道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

フェルメールとレンブラント展(森アーツセンターギャラリー)

2016年01月24日 | 美術道楽

フェルメールとレンブラント展(森アーツセンターギャラリー)

森アーツセンターギャラリーで開催中の「フェルメールとレンブラント展」に行きました。

 

I ハールレム、ユトレヒト、アムステルダム―オランダ黄金時代の幕開け

Ⅱ オランダ黄金時代

Ⅱ-1 風景画家たち

Ⅱ-2 イタリア的風景画家たち

Ⅱ-3 建築画家たち

Ⅱ-4 海洋画家たち

Ⅱ-5 静物画家たち

Ⅱ-6 肖像画家たち

Ⅱ-7 風俗画家たち

Ⅲ レンブラントとレンブラント派

Ⅳ オランダ黄金時代の終焉

と章立てされています。特にⅡはジャンルごとに細かく区分されています。

 

一番の見どころは、なんといってもフェルメールの《水差しを持つ女》でしょう。フェルメール独特の女性の服の青とテーブルクロスの赤とのコントラストや水差しの輝き、窓からの光などいかにもフェルメールらしい作品です。

レンブラントの《ベローナ》も貴重なのでしょうが、メデゥーサの首の描かれた盾の表現はともかく、肝心のベローナがどうも魅力に乏しいようです。親しみやすいオランダの主婦に見えるという説もあるようですが、だいぶ表現をよくしているようで、実際のところ農作業をしたり、ソーセージを作ったりしているデブのおばさんにしか見えません。

レンブラント関連でいえば、レンブラント自身の作品より、彼の弟子の作品、特に早世したファブリティウスの作品の方が印象に残りました。

 

Ⅰで見たホルツィウス《苦悩するキリスト》、ベイレルト《マタイの召命》、最後を飾るハウブラーケンの《イフィゲニアの犠牲》なども印象に残りました。《マタイの召命》のテーマはカラヴァッジョが有名ですが、ベイレルトの絵では、マタイと向かい合っていた天秤を持った男の衣装が、今風にも見え、オペラの舞台のようにも見えます。

 

この展覧会は、京都ではあまり人気がなかったとも聞いておりますが、フェルメール以外の作品も多数あり、オランダ絵画を広く楽しめる展覧会のようです。

 


英国の夢 ラファエル前派展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

2016年01月16日 | 美術道楽

昨年暮れに渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムにラファエル前派展を見に行きました。


19世紀のイギリスで、ロゼッティ、ホルマン・ハント、ミレイらは、アカデミズムの模範とされたルネサンスの巨匠ラファエロが登場する以前の様式を志向し、その流派はラファエル前派と呼ばれています。その後、他のメンバーも加わったものの、早期に活動は終わりますが、バーン・ジョーズやウィリアム・モリスにも影響を与えます。


今回の展覧会では、ロゼッティ、ミレイといったラファエル前派の中核メンバーだけではなく、バーン・ジョーンズやウィリアム・モリスといった画家の作品も展示されています。

他の画家ではありますが、テーマもリア王の場面やアーサー王と円卓の騎士の物語で有名なガラハット卿、トロイのヘレネ、ペルセウスとアンドロメダ、ナルキッソスなど古典的な有名な題材の絵もあります。ロゼッティの《パンドラ》は、またウィリアム・モリスの妻ジェーンをモデルにしているとのことで、端正な顔に不思議なオーラを発しており、人を引き寄せる力を持っているようです。以前に見た《プロセルピナ》と同様に、ロゼッティのジェーンに対する隠すことのできない(隠す気すらないようです)熱い思いが感じられます。


いささか女性を理想化しすぎて、ありえないような美しさにしており、かえってリアリティーに欠けると思われるような絵もありますが、ロゼッティ、ミレイ以外の、ラファエル前派に影響を受けた画家の絵まで見られるので、興味深く思われました。



博物館に初もうで(東京国立博物館)

2016年01月12日 | 美術道楽

東京国立博物館の毎年の恒例行事である「博物館に初もうで」に行きました。

 

 

今年は、正月休みが短く、3連休になってから出かけたので、和太鼓や獅子舞などは見られませんでした。

 

早速今年の干支である申(猿)にちなんだ作品です。猿の惑星ではなく、猿の楽園と表現されていました。

 

長谷川等伯の猿図を林春斎が模写したもの。

 

トーハクのポスターに出てくる狩野山雪の《猿猴図》

猴もサルです。猴は侯に通じるので、昇進の願いを込めた作品に使われるとのことですが、えんこうと音で聴くと援交に通じてしまうような気がします。

 

狩野探信《百猿図》

 

横山大観の模写 牧谿《観音猿鶴図》

猿はこちらです。

 

