道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

2009年を振り返って

2009年12月31日 | 日常の道楽
2009年も最後の日になりました。

2008年大晦日から2009年元旦をフランクフルト空港のシェラトンホテルで宿泊し,久しぶりのドイツ旅行を楽しんだのは束の間の出来事でした。
その後は我が家にとっては,大きな出来事があり,決して平穏ではない一年となってしまいました。
別れ,新たな挑戦への断念等々いろいろなことがありました。
私も還暦まで4分の3を超し,若いときに抱いていた夢や志もかなわないことも確定してきたようです。
それでも,相方も自分も,健康で,職も失わずに,生計を立てているのですから,それだけで有り難いと感謝しなければなりません。

2010年の世界と日本が平和で,景気が良くなることを,そして皆様にとっても,我が家にとっても幸せな一年になりますことを祈念したいと思います。

写真はいつも年越しそばを食べる中村屋(新宿区喜久井町)の天ぷらそばです。


2009年美術展ランキング

2009年12月30日 | 美術道楽
今年もあと2日となりました。
2009年もいろいろな美術展を見ました。
まだ紹介が終わっていないものもありますが,2009年に国内で見た美術展のベスト10を作ってみました。基本は客観的な評価にしようと思いつつ,個人的な評価の高さも考慮しています。

第1位 日本の美術館名品展
なんと言ってもこれでしょう。全国からかき集めるというアイデア,見ていると本当に疲れがたまってくるほどの物量,そして集めた展示の質,やはりこれに最高の敬意を払わずにはいられません。全国の美術館を旅して歩く私にとっては,絵との再会という意味もありました。

第2位 THE ハプスブルク
第1位をこれにするかどうかで非常に悩ましかったところです。
最初はシシィの絵くらいだろうと期待していなかったのですが,ウィーンだけではなく,ブダペストからも協力を得ただけのことはあります。絵画の質,量ともに近年まれな充実ぶりでした。

第3位 ルーブル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画
こちらも絵画の質,量共に非常に満足がいく内容でした。

第4位 ゴーギャン展
ゴーギャンの絵を多数そろえただけではなく,その人生そのものもよくわかる内容でした。ゴーギャンの疎外感が痛感されました。

第5位 マーク・ロスコ 瞑想する絵画展
私の個人的な意見では第1位に押したい内容です。ロスコのシーグラム絵画を海外からも集めて展示するという壮大な企画に敬服です。開催場所が川村記念美術館というやや不便なところで,巡回もなかったのが残念です。この内容をもっと多くの人に見てもらいたかったです。

第6位 皇室の名宝展
さすが皇室。幅広いコレクションがあると感心しました。
第1期と第2期に分かれていましたが,第2期は第1期ほどは感激しませんでした。

第7位 レベッカ・ホルン展
今年まだブログに掲載することが間に合わなかったのが残念です。
紹介は来年にします。
もう一度見に行くと息巻くるほど,いい内容でした。特に映像作品を見に行くのが楽しみです。

第8位 ネオテニー・ジャパン展
これも個人的にはもっと上位にしたいという意見です。
これだけの現代コレクションが個人の所蔵とは思えません。素晴らしさは,一言では語れないのでブログの該当記事をお読み下さい。
全国で開催される企画展なので,まだ鳥取県米子市に行けば,来年以降も見ることができるはずです。

第9位 国立トレチャコフ美術館・忘れ得ぬロシア展
忘れ得ぬ絵は「忘れ得ぬ女(ひと)」です。モデルが娼婦という説もあるのには,驚きました。もっとも忘れ得ぬ絵はこれくらいで,あとは美しい絵ではあっても,印象に残りにくい絵でした。
それでもトレチャコフ美術館コレクションの実力を知るには十分でした。

第10位 奇想の王国-だまし絵展
昔からのヨーロッパのだまし絵(トロンプルイユ)や日本のだまし絵は別にそれほど面白いとは思いませんでしたが,ルネ・マグリット等のシュール・レアリズムの作品や現代の芸術は面白く見ました。


番外編
国宝阿修羅展
データによる客観的評価と私の個人的評価が最も乖離した展覧会と思います。
訪問者数等の客観的なデータからすると,これが第1位になるべきかもしれませんが,正直なところ,自分としては一般公開されていないもの以外は,改めて奈良でゆっくりと見たいと思いましたし,何故ここまで人気だったのかよくわかりません。阿修羅像を360度(といっても入場者が多すぎて死角が多々ありました。)で見るのがそんなに貴重なことなのでしょうか。

