道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

文天祥の最期

2010年01月31日 | 衒学道楽
いつの間にか1月も最後となりました。
本来1月9日の時に書くべき記事を落としていたことに気づきましたので,遅ればせながら書きます。

1月9日は,南宋末期に活躍した文天祥がクビライ・カーンの命によって処刑された日です。

文天祥は1236年生まれ。1258年に進士及第(科挙試験合格)。科挙の首席合格者のことを状元といいますが,文天祥も首席合格であったため,その後,文状元と呼ばれることもあります。

文天祥が進士及第となった年には,既にモンゴル帝国によって金も滅ぼされており,南宋も常にモンゴルに脅かされることになります。文天祥は丞相の賈似道(賈似道は諸葛孔明の顰みにならって出師の表を書いて出陣しましたが,モンゴルに惨敗しています。)の覚えが悪かったこともあり,辞職を余儀なくされたりしますが,モンゴルとの戦いの中で軍を率いて戦うようになります。

文天祥はモンゴルに捕らえられますが,その才能を惜しんだクビライ・カーンから辛抱強く帰順を要求されます。しかし文天祥はこれに頑として応じず,クビライも最終的に文天祥の処刑を命じることになります。1283年1月9日,文天祥は処刑されました。

日本でも文天祥は,浅見絅斎が紹介して以来,幕末期,そして明治以降も忠臣の鏡としてもてはやされます。そのためか,日本では,文天祥やその作の「正気の歌」は,どうも右翼がかったイメージになってしまっているのはいささか残念です。

【余談】
浅見絅斎が特に賞賛した人物は,文天祥よりもむしろ明代の方孝孺(永楽帝に「燕賊簒位」と大書した書を渡し,処刑された人物)であったような記憶です。
そのうち,方孝孺のことも取り上げたいと思います。

味道楽(新宿区百人町)

2010年01月30日 | 食道楽
ちょっとした用があって,大久保まで出かけた際に,駅の近くの味道楽という店で,食事をしました。新大久保の駅方面と反対方向に進んだ位置にあります。
店の人の日本語もやや怪しいような感じで,さすが韓国料理の多い地域という印象を持ちます。

石焼きビビンバを頼んだのですが,よくかき混ぜて食べると辛さも出て,おいしい味になりました。みそ汁があうかどうかはやや問題がありますが・・・

相方のLonginesの腕時計

2010年01月29日 | 日常の道楽
相方のLonginesの腕時計がようやく修理から戻ってきました。

竜頭で時針のみを動かす機能が故障しておりましたところ,さらに電池まで切れまして,銀座の天賞堂に行きましたら,オーバーホールとなりました。約2か月の修理を経て,ようやく戻ってきた次第です。

事前に言われていたことですが,修理にかかった費用は決して安くはなく,並行輸入品であれば新品のLonginesの腕時計が買える値段でした。相方の腕時計は私の腕時計と同じデザインなのですが,相方のものだけ新しくしてもよいかと思ったのですが,やはり修理をしても長く使おうと思い,修理をすることにしました。

天賞堂といえば,正月に窃盗団に入られたところですが,相方の腕時計は高価なものではないので,もちろん香港には渡らず,無事でありました。

言うまでもないことですが,写真の右の腕時計が相方のものです。

鏑木清方記念美術館(鎌倉市雪ノ下1丁目)

2010年01月28日 | 美術道楽
神奈川県立近代美術館鎌倉館に行った帰りに,鏑木清方美術館に行きました。
小町小路から少し脇道に入ったところにあります。
いつも近くまで行きながら,今まで行ったことのない美術館でした。
ちょうど「清方の正月 羽子板展」を開催中でした。
清方の作品とそれを元にした羽子板を展示してありまして,正月にあわせた展示となっていました。


内藤礼展(神奈川県立近代美術館鎌倉館・鎌倉市雪ノ下2丁目)

