goo blog サービス終了のお知らせ 

私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ミケランジェリのムザ(MUZA)原盤の幻のライヴ!

2009-06-20 02:54:16 | 歴史的コンサート・ライヴ
 今日はイタリアの名ピアニスト、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(Arturo Benedetti Michelangeli/1920~1995)がポーランドの旧共産体制時代から続くレーベルPOLSKIE NAGRANIA」通称MUZAに遺した「幻のライヴ録音」を紹介したい。(写真)当然のことながらこのレーベルのものはなかなか日本では入手が難しくこのCD盤も今から10数年前に東欧旅行中に偶然見つけたものである。
 収録曲目はJ.S.バッハ「パルティータ第2番ニ短調」BWV1004から「シャコンヌ」、ブラームス「パガニーニの主題による変奏曲」作品35、シューマン「ピアノ協奏曲イ短調作品54」の3曲で1955年3月ワルシャワにおけるコンサート・ライヴである。協奏曲の指揮はポーランドの名匠ヴィトルド・ロヴィツキ(Witold Rowicki/1914~1989)、管弦楽はワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団である。筆者はこのコンビでの1973年の来日公演が懐かしく思う。
 録音状態は1955年のライヴということもあり硬質的なモノラル録音で決して良好とは言いがたいが当時35歳の若いミケランジェリの技量は充分に堪能できる。彼は「完璧主義者」と言われそれだけに正規盤のライヴ録音はもちろんのことスタジオ録音の数も多くない。その観点からもこのCDは興味がわく。また彼のレパートリーはベートーヴェン、シューマン、ブラームス、ショパン、ドビュッシー等の作品に集中していたためこのCDのバッハの演奏は貴重な録音である。
 余談になるが彼は本職のピアニストのほかに医師・パイロット・レーサーの資格も所持していたというから驚きである。



 

シューマン 劇付随音楽「マンフレッド」全曲 ライヴ盤

2009-06-18 15:58:55 | 歴史的コンサート・ライヴ
 今日は大変珍しいロベルト・シューマン(Robert Schumann/1810~1856)の劇付随音楽「マンフレッド」全曲盤CD(写真)を紹介したいと思う。この作品、序曲の方は単独でよくコンサートで取り上げられるが全曲が日本で演奏される機会はほとんどない。筆者も何年か前に新日本フィルの定期公演で全曲を1度だけ聴いたことがあるくらいである。
 曲はイギリスの詩人・劇作家バイロンの劇詩「マンフレッド」を題材とし有名な「序曲」と15の場面の音楽で構成されている。作曲は1848年から翌49年にかけて行われ初演は1853年ワイマールにおいてフランツ・リストの指揮により行われた。最大の聴き所は終曲のマンフレッドが最期を迎える「レクイエム」の場面であろう。この天上を仰ぐように合唱によって歌われる美しく短い4分余りの旋律はあのフォーレの「レクイエム」を一瞬思いおこさせる。
 さてこのCD盤についてであるが1980年10月1日ミラノ・スカラ座におけるコンサート・ライヴでマンフレッド役の語りをイタリアの演劇界では人気が高く俳優、監督、作家の三役をこなしていたカルメロ・ベーネ(Carmelo Bene/1937~2002)が務めているところに注目される。またこの録音もミキシングも彼自身が担当していた。LPとしてはイタリアでFonit Cetraから1981年にリリースされておりこのCD盤は彼を追悼して2002年にWarner Fonitから再リリースされたものである。指揮はドナート・レンツェッティ(Donato Renzetti)管弦楽/合唱、ミラノ・スカラ座管弦楽団/同合唱団他の演奏である。但しテキストは原語のドイツ語ではなくイタリア語によるものである。以前のブログで紹介したチャイコフスキーの交響曲「マンフレッド」の題材も同じバイロンの劇詩によるもので2つのマンフレッドの聴き比べも面白いかもしれない。


