道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

みちのくの仏像(東京国立博物館)

2015年01月27日 | 美術道楽
東京国立博物館で開催中の「みちのくの仏像展」に行きました。
場所は本館の中ですが、企画展扱いなので、入場には常設展のチケット以外に企画展のチケットを購入する必要があります。

展示が20点未満と小規模な展示ではあります。
展示作品は、ほとんどが平安時代以前のものです。
タイトルから江戸時代の東北諸大名が寄進をした寺の仏像や奥州藤原氏のもとで作られた仏像を漠然と想像していた私のイメージとは違う内容でした。
一木つくりの素朴な造りの仏像が多く、特に解説や音声ガイドに頼らず、ゆっくりと仏像を見つめてみたいという気持ちになりました。
仏像の中には、東日本大震災で実際に被害に遭ったものも少なくありません(中には貞観の大地震の被害に遭ったものもあるそうです。)。

展示パネルの解説には、菅江真澄の「外が浜風」の話なども書いてありました。「外が浜風」の東北の飢饉の惨状を描写した部分は、読んでいて嘔吐しそうになるほどにリアルだったので、よく記憶していた人物でした。

音声ガイドは、あまちゃんで活躍した薬師丸ひろ子でした。
薬師如来像が多いので薬師丸ひろ子なのではなく、やはり「潮騒のメモリー」を歌ったから薬師丸ひろ子の音声ガイドなのでしょう。

この企画展の売り上げは震災の復興支援に用いられるとのことです。

雪と月と花(三井記念美術館)

2015年01月26日 | 美術道楽
三井記念美術館で土曜日まで開催していました「雪と月と花」と題する展覧会に行きました。
何といっても見所は円山応挙の国宝「雪松図屏風」です。
この屏風は、左隻と右隻に分かれていますが、右隻には直線的で力強い老松が置かれ、その先端は遠ざかるように、左隻には曲線的で柔らかい若松が置かれ、枝が迫ってくるようにと、左隻と右隻が対照的に描かれています。
展示室されている部屋は奥行きのある部屋ですが、その部屋はそもそも国宝「雪松図屏風」を鑑賞するために設計されたのだそうです。すなわち、その部屋の入り口から離れた距離で見て左隻と右隻の松の遠近感がよくわかるように造られたのだそうです。屏風の実物を折れ曲がった形で立てかけ、遠景で見てみると、この遠近感はよくわかるようです。もっとも、この展覧会は人気で、屏風の前に人が絶えることがなかったので、なかなかこのような形で見ることはできませんでした。
 同じ部屋には酒井抱一の「秋草に兎図襖」などもあり、退屈しません。斜めに薄く板を張った質感など興味深く見ました。

 他に茶道具では、日本国宝展にも展示されていた、国宝 志野茶碗 銘卯花壇も再度見ることができました。 

さまよえるオランダ人(新国立劇場)

