道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

宗教改革記念日(Reformationstag)

2009年10月31日 | ドイツ語
1517年10月31日,ヴィッテンベルク大学の教授であったマルティン・ルターは,ローマ教皇庁がサン・ピエトロ寺院建設のために販売していた免罪符,そしてこれを独占的に販売し,その利益によってマインツ大司教の座を獲得したアルブレヒトの行為等を問題にし,「95か条の論題」をヴィッテンベルクの城教会の門の扉に張って公表しました。
これがルターによる宗教改革の始まりです。

当時,既に免罪符の販売については,数々の問題が提起されていたものであり,当初はルターもその後の宗教改革までは予想していなかったのではないかと思います。
ところが,ルターの破門,ドイツ農民戦争等を経て,最終的にはプロテスタントの誕生へとつながることになります。

今日は,宗教改革の記念日で,ドイツでは祝日です。

冒頭の写真は,昔ヴィッテンベルクに行ったときに撮った写真です。
奥に見える塔が城教会です。

「95か条の論題」が掲載されたのは,この門の扉です。


次はマルクト広場の写真です。解像度が悪く,わかりにくいですが,広場に2つの彫像(いずれも枠のようなもので覆われています。)があり,右がルターで,左がメランヒトンだそうです。



天然はちみつ専門店PBees(新宿区箪笥町)

2009年10月30日 | 食道楽
牛込本通り方向にある,神楽坂の駅の出口近くに天然蜂蜜専門店があります。
ニュージーランドの天然蜂蜜にこだわった店だそうです。

シークワーサーと蜂蜜のドリンクをいただいた後,蜂蜜のお試しセット(35gの小瓶3つのセット)を買いました。ブナの樹液のハチミツであるハニーデューとマヌカのハチミツほか1つのセットです。
ナチュラルな感じがおいしく,とても満足です。
神楽坂ベッカーのゾンネンブルーメンブロートにアルパージュのチーズとPBeesのハチミツとボルカンのコーヒーがあれば,朝食は毎日同じものでもあきないのではないかと思います。


伊豆栄不忍亭(台東区上野2丁目)

2009年10月29日 | 食道楽
法事の関係で,伊豆栄不忍亭で食事をとりました。
伊豆栄といえば,鰻ですが,それだけに留まらず,様々な料理をいただくことができました。
お刺身,雲丹の茶碗蒸し,シューマイ風の揚げ物等々全部は思い出せませんが,どれもとてもおいしい料理でした。最後はもちろん,鰻重と肝吸い,漬け物,デザートで終わるのですが,相方などはそれまでの食事でお腹がいっぱいになってしまい,鰻重まで食べられなくしまいました。
お土産というのもいいですが,やはりその場で暖かいうちに,タレや山椒とうまく混ざった状態で食べる方がおいしいのではないかと思います。

さすが,伊豆栄不忍亭という内容のとても満足のいく食事でした。
幹事をしていただいた方,本当にお疲れ様でした。

冒頭の写真はおみやげで持ち帰った鰻重です。箱からしてこっています。


京都おばんざい石塀小路豆ちゃ(マルイアネックス館・新宿区新宿3丁目)

2009年10月28日 | 食道楽
ドイツ映画祭2009の合間に,映画祭の開催されているWald9が入っている丸井アネックス館の中のレストラン,「京都おばんざい石塀小路豆ちゃ」で昼食をとりました。
文字通り豆のお茶(やや焦げた味が独特でした)が出てきます。食事は魚を焼いたものにしました。
ヘルシーな食事で,映画で疲れ果てた胃腸にはちょうどよかったです。

富有柿(鳥取県鳥取市)

2009年10月27日 | 食道楽
JA鳥取から,名物の富有柿を取り寄せました。
オレンジ色に輝いていていかにもおいしそうに見えるのですが,今年の柿はどうも今ひとつです。
甘みが足りず,渋い味覚のする柿です。中には熟していておいしいのもありましたが・・・
例年はもっとおいしいので,いささか残念ですが,昨月でしたか日本列島を縦断した大型台風のせいで,柿の多くが駄目になってしまったせいかもしれません。
台風にも負けなかった柿を食べるのかと思いますと,有り難みもでてきます。


