今日は歴史的名盤から1枚、ショスタコーヴィチの「ピアノ五重奏曲作品57」ほかを収めたLPを紹介したい。この写真のレコードは1950年代に「SHINSEKAI」レーベルで発売された国内盤だが原盤はもちろんロシア「MELODIYA」である。レコード第1面に収録されたショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲」は1940年に書かれた作品で翌41年に第1回「スターリン賞」にも輝いた傑作である。初演は完成した同じ年にこの録音と同じメンバー、「ベートーヴェン弦楽四重奏団」と作曲者ドミトリ・ショスタコーヴィチのピアノにより行われている。因みに「ベートーヴェン四重奏団」は1923年に結成された当時ソヴィエトを代表する最高のカルテットでメンバーは第一ヴァイオリン=ドミトリ・ツィガノフ、第二ヴァイオリン=ワシリー・シリンスキー、ヴィオラ=ヴァジム・ボリソフスキー、チェロ=セルゲイ・シリンスキーであった。この新古典的で自由な即興性を持つ作品の特徴を作曲者のピアノとともに見事に表現している。録音は1950年頃のモノラルだが音質は良好。
レコード第2面にはラヴェルの室内楽作品の傑作「ピアノ三重奏曲イ短調」がこれまた当時ソヴィエトの最高のトリオと云われたレフ・オボーリン(ピアノ)、ダヴィッド・オイストラッフ(ヴァイオリン)、スヴィヤトスラフ・クヌシェヴィツキー(チェロ)の演奏が収録されている。こちらも1950年代のモノラル録音で3人の名人芸が堪能できる。こちらもレコード演奏史上に永遠に残る名演であろう。
(写真=新世界レコード/LS-3)
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