道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

ドレスデン大空襲

2009年02月14日 | 衒学道楽
1945年2月13日から14日にかけて,ドレスデン大空襲がありました。
「エルベのフィレンツェ」と呼ばれるドレスデンは,美しいバロック様式の建築物と美術品の多数集まる街で,目立った軍事施設も全くありませんでしたから,それまで爆撃による被害もほとんどなかったのです。
ところが,徹底的な無差別爆撃が敢行され,一晩で多くの市民や避難民等の非戦闘員が死亡しました(軍事的に無意味な都市をねらった爆撃でしたので,非戦闘員ばかりが被害者になるのは当然ですが。)。特に黄リンと合成ゴムを混合した発火性の高い残忍な爆薬を多用したことが,人的な被害を大きくしたという指摘もあります。

かくして,フラウエン教会,ツヴィンガー宮殿,ゼンパーオペラなどが一晩で灰燼に帰しました。冒頭の写真は1970年ころのものらしく,wikipediaからとりました。Rolf van Melis氏の作品によるものだそうで,http://www.photosforfree.deにあるようです。


それから,フラウエン教会が再建されたのはドイツ統一後の2005年のことです(1994年にドレスデンに行ったときも,まだ廃墟でした)。
再建されたフラウエン教会の塔の上に立つ十字架は爆撃に参加したイギリス軍兵士の息子の製作したもので,和解の象徴としてイギリスから送られたそうです。
再建後のフラウエン教会


ドイツの立派なところはそれでも,ドレスデン空爆に至った出発点が1933年1月30日のヒトラー内閣成立にあることをきちんと認めているところです。

なお,ドレスデン大空襲については,ドイツのテレビ局ZDFが作成した「ドレスデン-運命の日ー」という映画があります。