道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

旧博物館(ベルリン・博物館島)

2009年02月12日 | 美術道楽
ベルリンの博物館館にある旧博物館に行きました。
19世紀の建築家シンケルの作品による建物は,18本の柱が整然と並んであおり,外観だけでも十分に楽しめます。
古代ギリシャ,ローマの彫刻が並ぶアンティークコレクションが常設展示です。2階は特別展会場になっていて,今回は,昔シャルロッテンブルクのエジプト博物館にあった展示物が展示されていました。
シャルロッテンブルクにあったエジプト博物館は閉館し,その展示物は現在,再建中の新博物館が完成した後,そちらに移るのだそうです。

王妃ネフェルティティの胸像を見るのも3回目ですが,博物館島で見るとは思っても見ませんでした。


同時に,今回はエジプト芸術が彫刻家アルベルト・ジャコメッティに与えた影響ということもテーマになっておりまして,ジャコメッティの作品やそのもとになったエジプト芸術の作品を対比してみることもできました。
ジャコメッティの作品


旧博物館1階の常設展もいろいろありますが,印象に残ったのは,カフェの入り口近くにある,全く性質の異なる現代芸術でした。
アンゼルム・キーファーの作品です。



キーファーのこの作品には,「ケシと記憶」という不思議なタイトルが付いています。パウル・ツェランという詩人の詩集のタイトルにちなんでつけられたタイトルで,この詩集にはナチスによるユダヤ人虐殺をモチーフにした「死のフーガ」が収められており,キーファーの作品もナチズムとホロコースト(ショアー)に関連して作成されたものであります。しかしながら,そのタイトルは,戦争や死というものと対極にある詩的なものとなっています。

それにしても,ベルリンの美術館の見所の一つが,ダーレムとシャルロッテンブルクであった時代は完全に過去のものとなっているのですね。