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私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

キョンファ・チョンのウォルトン&ストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲」

2011-07-02 12:37:10 | 協奏曲

 韓国を代表する世界的名女流ヴァイオリニスト、キョンファ・チョン(Kyung-Wha Chung)がアンドレ・プレヴィン率いるロンドン交響楽団のソリストとして初来日したのがもう今から40年前の1971年4月のことである。筆者は彼女が当時、日比谷公会堂で演奏したチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」の演奏が今でも忘れることができない。今日紹介するレコードは彼女がその翌年に同コンビで英デッカにレコーディングしたウォルトンとストラヴィンスキーの「ヴァイオリン協奏曲」である。これは彼女のデビュー盤チャイコフスキー&シベリウス「ヴァイオリン協奏曲」(プレヴィン/ロンドン響ー1970年6月録音)、ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲&スコットランド幻想曲」(ケンペ/ロイヤル・フィルー1972年5月録音)に次ぐデッカ録音の3枚目のLPであった。
 写真のLPは筆者が1975年に初めて韓国を訪れた際にソウル、明洞地区のレコード店で求めたデッカの韓国盤である。ジャケットにはレコード番号がオリジナルのデッカ盤SXL6601と韓国盤SEL-0205の二つの番号が併記してある。因みにジャケット・デザインはオリジナル盤と同じである。因みに解説はジャケット裏面に英語・ドイツ語・フランス語で韓国語では別刷りでジャケット内に添付されている。レコード・デビュー間もない彼女がこのウォルトンとストラヴィンスキーの協奏曲をレコーディングとのことで筆者も当時興味深く聴き入りその演奏の凄さに感服したものである。
 ところで昨年彼女の演奏活動40周年を記念した豪華CD-BOXが「韓国ユニバーサル」から発売されたそうである。内容はデビュー盤を始めとして「デッカ」並びに「ドイツ・グラモフォン」の名盤の数々が19CD+1DVDで紙ジャケ仕様オリジナル・ジャケット・デザインで外箱がLPレコードサイズなので迫力がありそうだ。勿論、記念BOXにはこの二曲も含まれている。(尚、ジャケットのサインは彼女が2001年来日の際に入れて頂いたもの)



クリスティーナ・オルティス/ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第1番&第2番」

2011-06-30 12:04:45 | 協奏曲

 写真のLPレコードも以前にもふれたことがる1970年代に香港に行くとよく立ち寄った小さなクラシック・レコード専門店で求めた懐かしい1枚である。1969年の「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で優勝し一躍世界から注目を浴びたブラジル出身の名女流ピアニスト、クリスティーナ・オルティス(Cristina Ortiz)がまだ20代の頃に「英EMI」にレコーディングしたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番&第2番」で筆者も当時レコード店の店主に薦められて購入した。録音は1973,4年頃と思われるが彼女の爽やかなピアノが聴きものである。管弦楽はイギリスの「ボーンマス交響楽団」で指揮は当時このオーケストラの首席指揮者だったパーヴォ・ベルグルンド(Paavo Berglund)である。ベルグルンドは70年代に「日本フィル」に客演し左手で棒を振る指揮者でファンも多く1978年の「香港アート・フェスティバル」にはこのオケを率いて参加している。当時筆者もこのオケを聴きに当時香港まで足を運んだのでこのLPもおそらくその時に購入したものと思われる。(写真/英EMIASD3081)
 ところでショスタコーヴィチの「第1番」のピアノ協奏曲はピアノと共に独奏トランペットも活躍するため「ピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲」とも呼ばれている。作曲年代はショスタコーヴィチがまだ27歳の1933年である。またこの協奏曲にはベートーヴェンなど他の作曲家のモチーフをパロディー化して引用するなど興味深い。因みにこのレコードのソロ・トランペットは当時この楽団の首席トランペット奏者、ロドニー・シニア(Rodney Senior)が吹いている。

