
久しぶりに若きカラヤンのライヴ盤から1枚、ブルックナーの「テ・デウム」を取り上げてみたい。写真は2004年に「ARCHIPEL」からリリースされたイタリア、ペルージャの「聖ピエトロ教会」における1952年9月29日のコンサート・ライヴである。(ARCHIPEL/ARPCDー0259)カラヤンはこの作品をよく交響曲第9番(ブルックナー)と共にコンサートで演奏していた。当時の演奏記録を調べてみると彼はウィーン交響楽団とペルージャ(聖ピエトロ教会)で前日の28日(ブラームス/「ドイツ・レクイエム」)とあわせて2日間のコンサートを行っている。
このCDには翌29日のプログラムからブルックナーの「第9番」の後に演奏された「テ・デウム」が収録されている。独唱者リタ・シュトライヒ(ソプラノ)、ダグマール・ヘルマン(アルト)、エルンスト・ヘフリガー(テノール)、ハンス・ブラウン(バス)に合唱はカラヤンとは切り離すことができない「ウィーン楽友協会合唱団」が加わっている。録音はモノラルで状態は決して良好とは云い難いが鑑賞には問題ない。演奏は合唱も素晴らしくカラヤンの指揮にも熱がこめられているのがよくわかる。同ライヴ盤の中でも注目に値するものではないかと思われる。
最後に余談ながらこのCDのメインはカラヤンが戦後初めてベルリン・フィルの指揮台に登場した1953年のベートーヴェン「エロイカ」のライヴ録音である(以前に「AUDITE」盤で紹介済み)このジャケットの表記は1953年9月28日となっているが実際のコンサートは9月8日に行われている筈である。音質も「AUDITE」盤が断然優れていることを付記しておきたい。