2010年01月27日 | 美術道楽
1月24日の展覧会の最終日に内藤礼展に行ってきました。
「すべて動物は,世界のうちにちょうど水の中に水があるように存在している。」という長いサブタイトルが付いています。
展示会場は神奈川県立近代美術館鎌倉館の本館でした。その中で大まかにわけて3つのスペースで展示されていました。
最初は真っ暗な展示会場の中で,クリスマスツリーの装飾にでも使いそうな小さな電球のいくつかのまとまりを丸くなるように並べた作品です(この表現では,見たことがない人には伝わらないと思いますが。)。面白いのは大きな展示ケースに入っている作品については,鑑賞者も展示ケースの中に入って見学することができることです。そうすると,展示ケースの外からの鑑賞者は,中に入っている鑑賞者も併せて鑑賞することになります。私も入って見ましたが,展示ケースの中から外の鑑賞者を見るというのも不思議な体験でした。主客一体といった言葉が当てはまるような当てはまらないような・・・少し牽強付会かもしれません。
2番目の会場では,床に敷き詰められた紙か布の装飾を見ます。同時に,パラフィン紙のような作品?を自由に持ち帰ることができます。持ち帰りましたが,ただの紙で,趣旨はよく分かりませんでした。
3番目の会場は屋外です。「精霊」という作品は2本のリボンが幟のように上に舞い上がっている作品です。「恩寵」という作品はビーズで作ったヒモが上から垂れ下がっています。傑作だったのは,「無題」という作品はガラスの瓶に水をなみなみとついだだけの作品なのですが,その一つは床置きにされており,若いカップルがものの見事にサッカーボールを蹴るかのように蹴り飛ばしてしまい,水が周辺に飛び散ってしまったのをちょうど目撃したことです。私の足下のすぐ手前まで水が飛び散ってきました。美術館の人は目立ちにくい位置にありますから,と一生懸命にフォローしていましたが・・・

内藤礼の作品は,横浜トリエンナーレの三渓園の展示会場でもよくわからない作品でしたが,今回の展示物も十分に理解できたとはいえない状況でした。

精霊



無題


牛天神の梅(文京区春日1丁目)

2010年01月26日 | 風流道楽
先週の土曜日に文京区春日にある牛天神に行きました。
8年も前になりますが、以前に過労で精神的に疲労していた際に,この梅を見て心を休ませたことがあって以来,よく出かける場所です。

まだまだ梅の満開の時期にはほど遠いですが,少しは咲いていました。
京都の北野天満宮に行けば,もっとはるかにたくさんの梅の花を見られるのですが,春日のこの小規模な天神さまで,あまり多いとはいえない梅の木を見る方が風流のようにも思えます。

昔は花と言えば桜ではなく,梅であったと言いますが,私も酒と食べ物の臭いのむんむんするのを我慢しながら桜を見るよりも,梅の花を愛でる方が好きです。







美術カレンダー(Harenberg Kalender Kunst 2010)

2010年01月25日 | 美術道楽
前にも書きましたが、毎年,ドイツからカレンダーを取り寄せます。
相方と私の星座占いカレンダーとマウスのカレンダーは毎年買います。
そのほか,毎年というほどでもないですが,購入しているのが美術カレンダーです。
日めくりカレンダーなので,毎日,絵を一つ見ながらです(写真のように土曜日と日曜日はあわせて1枚です。)。
1月23/24日は,モディリアーニの青い目の女性の肖像画でした。
著作権の関係でしょうか,現代絵画は少ないのが少し残念です。

John Rabe(DVD)

2010年01月24日 | 映画道楽
ドイツのアマゾンでDVDを購入し,映画John Rabeを見ました。

南京大虐殺がテーマの作品です。
当然のことながら,音声は日本軍の将官や兵士の発言部分は日本語ですが,それ以外はドイツ語,英語,中国語です。さすがにドイツ語の字幕をみながら,耳で1回聞いただけでは,理解することができた内容も限定的です。

ラーベはドイツのジーメンス社の南京駐在事務所長という立場にあり,日本軍の南京侵略の際の蛮行を目の当たりにすることになります。ラーベは日本軍の侵攻の前に,南京に外国人の仲間と共に非武装の安全地区を作りますが,日本軍の毒牙は安全地区にも襲いかかり・・・といった内容です。
日本軍の蛮行の描写のトーンは相当程度,落としてあるという印象を受けました。殺戮の場面はありましたが,レイプの点は,間接的な表現にしてあったり,女性が危機一髪難を免れたりするといった具合です。

主人公のラーベはウーリッヒ・トゥクールという役者が演じていますが,本来は「善き人のためのソナタ」のウーリッヒ・ミューエが演じるはずだったそうです。トゥクールはミューエの急死によって,急遽この役を演じることになったそうで,何かの表彰式の際にももう一人のウーリッヒのためにと発言していたと相方から教わりました。ちなみに相方はDeutche WelleのDas Kinoという番組を見て知ったようです。
ほかにダニエル・ブリュールも出演しています。ダニエル・ブリュールの演じる登場人物やナチ嫌いのイギリス人医師という設定の登場人物と,ラーベとの会話の内容がいずれもとても興味深かったのですが,肝心な部分があまり聞き取ることができず,残念でした。

