道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

神代植物公園 春のバラフェスタ(調布市深大寺元町)

2015年05月31日 | 風流道楽

神代植物公園の春のバラフェスタに行きました。

ここも40年以上も前に行ったきり訪れていなかったところです。

 

個人で出展しているバラを展示するコーナーもありましたが、行った時期が5月30日と遅かったため、ほとんどが枯れていました。

 

 

 

さらにバラ園に行きます。

広大な敷地ではありましたが、残念ながら時期が遅く、咲いているのはまばらです。

花で造ったアーチもありました。

 

 

 

敷地が広大なのでゆったりとした気持ちで散歩をすることができました。


ばらの騎士(新国立劇場)

2015年05月24日 | オペラ道楽

新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」を見ました。

今回で見るのはまだ2回目ですが、音楽がとても美しく、私の好きなオペラの1つです。

 

今回の上演は、2007年に上演されたジョナサン・ミラーの演出のプロダクションによるものとのことです。その当時、私は久々に東京勤務になったばかりで、見に行く余裕がありませんでした。この演出による「ばらの騎士」は、2011年4月に再演予定でありましたが、今度は再び地方に転勤となる直後であったため、再び見に行く余裕もありませんでした。また、そもそも2011年4月は震災直後のため、上演の一部が中止になったり、出演予定者が放射能の降り注ぐ「死の都」には来たくないと出演を断ったりと大変であったようです。

 

閑話休題

3幕構成ですが、各幕で舞台は大きく変わります。

第1幕は、元帥夫人の寝室の中で、中央にベッドが置かれています。セットに窓も設けられております。第1幕目のおしまいには、雨が降るという設定らしく、舞台の正面に雨の影が投影されています。

 

第2幕目は、ゾフィーの屋敷が舞台です。遠近法を強調して、奥行きを持たせた舞台に、鏡や赤いソファーなどアクセントのきいた調度品が調っています。

 

第3幕目は、色魔で、金銭欲の塊で、デブでハゲで、垢抜けず、いいところの何もないオックス男爵が、マリアンデルことオクタヴィアンの罠にかかり、逢瀬の場と信じてノコノコ出てきた木賃宿です。窓や地下から人物が出てきて、オックス男爵を驚かす仕組みになっています。

 

舞台は、本来のストーリーの舞台の18世紀ではなく、1912年という何故か極めて正確な年で示されています。もっともそれをうかがわせるのは、オクタビアンの軍服など、衣装ぐらいなのですが。

 

今回も、第1幕後半で様々な人々が元帥夫人の家を訪れるところあたりから眠くなり、第1幕目最後の元帥夫人とオクタヴィアンとのやり取りのところでは極端に眠くなりましたが、第2幕、第3幕(ただし、この最後の元帥夫人が出てくるところはまた眠い。)は楽しむことができました。

 

何よりも歌と音楽の綺麗なオペラですが、今回はオクタヴィアン、元帥夫人等の歌手だけではなく、オケも健闘しており、とてもいいオペラでした。ただ、元帥夫人は、オクタヴィアンが若い彼女の元に走ることを許しても、オクタヴィアンとの愛人関係が終了しただけで、新たな愛人を見つけるようなイメージなのだということがClub The Atreの会報には書いてありましたが、今回の演出で見る限りでは、元帥夫人はまだオクタヴィアンに未練タップリで、オクタヴィアンも関係を続けたそうな印象を受けました。

 

【スタッフ】

指揮:シュテファン・ショルテス

演出:ジョナサン・ミラー

美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター

照明:磯野 睦

 