バイエルン放送・自主制作盤(BR KLASSIK)から

2011-06-23 12:28:29 | 協奏曲

 今日は「バイエルン放送・自主制作レーベル」-「BR KLASSIK」から写真のマルタ・アルゲリッチが弾くベートーヴェンとモーツアルトのピアノ協奏曲ライヴ盤を取り上げてみたい。このCDはこの「レーベル」が発足した2009年にリリースされたものである。CDには「バイエルン放送交響楽団」のコンサート・ライヴ録音からマルタ・アルゲリッチのベートーヴェン「第1番ハ長調作品15」(指揮/小澤征爾)とモーツアルト「第18番変ロ長調K.456」(指揮/オイゲン・ヨッフム)の2曲が収録されている。前者のベートーヴェンは1983年7月17日の演奏でこれは以前に映像としてDVDで発売されたことがあるが「CD」としては初登場である。また後者のモーツアルト(1973年6月22日ライヴ)も正規盤としてはこれが初登場と思われる。
 アルゲリッチのベートーヴェン、モーツアルトの録音はこれまでもレコード・CD録音が極端に数少ないため大変貴重である。因みにベートーヴェンの協奏曲録音はスタジオ録音で「第1番」と「第2番」がシノーポリの指揮、フィルハーモア管弦楽団(1985年録音/ドイツ・グラモフォン)と「第2番」を自らの指揮とピアノで1980年の「ロンドン・シンフォニエッタ」と録音が思いつく。またモーツアルトも確か1990年代「独テルデック」録音の「第20番ニ短調K.466」(アレクサンドル・ラビノヴィチ指揮/パドヴァ・エ・デル・ヴェネト管)と「2台のためのピアノ協奏曲K.365」(アレクサンドル・ラビノヴィチとの共演/イェルク・フェルバー指揮/ヴュルテンブルク室内管)があるぐらいだと思う。このような過去の貴重なライヴ名演盤を集めることも筆者の楽しみの一つでもある。

シューマン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」

2011-06-19 02:42:18 | 協奏曲
 
 ロベルト・シューマン(Robert Schumann/1810~1856)の「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」は作品番号が付されていない。この作品はヨーゼフ・ヨアヒムの要請でシュマーンの晩年1853年にわずか半月程度で作曲されたものと言われている。しかしどういう理由かヨアヒムはこの作品を取り上げることなくシューマンの自筆楽譜を封印してしまう。そしてこの「手稿」は作曲者の死後80年余りが経過した1937年にベルリンの「プロイセン図書館」で発見されるまで陽の目を見ることがなかった曰くつきの作品でもあった。
 その後今日に至るまでこの「協奏曲」のレコード、CD録音は数多くなされているが筆者好みの演奏になかなかめぐり合うことができなかった。そんな中で今回紹介する写真のCDは今筆者が一番気に入っている1枚である。演奏はロシアのヴァイオリニスト、イリヤ・カーラー(Ilya Kaler)と1980年生まれのフィンランド出身の新鋭指揮者ピエタリ・インキネン(Pietari Inkinen)のコンビによる「NAXOSレーベル」から2008年にリリースされたものだ。(NAXOS/8.570321)オーケストラはイギリスの「ボーンマス交響楽団」との2007年の録音である。指揮者のインキネンも元はヴァイオリニストなのでこの作品のツボをよく捉えた二人の息があった見事な演奏に仕上がっている。ヴァイオリンのカーラーは1963年生まれなのでこの録音当時は44歳、まさに脂に乗った溌剌とした演奏が実に心地よい。さすがに「パガニーニ」(1981年)、「シベリウス」(1985年)、「チャイコフスキー」(1986年)と世界的なコンクールに優勝した経歴がその卓越したテクニックを証明している。このCDのメインに収録されたブラームスの協奏曲も勿論秀演である。
 