Windows7グレードアップ

2009年10月26日 | 買い物道楽
私のLenovo61 Windows Vista Ultimate 32bit版のOSをグレードアップしましたので,そのお話を書こうと思います。
VistaがUltimateにしてしまっていたものですから,グレードアップの相手も当然7のUltimateになります。アップグレード版には32bit用と64bit用の二つのDVDが入っています。32bit版を32bit版でアップグレードすれば、上書きをすればよいようなので,当然楽なのですが,ここはせっかくですから,パワーアップのために64bit版に変更しました。
そうすると,アップグレード版のソフトを買いながら,実際には新規インストールの方式をとることになります。といっても,最初にパソコンを立ち上げるときにCD/DVDドライブからのデータを読み込むように指定する作業があるだけで,後は簡単にすみました。
新規インストールといっても,データファイルは保存しておくソフトがありますし,昔のVistaのデータファイルは皆,Windows Oldというフォルダーに保存されますから,昔のパソコンのバックアップを取り残し忘れていても、大丈夫です。
私のパソコンは既にVistaには膿みのように無駄なファイルがあふれかえっていたところですから,無駄なファイルの整理(Vistaは無駄なファイルを自分で消すことすらできませんでした。)のためにはちょうどよかったと思います。
Vista時代に90GB強の使用量だったHDDも,7にしてwindows oldのファイルを消したら,75GB程度になりました。

これでlenovo R61のカスタマイズ版のパソコンも,まずメモリーを1Gから4Gに総入れ替えをし,HDDを交換し,OSを変更しと,もとの形が残らないほど改造したことになります。

使い勝手ですが,メモリ4Gをすべて使用することができるようになったこともあるのでしょうか,非常に早く,軽快に動いて快適です。
従前使っていたソフトの大半がそのまま使用することができます。
ただ,Super Vistaほか一つの,ファイルの削除とパソコンのお手入れソフトが,64bi化に伴い,使用することができなくなりました。
新しいWindows 7用というか64bit対応版の発売が待たれるところです。

Windows7 Ultimate 64bitの画面

ベネシュ布告

2009年10月25日 | 衒学道楽
第2次世界大戦(亡命政府)から大戦後にかけて,チェコスロバキア共和国ではエドアルド・ベネシュ大統領によって,法律に代わる布告(ベネシュ布告Beneš-Dekrete)が出されていました。
その中には,戦後のチェコスロバキアにおけるドイツ人の処遇について規定した各種のベネシュ布告があり,今日,「ベネシュ布告」というときはもっぱらこうした布告が念頭におかれています。
その中でも,1945年10月25日の布告では,チェコスロバキア国内のドイツ民族は敵性民族として,財産の没収が命じられました。

第2次世界大戦が始まる前は、ドイツ(併合される前のオーストリアも含む)の国土は今日よりもずっと大きかった訳ですし、隣国のポーランド(ポーランドとドイツの国境はそもそも,ずっと西側にありましたが,スターリンがドイツと合意したポーランド分割によって得た結果を戦後も維持するために,国境を大幅に東側に移したという複雑な経緯もあります。)やチェコスロバキアにもドイツ系住民は多くいました。
ところがドイツの敗戦に伴い,隣国諸国は皆,ドイツ系住民を国外に追い出すようになりました。チェコスバキアでは,ベネシュ布告で,ドイツ民族の公民権が制約されたほか,財産も没収されました。

今日まで残るドイツとチェコとの外交問題の重要な一つです。
ドイツにベネシュ布告が不当だと非難する勢力もあり,1990年には当時のチェコスロバキアのヴァーツラフ・ハベル大統領はドイツのヴァイツゼッカー大統領に対し,戦後のドイツ人への追放自体については謝罪しました。
しかし,「ベネシュ布告」自体を撤回する動きは今のところありません。

写真は16年も前にプラハでクリスマスを過ごした時の写真です。
古いものでボヤけていてすみません。

ドイツ映画祭2009を振り返って

2009年10月24日 | 映画道楽
仰々しいタイトルでしたが,4日間にわたり,新宿のWald9で介意際されたドイツ映画祭2009全体の感想です。
ドイツ映画祭は昨年から相方と参加しています。今年は,金曜日に休暇を取ってまで参加しました。
短編シリーズなどは面白い企画でしたし,SOUL KITCHENとブッデンブローク家の人々は,文句なしにいい作品でした。
しかし,昨年の「ウェイブ」や「耳のないウサギ」といった作品と比べますと,インパクトが少し全体的に弱かったような気がします。これは映画祭よりもドイツ映画全体にかかわることかもしれません。これからもシリアスなテーマの作品はもちろん,娯楽性といった意味でも楽しめる作品が紹介されるといいなと思います。今年,「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」(ファスビンダーの「ローラ」で主人公を演じたバーヴァラ・ズーコヴァの主演だそうです。)が上演されなかったのが残念でした。

来年ドイツ映画祭2010も無事に開催されるといいな,そして相方とともに再び見にいくことができるといいなと思います。
【余談】
今年もトークショーとサイン会がありました。
私は横着していきませんでしたが,相方が行ってきました。
まずはサイン会が始まる直前の写真です。