2015年01月25日 | オペラ道楽
少し前ですが1月18日に新国立劇場でさまよえるオランダ人を見ました。
以前にも新国立劇場で見たことがある演出です。この演目は、最初にケルンの歌劇場で見たのと通算すると4回目でしょうか。
 少し危ないような部分もありましたが、オケは何とか前奏曲を座礁せずに乗り切り、スタートを切りました。
 船をイメージしたセット、船の舵と相似形の無数の糸車など興味深い演出です。糸車といえば、マハトマ・ガンジーがスワデシ運動のキャンペーンのためにひいていた糸車のイメージ(インド国旗のもと)がありますが、この糸車,確かに舵に似てなくもありません。
 忘れていたのですが、いつものように第1幕目は、ダーラントとオランダ人の奇妙なやり取りが続くものの、それほど面白いというものでもなく(娘を売るという不思議な話なのですが。)、動きが少なくて眠くなります。
 第2幕目はゼンタのバラードをはじめ、見所が多いです。女性陣の出てくる場面が、意外に面白いように思います。ゼンタの糸車は舵で部屋は操舵室のようにも見えます。壁にかかったオランダ人の絵がどのような経緯で床に落とされるのか、今回も歌に聴き惚れているうちに見るのを忘れました。
 第3幕目は幽霊船が大暴れです。この場面、赤い帆を揺らすのに演出で随分工夫をこらしたそうです。最後に、オランダ人船長が自暴自棄になりながらも、ゼンタを助けようと思う気持ちになり、今まで自分が助かることしか考えなかったのに、人を助けようという気持ちになった瞬間、自分が助かるというストーリーの展開はいつもながら意味深長と思いました。これは、レオ・レオーニの「アレクサンダーとぜんまいねずみ」の物語で、ぜんまいねすみを助けようと思った途端にいままでどうしてもみつからなかった「紫色の小石」が見つかるのと同じような展開です。ただし、こちらのオランダ人船長はゼンタを助けるとか言いながらも、かなりゼンタに罵声も浴びせていますので、やはり人間の心理とは難しいものです。
 いつものように歌手の皆さん大活躍でした。音楽も、最初危なかった部分もありましたが、うまく乗り切っていました。


【指揮】飯守泰次郎
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野 睦
【ダーラント】ラファウ・シヴェク
【ゼンタ】リカルダ・メルベート
【エリック】ダニエル・キルヒ
【マリー】竹本節子
【舵手】望月哲也
【オランダ人】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

コレクションとの対話(神奈川県立近代美術館・鎌倉)

2015年01月12日 | 美術道楽
鎌倉にある神奈川県立近代美術館の「コレクションとの対話」展に行きました。
今回は、美術愛好家の北川原夫妻から寄付されたコレクションを中心に、これと関連する他のコレクションを展示するとの企画です。ルオー、ブラマンク、ドラン、ジョージ・グロスなどいいコレクションを見ることができました。日本人の画家でも鳥海青児、 小山敬三など興味深く見ました。


鶴岡八幡宮にも参拝しました。




また鏑木清方美術館にも行きました。
羽子板の版画やそれを元にした実際の羽子板など見ました。


トーハク羊めぐり

2015年01月11日 | 美術道楽
東京国立博物館の企画「博物館に初もうで」に出かけたことは書きました。

その中で子ども向けの企画なのですが、各館に羊に関する美術作品を展示して、全部で羊は何匹と数えてあててもらうという企画がありました。
別に子どもがいる訳でもないのですが、ワークシートをもらってそこに挙げてある羊の作品を巡って見ることにしました。

羊図(唐絵手鑑)



十二支図三所物




聖徳太子絵伝



画像石 羊の頭部



揺銭樹



聖徳太子絵伝(法隆寺宝物館)




博物館前庭の羊(朝鮮時代・韓国江原道)
冒頭の写真

あまり意味のあることではないかもしれませんが、七福神巡りを終えたように達成感ありました。


羊とは関係ありませんが、長谷川等伯の国宝・松林図屏風もみました。






最後に田記念館にも行き、「智・感・情」など見ました。





浅草七福神めぐり

2015年01月04日 | 風流道楽
昨年断念せざるを得なくなった浅草七福神巡りに出かけました。
浅草の浅草寺から出発して、全部で9箇所を回ります。
何で七福神なのに9箇所なのか、ちっともわかりません。


ご存じ浅草雷門






浅草寺:大黒天




浅草神社:恵比寿

すみません。写真の順番を考えているうちに浅草神社だけ写真を取り忘れました。雷門までいったん戻ったのが失敗でした。
wikiのデータを借用しています。



待乳山聖天:毘沙門天



今戸神社:福禄寿



橋場不動尊:布袋尊



石浜神社:寿老人



ここまで徒歩で楽勝で6つを回りました。あと3つです。
いったん浅草か南千住までバスで行き、浅草か三ノ輪からバスで吉原エリアの2箇所を回ろうかと思いましたが、天気も良くなってきたのでそのまま徒歩で進みます。
橋場二丁目から吉原大門を通って吉原神社に行きました。
前半では山谷から移動してきたのではないかと思われる人たちを目にし、後半は吉原の歓楽街の店の前を通ことになりました。七福神巡りに歓楽街が入っている何て驚きです(新宿七福神も鬼王神社から太宗寺まで怪しい感じでしたが、ここまでではありません。)。
台東区は本当に奥が深い。