アレクサンドル・ドゥバッハの「パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲全集」

2011-06-16 17:13:54 | 協奏曲

 本日話題にするアレクサンドル・ドゥバッハ(Alexsandre Dubach/1955~ )はスイスの風光明媚なトゥーン(Thun)出身の名ヴァイオリニストである。彼が演奏するパガニーニには定評があり1990年代に「モンテカルロ・フィル」とスイスのレーベル「クラーヴェス(Claves)」に録音したデビューCDもパガニーニのヴァイオリン協奏曲であった。因みに彼は「第1番ニ長調」と「第4番ニ短調」をミシェル・サッソン(Michel Sasson)の指揮、残る「第2番短調」・「第3番ホ長調」・「第5番イ短調」・「第6番ホ短調」の4曲をローレンス・フォスター指揮で演奏している。さらに彼の凄いところは全てのカデンツァを自作のものを用いているところにも感服させられてしまう。
 彼の経歴を調べてみると1964年、弱冠9歳でローザンヌで開催された「コンクール」での優勝を皮切りに数々の国際コンクールに入賞し1986年にはイタリアのゴリツィア(Gorizia)の「ロドルフォ・リピツァー賞ヴァイオリン国際コンクール」でも優勝した実力者である。この全集盤を聴いてみるとそれは充分にうなずくことができる。現在ではこの「全集録音」が過去にも取りあげたこともある超廉価盤レーベル「BRILLIANT CLASSICS」からリリースされていることも大変有り難いことである。(写真/BRILLIANT CLASSICS - 99582/ 3CDセット)
 

 

ラローチャの珍しい「ブラームス/ピアノ協奏曲第2番」ライヴ盤

2011-06-01 20:03:15 | 協奏曲

 アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha/1923~2009)はバルセロナ出身でスペインを代表する女流ピアニストであった。彼女はアルベニスやファリャなどの「お国もの」は勿論、ドイツ古典派の作品からロマン派の作品も大変得意としたがブラームスのピアノ協奏曲のCDは珍しい。昨日に続き紹介する写真の「独Weitblick盤」のブラームス「ピアノ協奏曲第2番」はおそらく彼女の唯一の録音ではないかと思う。(独Weitblick-SSS0097-2)
この録音はCDの記録によれば1981年6月7日、8日の両日に「ベルリン・フィルハーモニー」で行われたオイゲン・ヨッフム指揮/ベルリン放送交響楽団(現、ベルリン・ドイツ交響楽団)とのコンサート・ライヴである。ヨフッムの「ブラームス/ピアノ協奏曲」の録音ですぐ思い浮かぶのがギレリスとのベルリン・フィルによる1972年の名盤(ドイツ・グラモフォン/スタジオ録音)である。両盤を聴き比べてみるとギレリスとのスタジオ録音は全体的にテンポをやや遅めにとりブラームスらしい渋みと重厚さが出た演奏に対してラローチャとのライヴ録音はどちらか言えば彼女の軽快なピアノ・タッチが重厚さというよりは甘美なロマンティシズムを感じるところも魅力である。

近代フランス音楽のスペシャリスト ー モニク・アースが弾くラヴェルの協奏曲

2011-05-28 23:27:11 | 協奏曲

 「近代フランス音楽」のスペシャリストで知られたモニク・アース(Monique Haas/1909~1987)が「ドイツ・グラモフォン」に遺したラヴェルの二つのピアノ協奏曲ー「ト長調」と「左手のための協奏曲ニ長調」が収録された写真のLPを紹介したい。(DG138 988/ステレオ)指揮は同じくフランスの名匠ポール・パレー(Paul Paray/1886~1979)管弦楽は「フランス国立放送管弦楽団」で1965年4月、パリの「Maison de la Radio」におけるスタジオ録音である。指揮者のポール・パレーは戦後アメリカに渡り「デトロイト交響楽団」の音楽監督を長年務めた人で彼のレコードは主に「米マーキュリー」レーベルに多く残されておりこの「ドイツ・グラモフォン盤」は珍しい1枚でもある。またこのコンビによる録音もおそらくこれが唯一のものと思われる。
 ピアニストのアースによるラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」の録音はこれ以外にもモノラルで1948年にハンス・シュミット=イッセルシュテットの録音もあったはずだが筆者は未聴である。また「左手」の協奏曲はこのパレーとの録音が唯一のものでいずれもステレオ録音で聴けることも幸いである。
 