次はサイン会が佳境の場面の写真です。



サインの一つ

ネクスト・ジェネレーション’09

2009年10月23日 | 映画道楽
ドイツ映画祭2009で最後に見たのは,特別上映の「ネクスト・ジェネレーション’09」です。
これも全12作品を95分間つづけてみる形式になっています。
「セルビア国境警備―特記事項なし」は,NATOの域外派兵でコソボの国境に派遣されたドイツ軍兵士の話を描いています。現地の人々とコミュニケーションが取ることが困難な中で,兵士たちは次第に地雷の恐怖に慣れてきてしまっています。ところが,その恐怖を否応なしに意識せざるを得ない事態に陥ります。しかし,結果的には・・・
「踊る気分にはなれない」は,どこかの戦場を舞台に,3人の兵士たちが酒場で若い女の子にナンパをします。「踊る気分にはなれない」と断る女の子を無理やり,穴倉に連れ込み,暴行しようとすると・・・兵士たちもすっかり酔いが醒めてしまいます。これでは踊る気分になれないはずです。
「スズメ」は,ドレスデンの家にいるとスズメがうるさいという不思議な理由から,ホテルに泊まっている男が女性と知り合い,さらに飲みにでかけるという一晩の恋愛を描いています。この作品は,場面のカットを入れず,継続して撮影されており,映画の技術の上でも興味深い作品でした。
「一目ぼれ」は,海外留学を控えたファビアンが,マリーとシュトゥットガルトで知り合い, 一目ぼれになりますが,ファビアンは間もなく海外に行くことも打ち明けられず,マリーに積極的になれません(何度もキスをする機会があるのに,踏み出せません。)。同じことが何度も繰り返され,同じ映像が何度も売り返された揚句,ようやくファビアンはマリーに携帯電話で出発を告げます。
ほかにもいろいろ面白い作品がありました。「ドイツ2009」の短編にも劣らず,面白い作品がありました。

これで,ドイツ映画祭2009の映画の紹介はおしまいです。
明日は,サイン会の様子などを番外編としてお伝えします。

ヒルデ-ある女優の光と影

2009年10月22日 | 映画道楽
ドイツ映画祭2009で次に見たのは,「ヒルデ」です。実在の女優ヒルデガルト・クネフの生涯を描いた映画です。
ヒルデは,戦前にはナチス映画界の重鎮デマンドフスキに接近し,戦後は一転してアメリカ軍の士官と結婚をして,ハリウッドに行きます。しかし,ハリウッドで活躍の機会を得られなかったヒルデは再びドイツに戻り,「罪ある女」という映画に出演します。しかし,この映画はドイツで初めてのヌードシーンがあったことや売春婦の役であったことから,興行的に成功を収めたものの,社会的に非難を浴びます。「罪ある女」とはお前のことだと罵声を浴びせられたり,また新聞には「ヒトラーに次いで悪口を書かれている。」と評されます。
ヒルデは再びハリウッドに逃げ帰り,そこでも大衆作品に出演を続け,女優としての評価を固めていきます。
やがて,ヒルデは再々度ドイツに戻り,映画に出演すると同時に,歌手としての活動を始めます。

正直な感想ですが,嫌な女という一語に尽きます。女優としての地位を得るために,周囲を利用するばかりという印象を受けて,とてもいい印象は持てません。もっとも,印象がよくないのは,専ら主人公であるヒルデの人生についてであって,映画それ自体がよくないというのではありませんが,いずれにせよ見た後,とても疲れたことは確かです。

赤い点

2009年10月21日 | 映画道楽
ドイツ映画祭2009の5作目は「赤い点」です。
日本からドイツのミュンヘン・テレビ・映画大学に留学した宮山麻里枝監督の作品です。

ドイツで交通事故にあい,父母と弟を失い,一人生き残って母の兄夫婦のもとで育てられた,東京の大学生亜紀は,家族が生きていたころの夢を見て,就職活動も中断して,何かにとりつかれたかのようにドイツに行きます。手がかりは,遺品とともにあった地図に残された赤い点のみ。
亜紀は一人でドイツを旅し,ノイシュバンシュタイン城を訪れ,東アルゴイ地方の道を一人歩きながら「赤い点」を探します。その過程でドイツ人の若者エリアス・ウェーバーとその父ヨハネス・ウェーバーと知り合います。
亜紀はウェーバー家に滞在しながら,赤い点を探し,ついに探し当てます。そこにあったものは・・・そして、そこで,亜紀が家族の供養をしていると,ヨハネスが現れ,驚きの告白をします。