バレンボイム、「ベルリンの壁開放記念」歴史的コンサート・ライヴ

2009-06-12 01:15:09 | 歴史的コンサート・ライヴ
 1989年11月9日、東西ドイツ・ベルリンの壁が崩壊し新たな歴史の1ページが始まった。今日紹介するCD(写真)は「ベルリンの壁」開放直後の11月12日ベルリン・フィルハーモニーで開催されたダニエル・バレンボイム/ベルリン・フィルによる「歴史的コンサート・ライヴ」である。演奏曲目はベートーヴェンの作品が2曲、バレンボイムの弾き振りによるピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15と交響曲第7番にイ長調作品92であった。彼は後に手兵ベルリン国立歌劇場管弦楽団と全曲録音を完成しているが確かこの時の録音が彼の最初のベートーヴェン交響曲録音だったと思う。
 当時のベルリン・フィルは芸術監督を務めていたカラヤンがこの年の7月に亡くなり次のクラウディオ・アバドにバトンをタッチするまでの指揮者不在の時でもあった。そんな折に見事にこの「歴史的一大イヴェント」に一役買って出たのがバレンボイムだった。演奏は会場に集まった聴衆の興奮度が伝わってくる異様な迫力を感じさせるものになっている。ピアノ協奏曲第1番の弾き振りはよくコンサートでも取り上げている彼であるが(以前のブログでも書いたと思うが1977年9月のボン・ベートーヴェン音楽祭で筆者はパリ管との生に接している)この演奏もまた格別なものを感じさせる。歴史にのこる「コンサート・ライヴ盤」の1枚と言えるであろう。

 
 

スペインの鬼才、アルヘンタのライヴ盤から (3)

2009-06-08 10:06:56 | 歴史的コンサート・ライヴ
 今日は「スペインの鬼才、アルヘンタのライヴ盤から」のラストとしてスペインのRTVE-MUSICAというレーベル(写真)で「Grabaciones Inéditas(未発表録音)アタウルフォ・アルヘンタ」とういうタイトルでリリースされた大変貴重なCDを紹介したい。
 この4CDセットは今から数十年前にリリースされたものだがDisc3に収録されているフランシスコ・エスクデロ(Francisco Escudero/1912~2002)-バスク生まれのスペインの現代作曲家(わが国ではほとんど知られていない)のピアノ協奏曲「バスク」と言う作品を除き1955年から1957年にかけて行われた彼の晩年のコンサート・ライヴ、ステレオ収録である。録音も大変良好でこのCDセットを聴けばアルヘンタの晩年の演奏芸術が充分にうかがうことが出来る。さらにまた彼はピアノの名手としても知られており、ベートーヴェン、ブラームスのヴァイオリン・ソナタの演奏ではヴァイオリンのアルテュール・グリュミオの伴奏を受け持っておりピアニストとしてのアルヘンタを聴くことができる貴重なものだ。現在ではこのCDセットの入手は困難と思われるが入手できればぜひお勧めのセットである。参考にこのCDセットの全収録曲目を下記に記しておきたい。

 ■Disc 1

  ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
           スペイン国立管弦楽団 (1957/5-24/マドリードLive)

ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3
     (Vn)アルテュール・グリュミオ/(P)A.アルヘンタ                             (1955/9-6/ブサンソン音楽祭、Live)

 ■Disc 2

  ブラームス :ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
 (Vn)ユーディ・メニューイン スペイン国立管弦楽団
                      (1956/6-24/グラナダ Live)
      
         ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調作品100
  (Vn)アルテュール・グリュミオ (P)A.アルヘンタ
                   (1955/9-6/ブサンソン音楽祭、Live)

 ■Disc 3

  F.エスクデロ:ピアノ協奏曲「バスク」
          (P)マルティン・イマズ バイエルン放送交響楽団
                   (1951/5-4/ミュンヘン、スタジオ)

  ファリャ :舞踊音楽「恋は魔術師」抜粋
         スイス・ロマンド管弦楽団(1957/8-29/ジュネーヴ、Live)