日本からも松井石根(後に極東国際軍事裁判で死刑)役で柄本明が,朝香宮(東京都庭園美術館のもととなった旧朝香宮邸のもとの主。皇族であったために訴追を免れ,戦後は安穏と生き延びる。)役で香川照之が出演しています。この嫌な日本人を演じた2人の役者(特に激しい嫌悪感を抱かせる朝香宮を演じた香川照之)の役者魂には本当に感心します。

それにしても,これくらいマイルドにした映画でさえも上映することができないという日本の閉塞した状況には,ほとほとうんざりします。

ミュン(文京区本郷4丁目)

2010年01月23日 | 食道楽
本郷三丁目の駅の近くで,春日通りに面したところにあるベトナム料理の店,ミュンに久しぶりに出かけました。
かつて相方と私が文京区内に住んでいましたころ,週末にはしょっちゅう食べに行った店です。夜の時間帯は学生のコンパ等もあり,いつも早くからにぎわっていました。
ミュンは新宿御苑の近くにもありますし,四谷三丁目の駅の近くには姉妹店のティン・フックもあります。

今回久しぶりに本郷のミュンに行ったのですが,昼の時間帯だったので,おとなしく鳥カレーのランチセットにしました。
今度,改めて夜に行き,以前からの定番メニューである,生春巻き,揚げ春巻き,ベトナムスープ,牛かけそーめん等を食べたいと思います。


美術チケットの相場

2010年01月22日 | 美術道楽
日本航空の会社更生手続が開始になった際には,株主優待券のことがずいぶんと話題になりました。
私も,以前には新幹線のチケットや航空券のディスカウントチケット(6回券のばら売り又は株主優待券の使用でした。)を多用していた時期があり,その時にはずいぶんとチケット屋に世話になりました。
そんなこともありまして,気が向くと今でも美術館のチケットをチケット屋で買うことがあります。
そんなときにとても面白いと思うのはチケットの値段です。
もちろん主催者側がタダ券を大量に配っているような展覧会は,自然とチケットも安くなるのでしょうが,そのことをおくとすると,美術館のチケットの人気の度合いをかなりはっきりと反映しているように思われます。
例えば昨年のオルセー美術館展や「やなぎみわ」展などはだいぶ割引が大きかったような気がします。終了間際になった時期はトレチャコフ美術館展もかなり安くなっていたようです。これに対し,阿修羅展や皇室の名品展などはそもそもチケットを取り扱っていないか又は正価で買うしかなかったような記憶です。

あたりまえのことですが需要と供給のバランスで値段が決まる世界ですので,展覧会の人気が如実に価格に反映されるようです。

モダン食堂東京厨房新宿御苑店(新宿区新宿2丁目)

2010年01月21日 | 食道楽
新宿御苑の近くにある東京モダン厨房に行きました。
以前にも紹介しましたが,レトロな雰囲気を醸し出している洋食屋で,デミグラソースにこっているようです。
カニクリームコロッケの定食をいただきました。
やや油が私くらいの年齢になると,気になる食事でした。

BGMでかかっている音楽がとても古く,私が10代のころのものが多かったようです。
同じ時に店にいた若い人たちは,皆知らない曲ばかりでしょう。

Cafe Hai(東京都現代美術館・江東区三好)

2010年01月20日 | 食道楽
東京都現代美術館でレベッカ・ホルン展に行った際に,2階のアジアン・カフェCÀFê HAIで食事をしました。
以前にはなかった店だなと思いましたら,昨年4月にオープンした店のようです。

ベトナム料理の軽食を食べることができます。ベトナム風の春巻きなどのメニューもあります。
地下1階にあるContent(コントン)とは違って,注文後すぐに食事が出てきますし,値段もさらに手頃です。
食器がなかなか面白いです。スプーンやフォークはアルミニウム製なのでしょうか。とても軽く,折れ曲がってしまいそうな形状です。
味の方はやや塩分がきつく,コーヒーが飲みたくなるような味でした。


レベッカ・ホルン展再び(東京都現代美術館・江東区三好4丁目)

2010年01月19日 | 美術道楽
昨年に東京都現代美術館で開催中のレベッカ・ホルン展に行きましたことは、既に紹介したとおりです。

しかし、前回は殆ど映像作品をきちんと見ることができなかったので、今回、再度行って参りました。
といいましても、見たのは「ダンス・パートナー」と「ラ・フェルディナンタ」の2作品のみです。


