道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

デュフィ展(渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム)

2014年06月29日 | 美術道楽
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中のデュフイ展に行って参りました。
デュフィの作品が時代を追って展示されています。

デュフィといえば明るい色彩で軽い筆裁きの絵というイメージですが、実はそのような作風に至るまでにマチス、セザンヌ、さらにはブラックなどの影響も受け、さらにはドイツの表現主義の木版画からも影響を受け、これらの作風に習った作品まで描いているということは初めて知りました。
また、ファッションのデザインや家具のデザインまでしているということも初めて知りました。
「ヴァイオリンのある静物―バッハへのオマージュ」、「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」、「麦打ち」などが印象に残りましたが、何といっても素晴らしかったのは「ニースの窓辺」と「電気の精」でした。
「電気の精」は細長い絵でして、左側には歴史上著名な思想家や芸術家、右側には近代文明の社会において発明に功績のあった人物の絵が描かれています。沢山の人物が描かれていますが、右側にはレオナルド・ダ・ヴィンチが、左側にはファラデーがいたことは記憶しています。
「ニースの窓辺」は島根県立美術館に所蔵されている絵です。以前に島根県立美術館を訪れ、そこで見たことがありました。島根県立美術館の所蔵するコレクションの中でも、重要な地位を占めているらしく、同美術館のミュージアムパスポートの図柄の1つであったと聞きました。私はこの絵のことを間違って記憶しておりまして、真ん中に描かれているのが鏡であるということを今まで知りませんでした。

他にも、島根県立石見美術館、ひろしま美術館、宇都宮美術館など今までに訪れたことのある美術館の絵も展示されており、懐かしいというような気持ちにもなれました。
7月から展示替えとのことですので、再訪したいと思います。


明治神宮の菖蒲

2014年06月28日 | 風流道楽
久しぶりに明治神宮の菖蒲を見に行きました。
6月後半なので、さすがに咲いている菖蒲も残り少なくなりましたが、まだ楽しむことができました。
菖蒲やあじさいを見ていますと、梅雨の過ごしにくい時期も悪いことばかりではないという気持ちになります。





池には蓮も咲いています。




関孝和の墓(新宿区弁天町)

2014年06月22日 | 衒学道楽
最近、弁天町交差点まで出かけることがありまして、その際に関孝和の墓を見て参りました。

関孝和は、上野国の生まれと言われています(江戸生まれという説もあり。)。その父は駿河大納言徳川忠長に仕えたそうです。関孝和は甲府藩士の養子となり、甲府中納言綱豊が6代将軍(家宣)になると、幕臣となり納戸組頭になったということです。
関孝和は、世界に誇ることができるほどの業績を残した和算算の大家として名を知られております。何でも既に微積分と同様の思考を和算でしていたとか。和算の道具でどうやって微分や積分まで到達したのか不思議ですが、和算については詳しくないので知りません。


関孝和の墓は新宿区弁天町の浄輪寺にあります。外苑東通りに面したお寺の敷地の一番奥まったところが、関孝和の墓です。関孝和の墓は、このほか故郷の群馬県藤岡市にもありますし、なぜか金沢市にもあるとのことです。

著名な関孝和ですので、郷土を称えた上毛かるたでも「わ」は「和算の大家 関孝和」となっているそうです。






法隆寺展(東京藝大美術館)

2014年06月16日 | 美術道楽
東京藝大の美術館で開催中の法隆寺展に行きました。

まずは企画の趣旨をHPから引用します。
(引用初め)奈良、斑鳩の地に飛鳥時代から続く法隆寺は、聖徳太子の教えを今に伝える祈りの場として、人々に親しまれています。 太子の教えとともに守られてきた多数の美術工芸品は、日本屈指の質と規模を誇り、文化財の一大宝庫ともいえます。このたび、東日本大震災からの復興を祈念するとともに、新潟県中越地震復興10年という節目の年に、法隆寺の寺宝の数々を公開する展覧会を開催いたします。除災や国家安穏を祈って造られた金堂(国宝)の毘沙門天、吉祥天(いずれも国宝)をはじめ、奈良、飛鳥時代以降の優れた彫刻や絵画、色鮮やかな染織品を含む工芸など仏教美術の粋が出陳されます。また、フェノロサや岡倉天心による明治期の調査を発端として、法隆寺所蔵の文化財保護と継承に携わってきた 東京美術学校(現・東京藝術大学)の活動や、法隆寺を主題に制作された近代の絵画・彫刻なども紹介します。約70件の名品を通じて、法隆寺信仰への理解を深めていただく機会となります。(引用終わり)