■Disc 4 (全て1957/8-29ジュネーヴ/ビクトリア・ホール、Live)

  チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
             スイス・ロマンド管弦楽団

  スメタナ :歌劇「売られた花嫁」序曲
  R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲル愉快ないたずら」
           以上、 スイス・ロマンド管弦楽団
  

スペインの鬼才、アルヘンタのライヴ盤から (2)

2009-06-07 11:56:44 | 歴史的コンサート・ライヴ
 昨日に引き続き「スペインの鬼才」アタウルフォ・アルヘンタのライヴ盤から今から数年前に仏TAHRAから初リリースされたCD(写真)を紹介したい。このCD盤は彼がフランス国立管弦楽団に1951年4月4日に客演した際のライブ録音である。演奏曲目はストラヴィンスキー「プルチネッラ」組曲(ペルゴレージのチェンバロ曲による舞踊音楽を8曲からなる室内管弦楽用組曲に編曲したもの)、ホアキン・ロドリーゴ「ヴァイオリンと管弦楽のための夏の協奏曲(ヴァイオリン:クリスティアン・フェラス)、ブラームス交響曲第2番ニ長調作品73である。いずれの作品も他にスタジオ録音も含めてレコード・CDがこの盤以外存在しないため大変貴重なライブ盤と言える。(但し、聴衆の拍手はカットしてある。)当然のことながらモノラル録音だが昨日紹介したorfeo盤同様録音状態が良好なのはありがたい。
 演奏はロドリーゴの協奏曲のソロを弾くフェラスのヴァイオリンが美しいし、メイン・プロのブラームスも終楽章のコーダでアルヘンタが強烈なアッチェランドでたたみかけて来るところがいかにも彼らしい。全般的にテンポが速く少々の粗さがある演奏だがそれはそれで興味深いとこである。
 余談ながらこのCDには解説書の巻末に彼のデイスコグラフィーが添付されているので大変参考になる。
 

スペインの鬼才、アルヘンタのライヴ盤から (1)

2009-06-06 08:30:40 | 歴史的コンサート・ライヴ
 スペインの鬼才、アタウルフォ・アルヘンタ(Ataulfo Argenta/1913~1958)はまだまだこれからと期待されていた1958年1月に一酸化炭素による不慮の死により44歳で生涯を閉じたため彼が遺した録音はライヴ盤も含めても数は少ない。
筆者の初回ブログ(2008年11月)で彼がパリ音楽院管弦楽団と1957年にスタジオ録音したベルリオーズ「幻想交響曲」のユニークな演奏を紹介したが今日はライヴ録音盤から1953年、1954年に彼がウィーン交響楽団に客演した際の貴重録音にふれてみたいと思う。
 写真は独Orfeoからリリースされているメンデルスゾーン交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」(1953年5月6日Live)、R.シュトラウス交響詩「ドン・ファン」、ファリャ舞踊音楽「三角帽子」から「3つの踊り」(以上1954年12月8日Live)が収録されておりいずれも会場はウィーン・コンツェルトハウス大ホールである。演奏はお国もののファリャは言うまでもなく特に私が気に入った演奏はメンデルスゾーンであった。この交響曲の名盤はクレンペラー、カラヤン、バーンスタイン等々の名盤と評価されている録音が多々存在するがこのアルヘンタのライヴもなかなかの出来である。彼独特のユニークさはそれほど感じさせないがむしろ堂に入ったスケール感のある演奏は聴いていて気持ちがいい。録音もモノラルながらこの時代にしては大変良好の1枚だ。