話の内容としては,意外性のあるものでもなく,おおよそ見当はつきました。
ヨハネス役のハンス・クレーマーの演技がよかったです。
それと,反抗期のエリアスが亜紀の登場によってどう変化するか,エリアスだけでなくウェーバー家自体も亜紀の登場によってどのような変化が出てくるか等の描き方が興味深かったです。亜紀が現在育ててもらっている家族のエピソードが挿話されているのがよかったです。
アルゴイの景色の映像が奇麗なのもよかったです。

「赤い点」の上演後も,質疑応答がありましたが,監督の昔からの知人が多数招待客として来ていたせいか,監督もテンションがかなりあがっていました。質疑の内容も,専ら監督が一人で答えており,せっかく監督夫妻(夫の方は音楽担当)のほかにも,主役の猪俣ユキさんや製作プロデューサーの方もおられたのに,ポツンと取り残されており,気の毒な印象を受けました。

質疑応答の様子


【余談】
昔,私もアルゴイの大豪邸に住んでおられる方の家に泊めてもらう機会がありました。
大きなプールも付いたお城のように大きな家で、ゲストルームだけで十分に立派な居住スペースになっており,驚嘆した記憶があります。

SOUL KITCHEN

2009年10月20日 | 映画道楽
ドイツ映画祭2009の話はまだまだ続きます。
4作目に見たのは,ファティ・アキン監督のSOUL KITCHENでした。

まずはあらすじを。ハンブルクで,いかにも安かろうまずかろうという感じの安レストランSOUL KITCHENを営むジノスは,交際相手のナディーンが上海に行ってしまい,遠距離恋愛中ですが,スカイプのテレビ電話や携帯電話だけでのつながりは,いかにも脆弱で,うまく行きそうにありません。
その上,ジノス(ブスドゥコス)の旧友で,不動産業者のノイマンが店を買収するよう画策し,保健所に虚偽の申告をして,店の経営の妨害を図ります。その上,ジノスの弟で,SOUL KITCHENでの就労を条件に刑務所から外出を許されるようになったイリアス(モーリッツ・ブライプトロイ)まで,転がり込んできて,店は前途多難な状態になります。
ところが,ひょんなことから高級レストランをクビになった頑固な天才料理人シェイン(ビロル・ユーネル)が迎えられ,生で演奏されるようになった音楽とも相まって,SOUL KITCHENは次第に人気店になっていきます。
しかし,ジノスは商売に身が入らず,ナディーンのいる上海に行こうとし,店を何と無責任な弟イリアスに任せてしまいます。
当然のことながら,イリアスが店を経営することができるはずもなく,まんまとノイマンの罠にはまりますが・・・

感想ですが,ストーリーはとにかく面白いです。ファティ・アキン監督も,トルコ系ドイツ人以外の映画を作成するのだということが新鮮な驚きでした。イリアスとノイマンの契約は明らかに無効であろうとか,ジノスは事件後に釈放されることはないだろうとか,不動産の強制執行は期間入札で行われるのではないのかなどといった無粋なことを考えるまでもなく,娯楽映画として楽しめます。

それにしても,モーリッツ・ブライプトロイとビロル・ユーネルというインパクトの強い脇役が2名も出演しているせいでしょうか,主人公ジノスを演じるブスドゥコスの印象が弱くなってしまいました。

【余談】
プログラムによると,監督は,ハンブルグという郷土への愛を語る「郷土映画」と説明しているようですが,風景はアルトナ駅に向かう列車が数回映る程度で,レーパーバーンらしき風景も1か所を除いては映っていませんでした。ハンブルグに生きる人々,その社会というのが,監督のいう「郷土」なのでしょう。

質疑応答の様子


その後の自主的サイン会の様子



ブッデンブローク家の人々

2009年10月19日 | 映画道楽
ドイツ映画祭3作目は「ブッデンブローク家の人々」です。
説明をするまでもなく,トーマス・マンの長編小説を映画化した作品です。
上演時間は2時間30分を超えましたが,全く退屈しません。
普段はよく昼寝をしてしまう癖があるのですが,この映画ばかりは時間を気にする間もなく,あっという間に終わってしまいました。
ただ,これは監督の力よりもやはり原作の力によるものなのでしょうか。

リューベックの大商人ヨハン・ブッデンブロークからその息子達,すなわち次の当主となる長男トーマス,二男のクリスティアン,娘アントーニエ(トーニ),さらにトーマスの妻ゲルダと息子のハンノに至るまでの,ブッデンブローク家の隆盛と衰退を描いています。
今回の映画では,トーマスに特にスポットライトをあてた演出がされているそうです。