行く前は、法隆寺の所蔵する美術品の展示かと思っていたのですが、必ずしもそればかりではなく、聖徳太子など法隆寺にゆかりのある人物を描いた明治以降の作品なども展示されていました。
和田英作の「金堂落慶之図」は、人物の顔が皆同じようになっていて、前田青邨の絵を思い出しました。また、平塚運一の「法隆寺夕景図」の版画や高村光雲の「定胤和上像」も印象に残りました。

このほか、法隆寺金堂壁画の模写や国宝の毘沙門天像、吉祥天立像なども見ることができました。仏像はあまり詳しくないので、コメントを書くこともできませんが、有り難いものを見させていただきました。

なお、法隆寺金堂壁画の模写ですと、現在、東京藝大が制作した模写が空間を再現して展示されており、そちらの方がさらに迫力がありました。

ミッション[宇宙×芸術](東京都現代美術館)

2014年06月08日 | 美術道楽
6月6日金曜日の夜、内覧会にお招きいただき、東京都現代美術館に出かけました。
大変な大雨の日であったにもかかわらず、オープニングと内覧会は大盛況です。


私はオープニングをパスするつもりだったのですが、開始時間が遅れたようで到着したときにはまだオープニングセレモニーも始まっていませんでした。しばらくして、オープニングが始まりましたが、次から次へと挨拶と退屈なスピーチの連続。何だか、面白くもない会社の行事に行ってしまったようで、本当に死ぬほど退屈でした。待っている人たちは余りのつまらなさに皆携帯をいじっています。
何人も何人も何人も終わることのないつまらない話が続いた挙げ句、最後に、常設展の紹介で、また学芸員の人が再度登場して、再度、退屈なスピーチを始めた時は、本当にスピーチをやめさせる拍手をしたくなりました(チャウシェスクの最後の時みたいに。)。
このスピーチ本当に主催者の自己満足以外に意義を見いだすことが困難です。これを立ったまま25分間も聞かされるなんて、耐えられません。




文句ばかりですみません。
肝心の内覧会ですが、これも人が多く、しかも皆親睦目的なのかあまり展示を見るような雰囲気ではありません。プレス関係者も完全にお遊びモードに入っています。
名和晃平さんの作品はとてもよかったのですが、この作品ですらゆっくりみることができなかったような気がします。後は谷川俊太郎の詩か何かが表示される作品もありました。
それ以外は、実際に宇宙に行ったカメラやロケットの残骸が展示されていたり、また日清やポカリスウェットのCMもあったりと、芸術だけの展示ではありません。科学博物館に来ているようです。この不思議な取り合わせも意外に面白いように思いました。

なお、常設展会場では、「開館20周年記念 MOTコレクション特別企画 クロニクル1995」と題する企画とトウキョウワンダーウォール2014の入選展という企画も開催しています。こちらの方がより面白いように感じられましたので、こちらの方に比重を置いて、再度、東京都現代美術館を再訪したいと思います。

NABUCCO(ローマ歌劇場・NHKホール)

2014年06月08日 | オペラ道楽
6月1日にNHKホールで開催されましたローマ歌劇場来日公演のNABUCCOを観て来ました。
指揮はリッカルト・ムーティです。
とても暑い日でしたが、着物を着た人も含めて着飾った観客も沢山いました。

演出はとてもオーソドックスで、舞台衣装と音楽で、ストーリーの内容は間違いなく追っていけます。
歌手の歌も素晴らしかったように思います。
音楽の方も、ドイツオペラのような妙に秩序だった感じとは若干異なり、それはそれでとても良かったように思います。
今回はva pensieroは1回の演奏で、2回繰り返されることはありませんでした(当たり前か。)。

NABUCCOは私をオペラの世界に導いてくれた演目で、何度も観ているのですが、何度観てもいい物です。



指揮:リッカルド・ムーティ
Direttore d'orchestra:Riccardo Muti
演出・美術:ジャン=ポール・スカルピッタ
Regia e scene:Jean-Paul Scarpitta
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
Costumi:Maurizio Millenotti 
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani

ナブッコ:ルカ・サルシ
Nabucco:Luca Salsi
イズマエーレ:アントニオ・ポーリ
Ismaele:Antonio Poli
ザッカーリア:ドミトリー・ベロセルスキー
Zaccaria:Dmitry Beloselskiy
アビガイッレ:ラッファエッラ・アンジェレッティ
Abigaille:Raffaella Angeletti
フェネーナ:ソニア・ガナッシ
Fenena:Sonia Ganassi
大祭司:ルーカ・ダッラミーコ
Gran Sacerdote:Luca Dall'Amico
アブダッロ:サヴェリオ・フィオーレ
Abdallo:Saverio Fiore
アンナ:スィムゲ・ビュユックエデス
Anna:Simge Büyükedes


ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro Dell'Opera di Roma

ジャック・カロ展(国立西洋美術館)

2014年06月01日 | 美術道楽
上野の国立西洋美術館で開催中のジャック・カロ展に行って参りました。
ジャック・カロとは名前しか聞いたことがなく、詳しいことは知らなかったのですが、17世紀にロレーヌで活躍した版画家です。

HPからの引用です。
(引用初め)ジャック・カロ(1592-1635)は、17世紀初頭のロレーヌ地方が生んだ、優れた技量と豊かな創造性を兼ね備えた版画家です。若い頃に滞在したイタリアでは、メディチ家の宮廷附き版画家に抜擢され、1621年の帰郷後も、ロレーヌの宮廷や貴族たち、聖職者たちのためのみならず、周辺諸国の貴顕たちの注文にも応えて制作を行うなど、華やかなキャリアを築きました。
わずか40数年の生涯に残した作品の数は1400点以上にのぼります。当時の喧騒が今にも聞こえてきそうな祝祭や市の様子、民衆喜劇(コメディア・デラルテ)の役者たちや道化たちを描いたもの、対抗宗教改革の潮流を映した作品群、社会を暗い影で包んだ戦争に取材したもの、イタリアや1630年頃に滞在したパリ、故郷ロレーヌの風景・・・、多彩な主題を扱った画面の中では、現実に向けられた鋭いまなざしと、想像力に富んだ着想が交錯する、独特の世界が作り上げられています。また、カロは試行錯誤を重ね、腐食銅版画(エッチング)の技法に新境地を開いたことでも知られます。この新しい技法から生み出された、ときに明暗を鮮やかに対比し、ときに柔らかな空間の広がりを詩情豊かに描き出す線の表現の美しさは、見るほどに深い驚きをもたらします。
本展覧会では、国立西洋美術館のコレクションに基づいて、初期から晩年に至るカロの作品を、年代と主題というふたつの切り口からご紹介します。カロの活動の軌跡をたどりつつ、リアリズムと奇想が共演するその版画世界をご覧いただきます。さらに、作品を通して、当時の芸術的潮流や社会の諸相に対するカロの姿勢を探っていくことも、この展覧会の狙いです。(引用終わり)。

非常に細かい版画の展示でありまして、展示会場ではスクリーンに映し出した版画もあります。こちらはパネルにタッチすると該当箇所を拡大することもできます。
アルノ川の祝祭(扇)、ナンシーの宮殿の庭園、ナンシーの競技場など興味深く見ました。
美術館は観客にルーペを貸し出してくれるので、ルーペで丁寧に見ている人も沢山いました。


なお、同時開催で「非日常からの叫び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」という企画も開催されていました。
こちらは、作家平野啓一郎氏が国立西洋美術館のコレクションから選んだ作品の展示です。時代も作風もジャンルも様々な所蔵品の展示です。最初にマックス・クリンガーの連作「手袋」が展示されていたので、とてもうれしくなりました。マックス・クリンガーはライプツィヒ出身の版画家で、昨年ライプツィヒを訪れた際にもその作品を見ましたし、「手袋」の連作は神奈川県立近代美術館鎌倉別館でも見たことがあり、大変興味をひかれていたからです。
このほかハンマースホイの作品など、実に様々な作品が展示されており、どちらかといえば、カロ展よりもこちらの方が印象に残りました。