クルト・ザンデルリンク/シュターツ・カペレ・ドレスデン来日公演ライヴ盤

2009-06-05 00:53:16 | 歴史的コンサート・ライヴ
 1973年10月の東京は当時の東西ドイツを代表するオーケストラ来日公演でクラシック音楽ファンを熱狂させた。旧東独からはクルト・ザンデルリンク率いるシュターツ・カペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)、西独からは新NHKホール落成記念公演に来日したヘルベルト・フォン・カラヤン率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団である。それぞれの公演の模様は前者はFM東京の「TDKオリジナル・コンサート」でその一部が紹介され、後者は以前にも紹介した通りNHKFMで東京公演は全て生中継された。
 今日は当時、日本=東独国交樹立記念並びに楽団創立400年記念として初来日となったシュターツ・カペレ・ドレスデンのライヴ盤の一つチャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調作品36(写真)を紹介したい。この演奏は10月31日東京文化会館で行われたライヴ録音で2002年にTDKレーベルでCD化されたものである。演奏はシュターツ・カペレ・ドレスデンの地味ながら重厚なサウンドをザンデルリンクが見事に引き出している。同曲を偶然にもカラヤン/ベルリン・フィルが10月28日に演奏しており当時のFMエア・チェック・テープを聴き比べてみると両オーケストラの音色の違い、ベルリン・フィルの煌びやかな金管群の響き等々
が対比でき興味深い。尚、このCDにはウェーバー歌劇「オベロン」序曲も収録されている。

幻のライヴ!コンヴィチュニー/ゲヴァントハウス来日公演1961

2009-03-13 01:11:42 | 歴史的コンサート・ライヴ
 先頃、フランツ・コンヴィチュニー(1901~1962)ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団1961年来日公演ベートーヴェン交響曲第9番の東京ライヴのCDがAltusレーベルから約半世紀を経てリリースされた。(写真)NHKによるステレオ録音で1961年5月1日日比谷公会堂での演奏である。私は夢にもコンヴィチュニーの来日公演の録音が保管されているとは思ってなかった。まさに私にとっては「幻のライヴ」である。ちょうどこの時代は私がクラシック音楽に関心を持ち始めレコードを集め始めたころであった。写真は今でも大切に保存している1961年4月の「フォンタナ・レコード」第1回発売の小冊子でコンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管弦楽団来日公演が特集されている。今開いて見ると懐古趣味の私には大変懐かしい。コンヴィチュニーの演奏はぜひ生で聴きたかったが残念ながら会場には足を運べなかった。幸いにも今回この第9の演奏を聴いて改めて彼の重量感のあるベートヴェンに感服した。よくこのオーケストラは「燻し銀のような」と表現されることがあるがまさに地味ながらそこにはしっとりとした輝きを感じた。私がこのオーケストラを生で聴いたのはそれから10年後の2回目の来日時で1971年11月指揮はクルト・マズアであった。会場は同じ日比谷公会堂でベートーヴェンの第6番と第3番の演奏だった。
 今さらながらよくこのライヴ録音がしかもステレオで保存されていたとは驚きである。さすがNHKのライブラリーは凄いの一言。

シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団 ライヴ イン ロシア

2009-03-04 22:40:01 | 歴史的コンサート・ライヴ
 何年か前にシャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団、初のロシア演奏旅行の際のライヴCDが発売された。(SCORA CLASSICS)このCDの解説によると1956年9月8日のライヴ・モノラル録音で演奏会場の記載はない。収録曲目はベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55、ラヴェル舞踊音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲、シューマン交響曲第2番ハ長調作品61から第3楽章(アンコール)となっている。シューマンの第2交響曲の第3楽章がアンコール曲とは珍しい。演奏はどれもきりっと引き締まった名演を聴かせている。「ダフニスとクロエはミュンシュの十八番なので言うに及ばずだが「英雄」は終楽章が特に素晴らしい。またアンコール曲のシューマンはミュンシュ自身がアンコール曲を紹介する肉声も収録されている。第3楽章アダージョ・エスプレッシーヴォ、テンポは少々速めだがミュンシュは情感をこめて演奏している。
 ミュンシュ/ボストン響、初ロシア公演記録ということで大変貴重なミュンシュのライヴ音源の一つである。