模者不詳 森狙仙《十二支図》

 

猿と共に、相方ねずみと道楽ねずみのねずみ属も写っています。

 

 

三猿蒔絵印籠

 

東龍斎清寿《枝垂柳猿猴透鍔》

刀の鍔に猿の形が入っているのがわかりますでしょうか。

 

 

 

サルの楽園以外の常設展も正月に合わせた展示が多数あります。

長谷川等伯  国宝《松林図屏風》

 

 

池大雅《楼閣山水図屏風》 こちらも国宝です。

 

 

葛飾北斎《富嶽三十六景・凱風快晴》

 

おっと自分たちの仲間もいました。

鼠水滴:墨をすってできた墨汁が余ると入れておくのだそうです。

 

 

白釉獅子枕:意外に軽いそうです。こんな枕で寝たらいい夢見られるかもしれません。

 

せっかくの申年でしたのに、なぜか高村光雲作の《老猿》は展示されていませんでした。

トーハクの猿といえば、真っ先に《老猿》を思いつくのですが。

 

 

 


谷中七福神めぐり

2016年01月11日 | 風流道楽

三連休を利用して、谷中七福神めぐりをしました。

既に日野の七福神めぐりをしているので、今年は2回目の七福神めぐりになります。

 

最初は田端駅の近くにある東覚寺に行きます。ここは福禄寿です。

 

道祖神のようなものもあります。

 

西日暮里の方まで歩き、駅前の道灌山通りを越えて、青雲寺に行きます。ここは恵比寿(もちろん地名の恵比寿ではなく、恵比寿様)です。

今までこのエリアを訪れる機会も少なくなかったのですが、日暮里から少し離れたこのあたりにまで、寺がいろいろあるということを私は知りませんでした。

 

そのすぐ近くに修性院があります。こちらは、布袋尊です。

 

中にある布袋様

 

そこから富士見坂をあがります。

つい最近までは、この坂から天気のいいときは富士山が見えたそうです。

 

 

夕焼けだんだんの坂上を通り、近くのじねんじょカレーで昼食休憩をし、朝倉彫塑館に行ってから、再び七福神めぐり再開です。

 

長安寺は、寿老人です。

 

 

谷中墓地を通って、天王寺です。こちらは毘沙門天です。

谷中霊園は、さすがに有名な墓地だけあって、著名人が多数眠っていそうですが、散策すると疲れるので、今回は素通りです。

 

再び谷中霊園を通り、言問通りまで歩きます。この辺りは将軍の墓所まであります。

根津、上野が近くなり、すっかりなじみの場所になります。

護国院は、東京芸大のすぐ近くです。ここは大黒天です。

 

 

最後は上野公園を通り、不忍池弁天堂まで行きます。いわずと知れた弁財天です。

 

少し横から見ると、こんな感じです。高層マンションがそびえたっています。

 

おっと後ろを振り返ると、清水観音堂が見えます。広重の「上野清水堂不忍ノ池」で有名な、あの丸です。


 

 

 

それほど長時間を要することなく歩くことのできる七福神めぐりでした。

何でも谷中七福神めぐりは日本最古の七福神めぐりということです。

由緒正しい七福神めぐりのようです。

谷中、上野の散歩をしながらの楽しい七福神めぐりでした。

ご朱印は、最初に色紙ではなく、巻物のように巻かれた図柄の紙をもらい、そこに各地でご朱印を押してもらう形になります。

 

 

 

 


日野七福神めぐり

2016年01月04日 | 風流道楽

2016年の七福神めぐりはやや方向を変えて日野七福神を回りました。

京王線の高幡不動駅を中心に、京王線と多摩モノレールを使えば効率的に無理なく回ることができると聞きました。

 

最初は京王線百草園の駅から歩いて真照寺の恵比寿様です。

川崎街道沿いにあり、ぽかぽかした天気だったので散歩も気持ち良いです。

 

 

 

 

いったん高幡不動駅に出て、多摩モノレールに乗り換えて万願寺で降ります。

石田寺にいく途中には、標識もあります。

このあたりは土方歳三の生家もあり、新撰組ゆかりの土地です。

京都の壬生寺にも行きましたし、函館の五稜郭や土方歳三が討ち死にした場所にも行ったこともあります。

ただ、私はどうも「誠」という文字が苦手です。私の知り合いの「誠」という名前の人は、どうも不誠実で信用できない人が多いようです。

 

 

 

閑話休題。石田寺に着きました(土方歳三の墓も石田寺にあります。)。

ここは福禄寿です。このお寺の中にあるとてもちっぽけな祠に祭られているのですが、お寺のお堂は写真に撮ったものの、肝心の祠の写真は撮り忘れました。

 