吉原神社:弁財天



鷲神社:寿老人
酉の市でも有名のようです。




あと矢先神社1つです。せっかく一日乗車券もあるので、ここでバスに乗りましたが、結局、あまり近くまでいくことができず、かなり歩きました。
合羽橋商店街から先の地図が役に立たず、途中で道に迷いました。

矢先神社:福禄寿



9時スタート12時前終了で意外に早く着きました。

来年は、谷中七福神を目指したいと思います。

博物館に初もうで(東京国立博物館)

2015年01月02日 | 美術道楽
今や何故か人気の企画となった、東京国立博物館の「博物館に初もうで」に行きました。
10年くらい前は、正月どこも行くことができないから、仕方なしに東京国立博物館にでも行って獅子舞や和太鼓でも見てこようという感じでしたが、今では人気企画で、入場券を買う人が列を作るくらいです。

いつものように十二支にかかわる文物を見ます。
どうやら日本の作品には羊は少ないようです。ヨーロッパでしたら、羊は衣類、乳製品、食用と大活躍で、身近な生き物ですが、日本では知られておらず、山羊と混同されたり、鹿に似せて描かれたりしたようです。
羊の出てくる作品を見つけるのにトーハクさんも苦労したのでしょう。

まずは十二神将立像の未神です。
これならどの干支にも対応することができます。京都の浄瑠璃寺伝来とのことです。




森狙仙「羊図扇面」




未だけではもたないのか、十二支すべて登場するものもあります。

冒頭の写真は渡辺南岳「十二支図」です。


歌川国芳「よきことを菊(きく)の十二支」



未はこちら。菊人形のようです。




狩野養長模「十二類絵詞」




十二支のうち我々の同類であるねずみをアップしてしまいました。
鼠草紙に出てくる鼠の権頭(ごんのかみ)みたいです。ネズミ年に再登場してもらいたいと思います。




聖徳太子絵伝にも未が登場します。

南北朝時代の聖徳太子絵巻



鎌倉時代の聖徳太子絵巻=こちらの方がお勧めです。
こちらは法隆寺宝物館にあります。もう10年以上も行ったことのない法隆寺宝物館に久しぶりに入りました。




長谷川等伯の国宝「松林図屏風」もみました。




未とも等伯友関係ありませんが、土偶や銅鐸のセットの展示はそれ自体が芸術作品のように、図柄、色、配置が考えられていました。
料理人のような素晴らしいセンスです。





2015年スタート

2015年01月01日 | 日常の道楽
ようやく2015年がスタートしました。
毎年のように初詣は市谷亀ヶ岡八幡宮です。
氏神様なのですが、今やペットの神社として有名です。
10時少し前に出かけましたら、もうペットを連れた初詣客が沢山いました。
神社の神殿の前にある丸い輪を8の字形にくぐり抜けて通り抜けるのですが、道楽ねずみと相方ねずみのねずみ属は、前に並んでいたワンちゃんと仲良く通り抜け、初詣もワンちゃんに引き続いてしました。



お参りの後は「心身加護」というお守りを買いました。ペット用のお守りではなく、普通の(人間用)のお守りですが、きっと我々ねずみ属を加護してくれるでしょう。

お節料理は下鴨茶寮のものを取りました。
今年は、別のところに1人前を調達しなければならない関係から、いつものとは違う1人前×3の小ぶりのお重にしました。
おいしい料理でしたので、飲めないのに日本酒を飲み、すっかりつぶれてしまいました。





今年こそ、皆様にも、ねずみ属にもいい年になりますようにと祈らずにはいられません。