【キャスト】

元帥夫人:アンネ・シュヴァーネヴィルムス

オックス男爵:ユルゲン・リン

オクタヴィアン:ステファニー・アタナソフ

ファーニナル:クレメンス・ウンターライナー

ゾフィー:アンケ・ブリーゲル

マリアンネ:田中三佐代

ヴァルツァッキ:高橋 淳

アンニーナ:加納悦子

警部:妻屋秀和

元帥夫人の執事:大野光彦

ファーニナル家の執事:村上公太

公証人:晴 雅彦

料理屋の主人:加茂下 稔

テノール歌手:水口 聡

帽子屋:佐藤路子

動物商:土崎 譲

合 唱:新国立劇場合唱団

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 

【あらすじ】 

(第1幕)陸軍元帥夫人マリー・テレーズは、夫が不在の館で、若い恋人オクタヴィアンと甘いまどろみのなか朝を迎える。そこに元帥夫人の従兄オックス男爵がやってくる。新興貴族ファーニナルの娘ゾフィーと婚約するというオックスは、婚約者に銀のばらを贈る儀式の使者"ばらの騎士"を誰にしたらいいか相談しに来たのだ。逢瀬の現場を見られてはまずいと大慌ての2人だが、もう逃げられず、オクタヴィアンはかわいらしい小間使いマリアンデルに変装。女たらしのオックスは元帥夫人に相談しながらも小間使いが気になる様子。元帥夫人はオクタヴィアンを"ばらの騎士"に推薦する。その後、元帥夫人はひとり思いにふけり、年齢を重ねることの無常を思う。

(第2幕)"ばらの騎士"としてゾフィーに銀のばらを届けに来たオクタヴィアンは、一目で彼女と恋に落ちてしまう。オックス男爵が現れるが、彼のあまりにも無作法な態度にゾフィーは結婚を嫌がり、オクタヴィアンは婚約を取り消すようオックスに申し出る。しかしオックスが相手にしないため、オクタヴィアンは剣を抜く。オックスも剣を手に取るが、すぐにオクタヴィアンの剣の先が腕に当たる。負った傷はほんのかすり傷だが、オックスは泣きわめいて大騒ぎ。そこにマリアンデルから逢引の誘いの手紙が来て、オックスはすっかりご機嫌に。

(第3幕)逢引の場の安宿の一室には、オックスを懲らしめるための罠を仕込み、オクタヴィアンはマリアンデルに変装して準備万端。何も知らないオックスは浮足立ってやってきて"彼女"を口説こうとするが、いい雰囲気になろうというとき、幽霊が現れ、「彼の子」と称する子を連れた女や、警官が来て大騒動。すっかり追い詰められたオックスは婚約を破談にすることを了承する。そして元帥夫人は身を引き、オクタヴィアンとゾフィーを祝福する。


グエルチーノとバロック美術(国立西洋美術館)

2015年05月17日 | 美術道楽

国立西洋美術館の「グエルチーノ展」に関連して開催された「グエルチーノとバロック芸術」と題する記念講演を聴いて参りました。

講師は、神戸大学の宮下規久朗先生です。

 

宮下先生の講演は、先に4月11日に開催されたところ、何と整理券が数分でなくなり、国立西洋美術館の講演として最短記録になったそうで、その際に聴講することができなかった人のために、再度の講演会となったそうです。

 

最初にグエルチーノの生涯につき、30分程度で集約的にお話をうかがい、それからスライドを示されました。

スライドでは、ルーブル美術館等、世界の他の美術館で所蔵するグエルチーノの作品も紹介されたほか、関連作品としてカラヴァッジョの作品や同一テーマの別の画家の作品(例えば、エルミタージュ美術館にあるレンブラントの《放蕩息子の帰還》など)も紹介されました。

 

グエルチーノの作風の確立と、古典主義への移行など、その流れを分かりやすく解説していただきました。また、グイド・レーニの作品なども含め、スライドで紹介してもらいましたが、知らないことも多いお話でした。

グイド・レーニの作品は、正直私にはそんなにいいとは思えないのですが、彼の作品の1つについては、ゲーテも世界で一番美しい絵画と絶賛しているのだそうです。

 

また、ローマに行ったら、是非カピトリーニ美術館に行くべきであること、ヴィラ・ロスピリオージ(一般公開は毎月1日だけらしい。)、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリオ教会もお勧めであることなども教えていただきました。

 