万願寺駅の反対側にある安養寺に行きます。近くには土方歳三資料館もあります。

こちらは毘沙門天です。

ここも写真はありませんが、コンクリート造りの軍事施設のような形をした薬師堂があり、そこに毘沙門天が祭られています。

最初はわからず、いったいどこに毘沙門天があるのと探してしまいました。

本堂の方は趣があるのに、残念です。いかにもついでに設けられたという感じの無機質な建物でした。

 

 

モノレールの万願寺の駅から高幡不動駅に戻ります。

そこから、言わずとしれた高幡不動に行くのですが・・・人、人、人、あっ自分だけはねずみでした。

大変な混雑です。

さすが関東三大不動の一つだけあります。あとの2つのうちの1つは成田山新勝寺というのですから、当然かもしれません。

この大混雑の中、入場し、ようやくご朱印をいただけるところを発見しました。一応高幡不動の境内の地図が頭の中に入っていたからできたことで、初めてだと見つけるのは困難です(警備員さんはみな知りませんでした。)。

忘れていました。高幡不動=金剛寺なのですが、ここは弁財天ということです。

 

 

混んでいない、別の機会に撮った写真を載せておきます。

 

こちらが弁天堂

 

こちらは土方歳三の像です。

 

 

 

 

 

さらに京王線にのって、南平駅に向かい、そこから浅川沿いの散歩です。

徒歩20分を優に超えます。

知らない場所の徒歩30分程度はかなり遠く感じます。

途中では完全に道を間違えたと思いましたが、正しい道だったのに、いつまでも到着しませんでした。

高幡不動の駅で、おばさんたちがバスを探していた意味がこの時になってわかりました。

それにしても、若くもないのにドラマに出てきそうな川べりを延々と歩くなんて何とも不思議な感じです。

やっと着きました。次から次へと皆、自家用車で乗り付けていました。

延命寺にある寿老尊です。他の七福神めぐりでは、寿老人だったり寿老神といった名前であったのですが。

延命寺は、日枝神社とセットとなっており、明治の神仏分離以前の姿をとどめているそうです。

 

 

 

そのまま、少し戻って今度は善生寺の大黒天です。

 

 

善生寺には大仏もあります。

 

 

最後は南平駅から京王線で平山城址公園駅まで行き、そこで降りて歩きます。

宗印寺に祭られているのは布袋尊です。

宗印寺には、平山季重の墓があるということです。平山季重は、平治の乱では、悪源太義平にしたがって平重盛と戦い、また源平の争乱では、源義経に従い、各地を転戦したものの、平家滅亡後は義経に従っていたのが災いして、頼朝に無断で官職に任じられ、不興をかったというエピソードまでついています。


 

 

下の祠に布袋尊が祭られています。

 

これでゴールです。

今回、少し離れたところに来ましたが、多くの人が車で七福神めぐりをしていました。

浅草や墨田のように徒歩で回る人たちは稀です。日野七福神めぐりは、駅からも遠いところがあるので、徒歩でする場合にも最初から最後まで徒歩は大変ですので(特にトイレ、食事、水分補給など)、必ず京王線やモノレールを使用する必要があると思います。

それと日野七福神では、ご朱印をいただく色紙にあらかじめ七福神の名前と寺の名前が記載されており、そこに朱印をもらうだけの形になっています。

時間は短くて効率的となりますが、その場その場で書いてもらうのと違い、文字も整いすぎていて若干面白味にかけます。

やはり、各スポットを巡って、その場その場で筆で書いてもらって朱印をいただくと、文字にも味わいが出て、不統一な感じも趣があってよいように思いました。

また、毘沙門天なり布袋尊なりが祭られている小さな祠が、お寺の本堂とは別個にあるというのも不思議に思いました。

 

 


2016年スタート

2016年01月03日 | 日常の道楽

少し遅れましたが、新年のご挨拶を申し上げます。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

実は2015年から2016年の年越しには夜勤の仕事もあり、その後もプライベートな用事があったり、windows7からwindows10へのグレードアップの再チャレンジが再度の失敗に終わったりとバタバタした日々を送っておりました。

 

今年も例年と変わらず、氏神様である市谷亀ヶ岡八幡宮に初もうでに行きました。ペットを連れた人が多く、我々ねずみ属にはぴったりです。

 

昨年はパリで2回テロがあるなど、不穏な世の中でしたが、今年こそ平穏な世界になることを祈念するばかりです。それと、日本の経済も自分の運勢も少しづつでよいので、よくなっていくといいなと思います。

今年一年が皆様にとりましても、我々ねずみ属にとりましても良い一年になることを祈念いたしております。