ダヴィッド・オイストラッフ(David Oistrakh/1908~1974)は戦前から活躍していたヴィルトゥオーソと云われるほどのヴァイオリニストだったが日本で名前が広まったのは戦後彼のレコードが紹介されはじめてからと思われる。筆者もステレオ時代に入った1960年代に彼のベートーヴェンやブラームスの協奏曲のLPを聴き骨太でスケール感のある演奏に惹きこまれてしまった。
写真のLP(SXL6035)は彼が1962年「英デッカ」に録音したブルッフ「スコットランド幻想曲」・ヒンデミット「ヴァイオリン協奏曲」である。管弦楽は「ロンドン交響楽団」、指揮はヤッシャ・ホーレンシュタイン(ブルッフ)、後者は作曲者自身パウル・ヒンデミットによる貴重な録音でもある。また「スコットランド幻想曲」はこの録音がオイストラッフによる唯一のものである。
現在までに国内盤としてもLP、CDと再リリースされてきた不滅の名盤だがその魅力は聴きこむほどに聴き手に伝わる。彼が66歳の若さで急死した時の衝撃を思い起こした。