横浜トリエンナーレ2014

2015年05月16日 | 美術道楽

昨年2014年は私にとってはこの上なく悪い出来事が数限りなく降りかかり、心身ともよくなく、昨年見た美術展の半分くらいはこのブログで紹介していません。

 

そこで、今更ながらですが、備忘録的に適宜紹介したいと思います。

 

まずは横浜トリエンナーレ2014です。

横浜美術館前に展示された作品

 

これは、森村泰昌がアーティスティックディレクターという立場となり、音声ガイドでも展示された現代アートを解説してくれていました。

いささか解説が、詳し過ぎて、そんなにネタばらしをしないで鑑賞者に委ねておけばという気もしなくはなかったですが。

 

さて、横浜トリエンナーレ2014のサブタイトルには「華氏451度の世界の中心には忘却の海がある。」という題が付されていました。意味不明ですが、森村によると以下のとおりということです。

HPから

(引用初め)

「華氏451の芸術」というタイトルは、言うまでもなく、レイ・ブラッドベリ作のSF小説『華氏451度』に由来している。いわゆる焚書がテーマの小説で、本を読むことも持つことも禁じられた近未来社会が舞台となっている。 

1953年作とは思えないくらい、現代社会を予見していて見事だが、それ以上に興味深いのは、これが「忘却」の重みについてあらためて考えさせられる小説だという点である。 
物語の後半、「本になる人々」の集団というものが登場する。一人ひとりが一冊ずつ本を選び、それをまるごと記憶しようとする。つまり焚書へのレジスタンス(抵抗)として、本という物質を記憶という非物質に置き換え、本の精神のみを隠し持とうと試みる。 
「本になる人々」は本を禁止する社会からの亡命者達であり、また上述のように本を非物質な記憶に置き換えようとしているため、その存在と行為の両側面において、現実社会の表舞台には決して現れることのない、不在の人々となる(=生きている痕跡をこの世から消滅させた「忘却の人々」たらざるをえなくなる)。ところがこの「忘却の人々」にこそ、膨大な本の記憶がたまり込んでいるというのが、ブラッドベリの小説がもたらす、「忘却」に関する重い教訓なのである。

(引用終わり)

 

焚書というと古くは秦の始皇帝、近くてナチを連想します。特にナチのイメージが強いと思われます。私も、ナチズムの影を連想したのですが、実際の展示はあまりそういうことはなかったようです。

 

展示は、横浜美術館と新港ピアの2会場で展示されていました。

 

アンディ・ウォーホールの作品の展示もあり、現代アートといっても現代アートの中では既に大家となっている作家の作品もありました。

 

 

 

横浜美術館会場の中で

ドラ・ガルシア《華氏451度》

本を並べた作品です。

 

 

森村泰昌編集《Moe Nai Ko To Ba》

見開きになっている本が作品です。

この本は、閉幕の際、焚書によって燃やされ、燃えさかる中を森村によって鎮火され、焼け焦げになりながらも救出されるというパフォーマンスに供せられました。

 

Temporary Fondation 法と星座 Turn Coat/Turn Court

2つの写真は、完全に場面が異なりますが、背中合わせで違った場面になる同一の作品です。

 

新港ピア会場の中で

 

やなぎみわ《演劇公演「日輪の翼」のための移動舞台車》

 

 

ほかにも、世界中で行方不明になっている人の写真を集めた作品、《死亡宣告された生者、その他の章ⅠーⅩⅤⅢ》が横浜美術館で展示されており、それが印象に残りました。

この作品シリーズのうち、北朝鮮による韓国の拉致被害者を取り上げた部分は、北京で展示しようとしたところ、中国の当局が展示を認めなかったことから、やむなく展示することができない部分は、写真のフレームのみを展示したそうです。

そして、今回の展覧会でも、自由のない国中国で公開できなかった部分は、そのままの形、つまりフレームのみの形で展示されていたので、余計に印象に残りました(この作品は写真撮影不可の作品でした。)。


高幡山金剛寺(高幡不動)

2015年05月15日 | 風流道楽

ゴールデンウィーク期間中に高幡不動に行きました。

ここも40年近く訪れていなかった場所ですが、昔なじみの場所です。

 

