を感じることができます。さすが元信というところで,私が京都でしばしば訪れたスポットでした。

今回の展覧会は,退蔵院に限らず,妙心寺の非公開の塔頭を初め,各地から妙心寺ゆかりのものが集められていまして,妙心寺そのものの紹介というよりゆかりの品々の展覧会でした。

特によかったのは,アメリカのメトロポリタン美術館からやってきた狩野三筆の「老梅図旧天祥院障壁画」を見られたことです。それと,退蔵院にある「瓢鯰図」を見られたことです(これを見るために,展示替えを待って後期に行きました。)。海北友松の「花卉図屏風」や「琴棋書画図屏風」,さらに狩野元信の作と伝えられている「渓山問奇図」の障壁画も見ることもできました。

妙心寺は1337年に花園上皇が自らの離宮を禅寺としたことに始まるのだそうですが,花園上皇は当時の「ルール」で10年しか即位させてもらえなかったこと,その後,上皇になるのですが,花園天皇の子は北朝第1代の天皇となる光厳上皇でした。花園上皇が妙心寺のもとを築いたころは,まさしく南北朝の動乱期であったのですね。
 
ほかに知ったことは,春日局ゆかりの麟祥院は,湯島だけではなく妙心寺にもあるということです。