鴻池朋子「インタートラベラー神話と遊ぶ人」展
ネオテニー・ジャパン展で初めて知った芸術家ですが,引き続きオペラシティの美術館で個展をしていたので,見に行きました。ベスト10には入れませんでしたが,とてもスケールの大きな芸術家と思いました。

No Man’s Land
最近行って来たばかりですが,フランス大使館旧館が取り壊され,プラウド○○(何という名前でしょう。)という野村不動産のマンションに変わるのを前に大使館旧館を使って公開した現代アートの作品です。消化不良に終わってしまいましたが,面白い展示でした。年明けもまだ公開されています。

・安井曾太郎展
もし,私が安井曾太郎と同じ時代に生き,かつ,まだ若く,将来のキャリアに夢が持てていたら,きっとこう思ったことでしょう。職を退くときに,安井曾太郎に肖像画を描いてもらえる人間になりたいと。
安井曾太郎が独特の手法で描く絵は,人物の人柄が伝わってくるようで,とても好きです。



番外編さらに続きます。
以下は今年の初めにドイツを旅行した際に感激した美術館です。
アルテ・マイスター絵画館(ドレスデン)
ご存じラファエロの「システィーナのマドンナ」を初め,山ほど名画を見ました。
ここの美術館は展示スペースが相対的には大きくないせいか,つまらない展示が少しもないという印象を受けます。

旧ナショナル・ギャラリー(ベルリン)
気に入った絵は,美術館の中心となっている展示作品よりも,さらに時代が後のキルヒナー,フランツ・マルク,カンディンスキーといった画家の作品です。

そして,最後の最後に
シュタージ博物館(ベルリン)
今から約20年前に実質的に消滅したドイツ民主共和国という非法治国家にあった,国家保安省(シュタージ)の本部跡を,そのまま博物館にしたものです。その人権侵害の歴史を見ながら,共産主義国家とは秘密警察と不可分一体のものだということを痛感しました。

Hollaendische Kakao-Stubeのバウムクーヘン

2009年12月29日 | 食道楽
毎年,クリスマスはケーキを買う程度で,家でささやかに過ごすことが多いのですが,今年は新宿伊勢丹の地下1階に入っているHollaendische Kakao-Stubeという店のバウムクーヘンを買いました。
Hollaendischeと始まることから,オランダのものかと思ったのですが,ドイツのものでした。ニーダーザクセン州の州都ハノーファーの老舗店とのことです。
バター以外の油脂を使わない等ドイツそのままのルールに則って作られたバウムクーヘンです。細長く焼いているところから切り取って売ってくれるので,その日のうちにお召し上がり下さいとのこと。
おいしくいただきました。
ドイツのお菓子好きの相方からは,今度はチョコレートをかぶせたバウムクーヘンが欲しいと所望されましたので,いずれまた紹介したいと思います。


満のシュトレン

2009年12月28日 | 食道楽
四ッ谷のPaulでシュトレンを買った後,ふと思い出したのは曙橋のパン屋「満」(みつる)のシュトレンが昨年食べて意外に(失礼)おいしかったことです。
今年もクリスマス当日の出勤前にこっそり買い込み,カバンの中に潜ませて,何食わぬ顔で出勤しました(因みに満の普通のパンは,酵母の香りが強いので,職場に持ち込むと臭いを隠すのに大変です。)。

満のシュトレンは,ナッツ,ドライフルーツが豊富で,おいしいです。
それでも今年は少し違うと思ったのは,やはりEmil Reimannのバターでしっとりしたシュトレンを食べ慣れてしまったからでしょうか。しかし,我が家ではむしろEmil Reimannの方がバターが強すぎるので,満のシュトレンくらいでちょうどいいという話になりました。

満の店構えはこんな感じです。


Paulのシュトレン

2009年12月27日 | 食道楽
昨年に引き続き,四ッ谷駅のアトレのなかにあるPaulというパン屋のシュトレンを買いました。

クリスマス用のお菓子であるシュトレンにつきましては,今年は最初にドレスデンの有名店Emil Reimannの黒缶入りのものを入手しておりましたので,それに満足して購入していなかったのですが,クリスマスイブになってほかのものも食べて見たくなり,Paulのを買いました。

もう大きいものはなく,かなり小さめのものしか残っていませんでした。
味も昨年はおいしいと感じたのですが,今年食べてみると,少し乾きすぎているような印象を受けました。ラスクに近いような感じもしました。残り物だったせいでしょうか,それともEmil Reimannのバターたっぷりに慣れてしまったからでしょうか。


