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以前から気になっていた「マルテ版」のブルックナー交響曲第3番

2010-09-28 17:36:34 | 交響曲
 今日は筆者が以前から気になっていたペーター・ヤン・マルテ(Peter Jan Marthé/1949~ )指揮ヨーロピアン・フィルハーモニックのブルックナー交響曲第3番(マルテ版)の写真のCDについてふれてみたい。
 指揮者のペーター・ヤン・マルテはオーストリアの作曲家、オルガニストでもあり何でもあのセルジゥ・チェルヴィダッケに心酔し薫陶も受けたと言われている。ブルックナーの交響曲に独自の感性、解釈を持って取り組みこの「第3番」も彼自身の「マルテ版」による演奏で実にユニークで我々が通常慣れ親しんでいる「ノヴァーク版」や「エーザー版」とは全く異なるものだ。全般的な特徴としてオーケストレーションの大胆な改変、従来第2楽章に置かれた「アダージョ」と第3楽章「スケルツォ」の順序も入れ替えて演奏する等々、賛否が分かれる彼自身の手法で演奏している。しかも全曲演奏時間が約88分(一番長いとされるノヴァーク版第1稿1873年版でも平均70分前後)も要するCD2枚組の途轍もない「第3番」である。因みに各楽章の演奏時間は第1楽章27:58/第2楽章12:08(スケルツォ)/第3楽章27:00(アダージョ)/第4楽章20:33である。
 しかもこの演奏は2005年8月19日、ブルックナーゆかりの地オーストリア、リンツ郊外聖フローリアン大聖堂にコンサート・ライヴ録音でオーケストラはかつてユーディ・メニューインによって創設された有能な若者たちで構成された「ユンゲ・エステルライヒッシェ・フィル」が母体の「ヨーロピアン・フィルハーモニック」である。
 ブルックナー好きの筆者もこの聖堂には何度となく訪れたが聖堂の地下に眠るブルックナーの「棺」に対面すると不思議と何とも表現しがたい緊張感につつまれる。この演奏を地下で聴いたブルックナーはひょっとすると苦笑いしていたかも知れない。しかしこの演奏はブルックナー・マニアにとっても賛否両論はあるにしても実に斬新で興味深い演奏の一つであろう。(写真/PREISER RECORDS(オーストリア)2CD-PR90715)