グレン・グールドはブラームスのピアノ協奏曲をなぜかスタジオ録音しなかった。しかし幸いなことに2つの「第1番」のライヴ録音が遺されている。そのひとつが本日取り上げる1962年4月6日カーネギーホールにおけるレナード・バーンスタイン&ニューヨーク・フィルハーモニックとのコンサート・ライヴである。写真のCDは「ソニー・クラシカル」からリリースされたいわゆる正規音源盤であるがだいぶ以前にLPで「米ワルター協会」からも発売されたことがある。記録によればこのコンサートは4月5日、6日、8日の3日間行われこのLPの記録は8日の演奏となっていた。
演奏はいかにもグールドらしい個性的なもので極端に遅いテンポをとっている。これについてはバーンスタンとの意見の相違があったようである。CDに収録された演奏前の舞台でのバースタイン自身のスピーチも興味深い。演奏が終わらないうちに沸き起こる聴衆の興奮した拍手も当日の会場の雰囲気が伝わってくる。CDの余白には1963年2月にラジオ収録されたジャエームズ・ファセットによるグールドへのインタビューも収録されている。
余談ながらもうひとつのライヴ音源はこのコンサートの約半年後(1962年10月)に収録された放送ライヴでピーター・アドラー指揮ボルティモア交響楽団による演奏でこちらも以前に「米M&A」からCD化されたことがある。