東京ドームのイルミネーション

2009年12月26日 | 日常の道楽
東京ドームのイルミネーションを見に行きました。
ここは昔住んでいた家の近くにあり,相方の活動エリアにも近いこともあり,毎年出かけます。
場所柄でしょうか大人のカップルが雰囲気を楽しむというよりも,やはりファミリーで来て,子供が喜びそうなものと十代の若者達が喜びそうなイルミネーションでして,私のような中年は場違いな感じもします。














新宿サザンテラス

2009年12月25日 | 日常の道楽
新宿サザンテラスのイルミネーションです。
ここも毎年出かけるスポットです。
今年は高島屋の前にはあまり派手なイルミネーションはなくなっていたようでした。








帰りがけには小田急百貨店と京王百貨店との間にある階段をとおりました。ここもイルミネーションの綺麗なところです。


東京ミッドタウン(港区赤坂9丁目)

2009年12月24日 | 日常の道楽
今日は東京ミッドタウンのイルミネーションです。

冒頭の写真はさくら通りの 「シャンゼリゼ・イルミネーション」
この樹木のようなイルミネーションが並木のように並んでいて,それぞれに雫が滴るようにライトアップされているのが綺麗です。

芝生広場 「スターライトガーデン」
青い海のようなイルミネーションです。


恵比寿ガーデンヒルズ(渋谷区恵比寿4丁目)

2009年12月23日 | 日常の道楽
恵比寿ガーデンヒルズのイルミネーションを見ました。
「Baccarat ETERNAL LIGHTS -歓びのかたち 』というタイトルでクリスタルパーツ総数8,472ピース、ライト総数250燈の巨大なバカラのシャンデリアが奥にドンと展示されております。

そこに行く参道のようなところの入り口にはクリスマスツリーがたっております。



奥のバカラシャンデリアに向かう道もライトアップされて綺麗です。




汐留シオサイト(港区東新橋1丁目)

2009年12月22日 | 日常の道楽
カレッタ汐留の前のイルミネーションを見てきました。
昨年も行った場所ですが,東京でイルミネーションが綺麗な場所と言えば,真っ先にここと六本木ミッドタウンを挙げたいところです。
葉加瀬太郎プロデュースのイルミネーションということでした。
音楽とのコラボレーションが楽しめます。
イルミネーションは刻々と変わります。












表参道のイルミネーション

2009年12月21日 | 日常の道楽
今日からしばらくクリスマスの時期にあわせた街のイルミネーションを紹介したいと思います。
表参道にイルミネーションがつくのは11年ぶりとのことです。
HISがスポンサーになっていて,正式には「表参道 HIS イルミネーション ベルシンフォニー」というようです。

表参道と言えば表参道ヒルズです。



入り口のところのイルミネーション




中の階段にもこんなイルミネーションがありました。





ストラスブールのマルシェ・ド・ノエル(千代田区丸の内)

2009年12月20日 | 日常の道楽
仕事帰りに有楽町の東京国際フォーラムで開催中のストラスブールのマルシェ・ド・ノエル2009に行きました。
イルミネーションは綺麗でしたが,ドイツ風のクリスマスマルクトに慣れた自分には,ドイツ風のマルクトとの違いが目立ったような気がします。
ドイツのグリューワインはなく,白ワインのホットワインがありました。グリューワインのカップもなかったような気がします(酔っていたので,勘違いかもしれません。)。
それとクリスマスワイン,フランス産ワイン,輸入チーズ(なんと私がギフトセットで酒の肴にしていたフェルミエのチーズでした。),ジャムなどが売られており,物産館のような感じでした。
食事の提供も、安屋台のソーセージではなく,帝国ホテルが運営していました。

でも,イルミネーションは綺麗ですし,職場の近い人には手頃にいくことのできるマルクトです。

屋台の様子




ポスターの写真



帰路は丸の内仲通りのライトアップをみて帰りました。


六本木ヒルズのマルクト(港区六本木6丁目)

2009年12月19日 | 日常の道楽
もはや毎年恒例となっている六本木ヒルズのクリスマスマルクトに行きました。
グリューワイン,焼きソーセージの販売や、クリスマスの小物の販売などドイツらしいマルクトでした。

大阪や札幌ではより本場らしいクリスマスマルクトが開催されるようですが(大阪のスカイビルの方は一度行きました。),12月の忙しい時期に出かけられるはずもなく,六本木ヒルズに毎年行きます。

テューリンガー焼きソーセージ




マルクトの様子





グリューワインのカップ
今年はこの時期ドイツに行くことができないので,コレクションはこれ1個になりそうです。デザインが2007年とほぼ同じようです。






「安井曾太郎の肖像画」展(ブリジストン美術館・中央区京橋1丁目)