五重塔などみました。

しかし、余りに久しぶりなので私は完全に忘れており、初めての場所のように楽しめました。

このあたりの東京都日野市は、新撰組ゆかりの場所でもあります。

 


鳥獣戯画展(東京国立博物館)

2015年05月14日 | 美術道楽

トーハクに鳥獣戯画展を見に行きました。

鳥獣戯画は甲、乙、丙、丁の4巻構成で、もともとは京都市右京区の高山寺に伝わる絵巻物ですが、現在は甲・丙巻が東京国立博物館、乙・丁巻が京都国立博物館に寄託保管されております。

今回、鳥獣戯画4巻が、朝日新聞文化財団の助成を受けて、解体修理が行なわれたのを記念して公開されています。

 

ということで、スポンサーは“あの”朝日新聞文化財団です。

朝日新聞は、日本のことが大嫌いで、珊瑚の破壊でも戦争中の出来事でも原発事故でも長年にわたり記事を捏造して日本を貶め続け、最近は国内では相手にされなくなったので、海外の要人やメディアに働きかけて虚偽の事実を発信しようとしています(なお、捏造をするということは、対象事実についての検証を困難にするので、無責任に「その事実はなかった。」と言い張る者を利する結果にもなります。)。

その日本大嫌いな朝日新聞がどうして鳥獣戯画の修復に助成をしたのか、誠に不可思議です。鳥獣戯画展のオープニングでも朝日の社長が心にもなく「日本の素晴らしい文化」という発言をしていたそうで、このあまりのブラックユーモアには、もはや現実の出来事とすら感じることができず、もう笑うしかありません。

 

しかし、朝日新聞文化財団が助成したとしても鳥獣戯画が貴重であることに変わりはないので、出かけて参りました。

 

閑話休題。

今回の企画展は、前期と後期で展示替えがあります。前期で甲、乙、丙、丁の各前半部分を、後期で各後半部分を展示するようになっています。

どうせなら、前期で甲と乙、後期で丙と丁それぞれ全部見せてくれればよいのですが、そんなことをすれば甲巻公開の時期にしか人は来ないので、トーハクとしては今回のような分け方は、経済合理性を考えれば当然かと思います。これなら、全部実物を見たい人は前期、後期とも来ざるを得ません。

 

私は、5月初めに前期の方にまず出かけました。

乙、丙、丁の各巻はそれほど待たずに見られましたが、甲巻は待ちました。

それでいて、見始めると半分しか本物の展示はないので、あっという間に終わります。

甲巻前半はウサギが泳いでいるところから始まり、ウサギとカエルの弓の練習、ウサギが荷物を運んでいるところあたりで終わりです。乙巻前半のワンちゃん達の絵も気に入りました。

我々の仲間、つまりねずみ達が甲巻に登場するのは後期です(前期中、後半部分は模写が展示されていますが、ねずみ達が出ている部分を見た鑑賞者からは、ねずみはどうして隠れているんだろう、猫が怖いのかななどとの声もあり、ねずみも注目されていました。)。

ということで、後半に相方ねずみと一緒に見に行きたいと思っています。

 

他に鳥獣戯画断簡の中には、後姿で描かれたねずみもありました。相方ねずみからは、こちらのねずみは背中が逆三角形になっているという指摘を受けましたので、なで肩の道楽ねずみとしてはスポーツクラブで筋トレの必要を感じております。

 

鳥獣戯画展は、鳥獣戯画だけがあるのではなく、高山寺ゆかりのものも展示しており、その中の国宝《華厳宗祖師絵伝》も興味深く見ました。

 

高山寺のある栂尾山は、高雄(高尾)(神護寺)、槇ノ尾(西明寺)とともに三尾と呼ばれ、京都の紅葉の名所でもあります。JRバスで随分と揺られて出かけた記憶があり、懐かしくなりました。いつかまた三尾にも出かけてみたいものです。

 

 

こちらは以前にも紹介した常設展中の模写(t鳥獣戯画展では後期展示予定の部分)