トーマスは確かにブッデンブローク家の当主として計り知れない重責を担っていましたが,その私生活を見ると,純粋な政略結婚ではなしに,恋愛を叶える形で結婚をし(結婚前には,他でお楽しみもあったようですが。),商売の上でも成功し,参事会の会員となり,名誉を得て死んでいきます。
ただ,死に際し,息子のハンノに自分と同じ苦悩を与えないため,ブッデンブローク商会は清算手続に入ることとなります(ここで留意したいのは,商会は倒産ないし破産したのではなく,自主的に清算手続に入っていることです。原語も字幕もこの点は正確に表現されています。)。

これに対し,トーマスと何かと確執のあったクリスティアンは,外遊から戻っても,遊んでばかりで,ブッデンブローク家から厄介者として扱われますし,だめんずウォーカーのトーニは2回も持参金目当てのダメ男と結婚してしまいます。

結局,当主としての苦悩を差し引いてもトーマスの人生はいいものであったといえると思います。

浅薄な感想しか書くことができませんでしたが,とても面白い作品です。
原作を読むともっとよいのでしょう。
ホルステン門を初め,現在のリューベックの景色と撮影された画像をうまく組み合わせてあるようで,映像的にも奇麗な作品です。
昔,相方と新婚旅行の際にリューベックに行き,ブッデンブロークハウスを訪れたことを懐かしく思い出しました。

質疑応答の様子



【補遺】
上演終了後,質疑応答のコーナーがあったのですが,ちょっとさすがに良識を疑うような質問者がいて,大ブーイングがおきました。一体何を言いたいのか,何を質問したいのかすら整理しないまま,マイクを離そうとせず,自分の旅の経験など延々と話し続けたのです。
例えば先物取引の何たるかも知らないまま,先物取引・・・といった発言をしており,要するにしゃべりたいだけなのかと思ってしまいました。
おそらくはあの場には,ドイツ文学の先生とか,いろいろな分野でかなり知識の豊富な参加者もいたでしょうに。


冬の贈り物

2009年10月18日 | 映画道楽
ドイツ映画祭で次に見たのが「冬の贈り物」です。
研究者で厳格な父,インテリアデザイナーの母との間にはリリーとアレクサンダーの姉弟がいましたが,アレクサンダーは自殺をしていまいます(ここまでは映画のストーリーの前の話です。)。
母は,画家マックス・ホランダーのアトリエを訪ね,リリーとアレクサンダーの2人の絵を描くように依頼します。リリーはミュージカルの主人公を演じるよう期待されて,演劇を学んでいますが,我が強そうです。リリーはマックスのアトリエを訪ねたものの,アレクサンダーの想像画には消極的な考え方です。とはいえ,マックスもアレクサンダーの写真をもとに製作を開始し,リリーも写真撮影やスケッチに応じて,製作には協力します。
しかしながら,出来上がった絵は,マックスの満足のいくものではなく,原因を分析して,よりよい絵を描こうとします。

絵の製作過程で,アレクサンダーの寮での生活やリリーやアレクサンダーの家庭の実情が少しずつわかってきます。
しかし,全てが解明される訳ではありません。アレクサンダーがどうして自殺をしなければならなかったのか,手がかりがありそうで,最終的にはわかりかねます。

あまり突き詰めて考えるというより,感性で捉える映画だと思いますが,何か問題を投げかけられたまま解明されないところの多い映画のようでした。

ドイツ2009-13人の作家による短編

2009年10月17日 | 映画道楽
ドイツ映画祭で最初に見た作品は,13人の監督の短編集です。
約2時間半の間に,めまぐるしく13編の短編映画が上演されます。
わからない作品もありました。
「ヨシュア」は,将来を悲観するドイツ系ユダヤ人に調合された薬を飲んだ後,世界がどう見えるようになるかを描いた作品でとても面白いです。意外な人物まで,この薬のお世話になっていたりするオチまでついています。私にもこの薬が必要なようです。
ファティ・アキン監督の「ムラート・クルナスという青年」は,ブレーメンで育ったイスラム系ドイツ人が,タリバンのメンバーと決めつけられ,5年間もグアンタナモの強制収容所で過ごすことになった事件について,本人のインタビューをそのまま映画化した作品です。淡々と答える様子はショアーにも通じるものがありました。
「危険分子」もまた,監視社会ドイツを描いたもので興味深かったです。
T・ティクヴァの「出張」はグローバル化の社会を描きながら,卑近なオチで笑わせてくれます。

しかし,2時間半も休みなしで短編が続くとどうしても消化不良になります。