2009年12月18日 | 美術道楽
ブリジストン美術館で開催中の「安井曾太郎の肖像画」展に行きました。
安井曾太郎はセザンヌのコレクションもあるブリジストン美術館には生前からよく通っていたそうです。
安井曾太郎といえば,竹橋の東京国立近代美術館にある「金蓉」の絵が有名ですが,ほかにも人物画をたくさん残しています。
大学の先生,政治家,実業家,日銀総裁,画家など様々な人物を描いており,家族の肖像画もありました。
安井曾太郎はまずモデルの実写図を描いてしまい,それをもとにモデル不在のまま時間をかけて描くという独特の描き方だそうでして,若い令嬢のモデルを描いたときには,実写図をもとにして描いているうちに,令嬢の方がどんどん成長してしまい,そのズレを修正するのにくろうしたというエピソードは面白かったです。大内兵衛や大原総一郎(大原美術館のコレクター),横山大観の絵などを見ると,何かモデルと現実にお会いしたような気持ちになるので,不思議なものです。

水戸徳川家の当主で貴族院議長を務めた方が,貴族院議長を退任するにあたり安井曾太郎に肖像画を描いてもらったところ,完成した絵を見て,自分はこんな年寄りかなとがっかりしたのですが,次第に自分の方がだんだんその絵に近づいてきた,このことは安井曾太郎に肖像画を描いてもらった人が皆言うところである,という話はとても面白かったです。目の前のモデルの姿に気を取られることなく,じっと実写図をもとにモデルの内面まで観察して描くからそうなるのでしょうね。
とても面白かったです。

常設展の方で安井曾太郎が風景画も描いていたことは初めて知りました。

No Man’s Land(在日フランス大使館・港区南麻布)

2009年12月17日 | 美術道楽
フランス大使館の旧館は,取り壊されてマンションになる予定です。
取り壊しの前にこの旧館において,現代アートの展示が行われています。
それがNo Man’s Landと呼ばれる美術展です。

そもそもフランス大使館はもともと飯田町(千代田区九段?。詳しくはわかりません。最初,飯田橋と書きましたが,飯田橋ではないようです。)にあったのですが,関東大震災で公邸が焼け落ちたため,現在の場所に移ったそうです。ここはもとは徳川伯爵家のお屋敷だったそうです。そして1957年にジョセフ・ベルモンが,今回取り壊される旧庁舎を設計したのだそうです。当時としては,ベルモン設計の旧庁舎は,モダンで簡素な画期的な様式だったそうです。

このフランス大使館旧館が一般に公開されるのは最初で最後の機会ということです。私もドイツ大使館の内部(ドイツ人外交官の勤務するエリア)には一度,入ったことがありますし,スイス大使公邸にもどういう訳かお招きにあずかる機会がありましたが,フランス大使館に行くのは初めてです。

ところで,肝心の展示なのですが,いっぺんにあまりにもたくさんのものを見たので実際のところは頭が十分に整理できなかったというのが実情です。映像作品,木の柵の内側で人の話し声がするのを外側から聞く作品,フランスの三色旗と日の丸を同時に表現した作品,和歌の三十一文字を乱数のようにでたらめに並べた文字で作り,プリンターでプリントアウトして廊下に散らかした作品など様々でした。
撮影した一部の作品を紹介します。

入り口からアートです。



廊下もアートです。



こんな作品は私のもっとも好みのタイプです。



昔の女子トイレまでアートになっていました。写真を撮っていても盗撮ではありません。ベルリン在住のアガット・ドゥ・バイヤンクールという人の作品です。



太閤秀吉好み?でしょうか。金ぴかです。



スポンサーさんのPeugeotの車も作品になっていました。



三菱地所+三井不動産の大規模な定期借地権の物件である広尾ガーデンフォレストに引き続き,野村不動産も広尾にマンション建設です。旧館の跡地はプラウドのマンションになるようです。私には到底縁のない世界のことですが。



実は入り口を入ってすぐのところで,本体の企画展と別に芸大の学生さんの展覧会があり,最初,呼び込みのせいでそちらを本体と勘違いして丁寧に見てしまい,本体の企画展を見る頃には既に疲れてしまうというオトボケなこともしてしまいました。消化不良だったのでもう一度行きたいと思います。

それにしてもこれだけの規模の企画展を無料で開催するとは,さすがにPeugeot, Citroenといった車のメーカーやMichelin,Air Franceといった巨大なスポンサーが付いているだけのことがあります。野村不動産も実質的にはスポンサーに付いているのでしょうか?