 


ユトリロとヴァラドン 母と子の物語展(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

2015年05月12日 | 美術道楽

損保ジャパンの美術館で開催中の「ユトリロとヴァラドン」展に行きました。

出かけたのはまさしく母の日でしたが、さすがにこの異常な母子関係のようになっては困るのか、母の日だからといって混雑していることもありませんでした。

 

ヴァラドンは、誰のことも分からぬ子ユトリロを生み、さらにユトリロの友人で、自分よりも20歳以上も年下の男性と結婚します。そして、幼くしてアルコール依存症になったユトリロはますますアルコールに依存するようになりますが、かつての友人で今や義父の管理のもと、絵を描いていくというのが既によく知られたユトリロの人生です。

今回はユトリロの作品だけではなく、ヴァラドンの作品も相当数展示されています。

個人的には、ユトリロの作品はあまり特徴がなく、いいとは思いますが、特に感銘力は伝わって来るとは思えないと感じているのですが、これに比べてヴァラドンの作品は裸婦にしても動物にしても線も色も力強く、とてもインパクトがあります。ン《野うさぎとキジとりんごのある静物》、《裸婦の立像と猫》などとても印象に残りました。


高橋コレクション展 ミラー・ニューロン(新宿区西新宿)

2015年05月11日 | 美術道楽

東京オペラシティのアーツ友の会会員を対象にした内覧会に参加しました。

学芸員の方がこの企画展を見ながら1時間ほど解説してくれ、次いで常設展も解説付きで回るコースです。

 

高橋コレクション展は、精神科医である高橋龍太郎氏による現代アート中心のコレクションを展示するものです。以前、上野の森美術館でも高橋コレクションが展示され(ネオテニージャパンと題する展覧会)、その質、量共に圧倒されたところでしたが、今回も期待を裏切らない内容です。

 

最初の部屋に展示されているのは、草間彌生のコレクションです。草間彌生のよく使うテーマである水玉、かぼちゃ、網、ニョキニョキした突起物(男性器のイメージと言うことです。)をモチーフにした作品が並んでいます。いずれも、代表的なテーマではありますが、草間彌生の初期の作品もあり、普通の美術館に展示されているものよりも作品が洗練されているように感じました。例えば、サイトウキネンの際に見た松本市美術館には松本出身の草間彌生の作品を展示するコーナーがありますが、そこのニョキニョキした突起物の作品と比べても、高橋コレクションの方がセンスがよいようです。

このほか、奈良美智の作品なども早くからコレクションに入れているようですし、名和晃平、李禹煥、村上隆、やなぎみわ、鴻池朋子等の作品が並んでいます。

東京都現代美術館でも企画展が開催されていた菅木志雄の作品も展示されており、解説では「もの派」の話など興味深く聞きました。

 

いつ見てもすごいコレクションかと思います。

 

高橋龍太郎氏は、バブル崩壊によって公的な美術館が新たな美術品購入予算なしという年が続いていたころ、現代アートのコレクションを精力的に行ったようです。なるほど、一般の美術館が太刀打ちできないような立派な作品があるわけです。

そのコレクションを一般に公開してもらえることは有り難いことです。


La Traviata(新国立劇場・渋谷区本町)

2015年05月10日 | オペラ道楽

久しぶりにLa Traviataを見ました。

今回は、新国立劇場です。

 

今回の演出でも本来、3幕構成であるにもかかわらず、2幕の途中で休憩が入り、第1幕と第2幕第1場、それと第2幕第2、第3場と第3幕で分けられることになりました。前にトリノ王立歌劇場来日公演で見たナタリー・デセイ主演の椿姫の演出もそうでしたし、確か衛星放送で見たザルツブルク音楽祭の椿姫の演出もそうであったと思います。上演時間と休憩時間を考えると、この上演方法はバランスがいいということもあるかもしれません。

 