「ダンス・パートナー」はアメリカでバレエ教室を営む女性のもとに,ふとしたことから姉妹が下宿することになったことから始まるストーリーです。怪しげな日本人の寿司職人と姉妹とのやりとりはナレーションを含め,意味深長で,性的なものと暴力的なものを感じさせます。
ほかにダンスを習いに来る盲目の老人や無遠慮な電話をかけてくる男性等の登場人物も出てきます。
この映画には,巻き貝の貝殻のように円形に開く羽毛?に覆われる少女も登場します。この場面はホルン展の広告にも掲載されているものです。
結局,わかったようで何も分かっていないのですが,誰も乗っていないブランコを使った場の展開などは面白かったです。


「ラ・フェルディナンタ」は元オペラ歌手のマダムが、愛人のチェリストと姪を連れて、久々に自分の別荘にやってきたところから話が始まります。
ところがその別荘は、結婚式場として利用されていて,マダムの滞在と結婚式が重なることとなります。さらに過去に殺人事件の疑惑を抱えた医師や同性愛(男性)のカップルまで出てきます。
そして,ストーリーは登場人物ごとに完全に分裂した形で進みます。
見ていると、こちらのメンタルの方が分裂してしまいそうです。
とにかくよく訳の分からない作品ですが、鳥,ブランコ等ホルンの芸術作品で意味づけを与えられているものが要所要所で出てきます。

私はよく知らなかったのですが、音楽に詳しい相方によりますと,チェリスト役で出ているのは,本物の名チェリストであるミッシャ・マイスキーだそうです。
よく似ている役者だなあと思ったのですが,まさか本人だったとは最初に見たときは気づきませんでした。
因みに姪の役で出ている人も有名なバレリーナということだそうです。

役者のことはともかくとして,やはり芸術としての映像作品を見るのは、本来の映画を見るのとは違い、とても理解することが困難であることがよく分かりました。


新宿歴史博物館の講演会(新宿区三栄町)

2010年01月18日 | 美術道楽
東京都美術館でボルゲーゼ美術館展が開催されるのを記念して、1月17日に新宿歴史博物館で講演会が開催されましたので、それに参加して参りました。
多摩美術大学の中村隆夫先生による「イタリア・ルネサンスからバロックまで」というタイトルのご講演です。

ボルゲーゼ美術館展は1月16日から開催されていますが、そこで展示される作品を中心に、画家が参考にした絵なども併せて、スライドを用いてのお話でした。

ルネッサンス、マニエリズム、バロックの歴史を鳥瞰しながらのお話で、なおかつ、展示作品のスライドも多数取りそろえてあったため、2時間半強のお話でしたが、非常に盛りだくさんでした。参加者に高齢者の方が多かったこともあるのでしょうか、先生はちょっとレトロなオヤジギャグを連発されておりまして、中には私でも分からないような昔のギャグもあったようです。

関連作品として紹介されたものには、私も美術館で直接に見ている作品もたくさんありました。覚えている範囲でも、以下のようなものがありました。
ジョルジョーネ「眠れるビーナス」ドレスデン国立絵画館
リベラ「牢獄の聖アグネス」ドレスデン国立絵画館
ベロネーゼ「カナの婚礼」ルーブル美術館
ラファエロ「美しき女庭師(聖母子と幼児聖ヨハネ)」 ルーヴル美術館(パリ)
ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」ウフッツィ美術館(フィレンツェ)
ティッツィアーノ「ウルビーノのビーナス」ウフッツィ美術館(フィレンツェ)
グリューネワルト「イーゼンハイムの祭壇画」ウンター・デン・リンデン美術館(コルマール)
マザッジオ「貢ぎの銭」ブランカッチ礼拝堂・カルミネ教会(フィレンツェ)

グリューネワルトの作品につきましては、今回の展示作品の一つがこれを参考にしているのではないかというお話だったのですが、私も展示作品のスライドを見た瞬間にグリューネワルトのこの祭壇画を連想しましたので、やはりこの作品だったかと思いながら聴きました。

講演会の内容は少し盛りだくさんすぎて、先生も聴く方も大変でしたので、もう少し紹介する作品を絞って、先生のフリートークを聴きたかったと思いました。

とまれ、各国の有名な美術館の作品をスライドで多数見ますと、既に自分が直接見た絵画も多くなってきているなと思いましたし,またそろそろ美術館巡りにヨーロッパに旅立ちたくなりました。

スープストック高田馬場メトロピア店(新宿区高田馬場1丁目)

2010年01月17日 | 食道楽
高田馬場で手短に食事をしようとして,思いついたのがスープストックの店です。
ランチのセットにして,日替わりのスープとライスとコーヒーをいただきました。
食べるスープという,日本ではまだあまりない種類の店で,昼食を軽く,早くとりたい時には手頃な食べ物です。