演出は、舞台に終始一貫してピアノを模したオブジェが置かれており、そこがベッドになったり、賭博のテーブルになったりします。

何でもピアノは、19世紀のパリで高級娼婦が小さいときに最初に習う習い事で、まずピアノを弾けるようになってから、さらにその他の習い事をしていくという流れなのだそうです。ヴィオレッタも最初にピアノを習ったのでしょうか。

また舞台の中に、観客席側に1つの角を突き出した形にした(つまり舞台本来の形を90度傾けた)四角形の舞台をさらに設け、四角形の辺のうち、観客側から向かって左側の辺の上には垂直に鏡面を張り、歌手の斜め後ろ姿を見えるような形にしていました。

舞台の上に傘が出てきたこともありましたが、その意図は不明です。

また、舞台の豪華絢爛なシャンデリアの演出も存在感を示していました。

 

ヴィオレッタの死の直前に、アルフレートとその父親が駆けつけ、ヴィオレッタは生きることへの希望を示し、そして彼らとの別れを歌いますが(ここまでは原作なので演出しようがない。)、最終的には彼らに看取られるのではなく、中間的に設けられている幕(そこにはヴィオレッタの赤いドレスの模様が描かれている。)の後ろに退いているアルフレート親子のもとを離れ、決然と立ったまま大往生となります。トリノ王立歌劇場の来日公演の時もそうでしたが、やはりこのエンディングの方が落ち着きがいいかもしれません。アルフレート親子の身勝手な振る舞いに振り回されたことからすると本来なら辟易してもおかしくないわけですし、何よりもこの方が自立した女性という印象を与えます。

 

今回ヴィオレッタ役で歌ったのはベルナルダ・ボブロでしたが、カーテンコールでは惜しみない拍手に迎えられていました。病気に伏せっている場面や絶命の場面をはじめ、どの場でも大活躍でした。

オケの方も手堅くまとめられていたという印象を受けました。

それにしても、やはり椿姫は歌がいいと思います。第1幕目は有名な歌のオンパレードです。オペレッタ「こうもり」でも、その中に出てくる別のアルフレートが、刑務所の中で、アドリブでLta Traviataでアルフレートが歌う曲を歌うこともあるので、馴染みの曲ばかりです。

 

スタッフ

【指揮】イヴ・アベル

【演出・衣裳】ヴァンサン・ブサール

【美術】ヴァンサン・ルメール

【照明】グイド・レヴィ

【ムーブメントディレクター】ヘルゲ・レトーニャ
【舞台監督】村田健輔

キャスト

【ヴィオレッタ】ベルナルダ・ボブロ

【アルフレード】アントニオ・ポーリ

【ジェルモン】アルフレード・ダザ

【フローラ】山下牧子

【ガストン子爵】小原啓楼

【ドゥフォール男爵】須藤慎吾

【ドビニー侯爵】北川辰彦

【医師グランヴィル】鹿野由之

【アンニーナ】与田朝子

【合 唱】新国立劇場合唱団

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

 


Cafe La Bohéme(カフェ ラ・ボエム)

2015年05月09日 | 食道楽

相方ねずみと共に新宿御苑にあるカフェ・ラ・ボエムに行きました。

ご存じプッチーニのオペラのタイトルからとった名前ですが、日本のグローバルダイニング社の営むチェーン店です。

世田谷公園のすぐ近くにある世田谷店(池尻)が、ペット好きのマダムに好評で有名のようです。以前に、Sigmaのレンズのお試し会に参加して、この店の前を通った際にも、オープンテラスには高級なワンちゃんを連れたマダムが集まってカフェの時間を楽しんでいました。

 

相方ねずみと道楽ねずみのねずみ属が出かけるにはペット可の世田谷店がいいかとも思ったのですが、自宅から近い新宿御苑店に行きました(注 新宿御苑店は、実際にはペット入店不可のようなので、本物の動物は入れないと思います。)。

 

新宿御苑店ですが、味もいいのですが、それにもまして特筆すべきは内装です。天井の高さ、照明も含め内装が特にこだわっているので、ヨーロッパのレストランにいるような錯覚を起こします。トイレまで、足でボタンを押して流すようになっており、装飾にも凝っています。昔、プラハからドイツに帰る夜行列車が来るのを待っている間に、プラハ中央駅の近くで食べたレストランの雰囲気に似ていると思いました。こうした雰囲気の中で食事ができること自体が幸せな気持ちにしてくれます。

 

料理は、サラダ、パスタ、ピザでいただきましたが、パスタをゆで過ぎて失敗して作り直しということで、少し待たされましたが、雰囲気のいい店なので苦痛になりません。

 

 

待っている間にパスタの写真を撮ることを完全に失念しました。

 

最後の支払まで、テーブルでする上、金額が小銭を含む金額となり、おつりをもらうような金額になったのですが、思わずstimmt so(チップを含め、この金額で)と言いそうになりました。

 

雰囲気のいい店でしたが、店内の音楽が割とボリュームが大きく、店員さんも元気がいいといえばいいのですが、築地の魚河岸のように勢いのいい声を出しているのが、ヨーロッパ風の内装と奇妙なコントラストを出していました。

 

今回はランチでしたが、夜、またでかけて見たいと思います。


動物絵画の250年(府中市美術館)

2015年05月08日 | 美術道楽

松濤美術館で「いぬ 犬 イヌ」を見たことから、さらに動物繋がりで、府中市美術館で開催していました「動物絵画の250年」展に行きました。 

東府中駅から歩き、公園を横切って、公園の端から端まで歩くので結構時間がかかりました。

様々な動物の日本画が展示されています。

我々ねずみ属は、田中訥言(「たなかとつげん」と読みます。でん中納言かと思いました。)の《大黒天と鼠図》の中に準主役として描かれていたほか、狩野章信の《仏涅槃図》、狩野永泰の《放生図》の中に大勢の中のキャストとして描かれています。

歌川国芳の猫の絵もあれば、宮本武蔵の闘鶏の絵、伊藤若冲、長沢廬雪等々日本画が多数ありますが、やはりその中で存在感があるのが、円山応挙の絵です。円山応挙は、鶴、虎、兎などいろいろ描いていますが、やはり可愛いワンちゃんの絵が印象的です。特に最後のコーナーは多くが応挙のワンちゃんの作品で占められています。

応挙のワンコ、丸っこくてとても可愛く描かれております。応挙の絵は、他の動物の絵でもいい作品がありましたので、プチ円山応挙展のように感じました。

この美術展、市立美術館における展示ながら、前期と後期に分けて展示替えを行い、多くのよい日本画を展示していました(前期は行ってないのが残念です。)。

ペット大好きな人を初め、予想外に多くの訪問者が訪れたのか、何と図録は売り切れになっていました。すごい人気です。

 

ここでも円山応挙のワンちゃんのクリアファイルを買いました。

 

 


いぬ 犬 イヌ(渋谷区立松濤美術館)

2015年05月07日 | 美術道楽

渋谷区立松濤美術館で開催中の「いぬ 犬 イヌ」展に行きました。

正確には「人間の最も忠実なる友・人間の最も古くからの友 いぬ・犬・イヌ」展と言います。

 

解説も、イヌと人類とのかかわり、日本におけるイヌと人間とのかかわり、鎌倉時代の犬追物などを紹介した上、イヌは人間に飼われるようになり、安全な生活が保障されるのと引き換えに自由を失ったという哲学的なお話まで書いてあります。

 

大昔のものでいえば、イヌの埴輪に始まり、円山応挙《十二支図ノ中 菊狗子図》(海の見える杜美術館蔵)、狩野芳崖《毛利鏻姫像》(下関市立美術館蔵)、さらには西郷隆盛とイヌを描いた絵やハチ公の銅像までありました。花咲かじじいや桃太郎の絵もあります。竹内栖鳳が鳥の群れと犬を描いた屏風、《百騒一睡》も面白く、鳥の数を数えている人もいました。このほかにも、安田靫彦、奥村土牛、朝倉文夫といった作家の作品も並んでいます。

 

また、本企画展のために描かれた中島千波《春爛漫のボンボンとアンジェロ》、畠中光享《花と犬》も展示されていました。「ボンボン」はイヌの名前でしょうか、シロクマで有名なフランソワ・ポンポンみたいな名前です。下の写真は、その2枚の絵はがきです。左が《春爛漫のボンボンとアンジェロ》なのですが、その中の左のワンちゃん、私には森村泰昌が演じているような感じがしました。ワンちゃんの顔が妙に人っぽいのと、森村泰昌が演出に使うような雰囲気ががったからなのでしょうか。それとも私の思い過ごしでしょうか。

 

入場に際しては、ワンちゃんの写真を持って行くと割引になるポチ割なる企画もありました。

 

ワンちゃんをテーマにした展覧会で、愛犬家が中心に訪れていたようです(ポチ割のワンちゃんたちの写真が所狭しと貼ってありました。)。

最初の印象に反して、以外に見所のある展覧会だったと思います。

 


百草園(日野市百草)

2015年05月06日 | 風流道楽

ゴールデンウィーク期間に京王百草園に行きました。

実は大昔、子どもの時に来たことがあるはずです。もう半世紀近く前のことです。

覚えていなかったのですが、京王線の駅からは心臓破りのような激しい坂です。

山を一気に駆け上がるように登っていきます。 とても疲れました。

 

園内はちょうど藤の花が満開でした。

 

他にも津軽三味線のイベントも開催中でした。

 


燕子花と紅白梅(根津美術館)

2015年05月02日 | 美術道楽

根津美術館で開催中の「燕子花と紅白梅」展に行きました。

根津美術館の《燕子花図屏風》とMOA美術館の《紅白梅図屏風》という2つの尾形光琳作の国宝のコラボということです。

2つがそろうのは56年ぶりということです。

先にMOA美術館で開催され、現在は根津美術館で開催中です。

燕子花図屏風は、毎年のように根津美術館で見ている気もしますが、《紅白梅図屏風》の方は普段見ていないので貴重です。川を挟んですっくと立つ紅梅と上部から地に接するほどに垂れ下がる白梅の2つの梅の色と動きのコントラストが良かったです。折しも庭園の燕子花が満開で、大混雑であったにもかかわらず(というか、庭園の燕子花の写真を撮るためにわざわざゴールデンウィークの混雑中に私が出かけたのですが。)、混雑の合間を縫って《紅白図屏風》の全貌を見ることができました。

他にも、伝俵屋宗達筆、烏丸光広賛の《蔦の細道図屏風》(相国寺蔵)なども、金と緑をベースにその合間から蔦がのぞくという極めて斬新なデザインで、現代アートのようで素晴らしい作品でした。

 

尾形光琳の《扇面貼交手筥》や、尾形光琳・尾形乾山コラボの《銹絵梅図角皿》などの作品も印象に残りました。

 

昼食は、NEZUCAFEでパスタです(ねづではなく、ねずなので、ねずみ属にはぴったりです。)。

 

 

庭園の燕子花は冒頭の写真のとおり満開でした。

 


東京国立博物館常設展

2015年05月01日 | 美術道楽

東京国立博物館のインドの仏を再訪して見た後、常設展に行きました。

既に鳥獣戯画展が開催されていますが、こちらは大変な行列です。 

 

 

 

鳥獣戯画展は今回はパスですが、常設展で模写を見ました。

 

 

実は相方ねずみと一緒に、絵巻に映り込んでいます。

もちろん嘘で、別のねずみたちです(相方ねずみと道楽ねずみのご先祖様でしょうか。)。

 

 

 

平治物語絵巻(六波羅行幸の巻)も展示されています。

 

 

狩野山楽《黄石公張良・虎渓三笑図屏風》

 

 

 

こちらは島根県の日御碕神社の所蔵する甲冑(白糸威鎧)です。

平家物語には源三位頼政の子仲綱が、黒糸威鎧(くろいとおどしのよろい)を着て闘う場面が描かれていますが、こちらは白です。

日御碕神社は島根半島の西の端にあります。

 

このほか新たに国宝に指定された物の展示もありましたが、写真は皆NGでした。