 
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メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ニ短調

2011-05-24 10:27:18 | 協奏曲

(コンサート・ホール盤/SMS-2844ステレオ)
 
 メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」と言えば通常1844年に作曲された名曲「ホ短調作品64」を思い浮かべるがもう一つ彼がまだ13歳の少年時代に書き上げた「ニ短調」(1822年)が存在する。この作品は長いことその楽譜が紛失の状態にあり1951年になってから名ヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインがロンドンに住むメンデルスゾーンの家系をひく遠い子孫の家で発見したものである。作品の初演も発見者メニューインによって行われている。無論、作品の完成度においては「ホ短調」とは比較するまでもないがメンデルスゾーンらしい旋律の美しさは一聴に値する。ただ知名度からもこの作品の録音の数が「ホ短調」に比べて現在でも極端に少ないのが残念である。
 写真のLPは先日懐かしい「コンサート・ホール盤」を整理していた時に出てきた1枚である。このLPがリリースされた時期も筆者がまだ学生時代の1970年代初頭の頃だったと思うので当時としてはこの「ニ短調」が収録された国内盤のレコードとしては大変珍しいものではなかったかと思う。しかもヴァイオリン独奏が日本の宗 倫匡である。彼はこのレコードが録音された当時から国際的に活躍していたヴァイオリニストの一人で高名なヨーゼフ・シゲティの最後の弟子でもある。現在もロンドンを中心に演奏活働も続けており「水戸室内管弦楽団」や「サイトウ・キネン・オーケストラ」のメンバーでもある。管弦楽ー「モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団」、指揮ーデヴィッド・ジョセフォヴィッツ。
 尚、このLPの第1面にはメンデルスゾーン/「ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲ニ短調」が宗 倫匡のヴァイオリン、ウィリアム・ナポレのピアノ、ロベール・デュナン指揮「コレギウム・アカデミクム・ジュネーヴ合奏団」の演奏で収録されている。



 

ミュンシュ&グラフマン ボストン響の「ブラームス/ピアノ協奏曲第1番」

2011-05-08 12:24:11 | 協奏曲

 シャルル・ミュンシュ(Charles Munch/1891~1968)が指揮した「ブラームスのピアノ協奏曲」のレコードは今日紹介するゲイリー・グラフマンの「第1番」の他には筆者が知る限りでは1950年代初頭のモノラル録音でアルトゥール・ルービンシュタインとの「第2番」が思い浮かぶくらいである。因みに管弦楽はどちらもボストン交響楽団である。
 写真の「第1番ニ短調」のLPレコードは1958年のステレオ録音で筆者がまだ高校時代の1965年頃発売された「RCA」の廉価盤シリーズ「Victrolaレーベル」(国内盤SUP-2044)である。当時LPレコードの「ステレオ・レギュラー盤」の価格は2,000円前後で学生の身分でそうそう買えるものではなかった。小遣い銭をためながらこのような廉価盤を中心にコツコツと買い求めた時代を思い出す。ピアノのゲイリー・グラフマン(Gary Graffman/1928~ )もこの時代に知ったピアニストの一人だが彼は当時アメリカの第一線で活躍していた人で「米コロムビア」にも多くの名録音がある。また1995年から2005年までフィラデルフィアの「カーティス音楽院」の楽院長も務め数多くの後進の指導にあっている。現在、世界で大活躍中の中国人ピアニストーラン・ラン(Lang Lang)も彼の門弟の一人である。
 ところでミュンシュの指揮は元から速いテンポをとる演奏が普通なのだがこのレコードでも全体の演奏時間は約44分とかなり速い部類に属する「第1番」の録音である。しかしその演奏には特別な違和感は感じさせない。最後に余談になるがこのレコードが世界初CD化されたのも2006年と意外に遅くLP発売から40年余りが経過してからであった。

最初に求めたモーツアルトの「ピアノ協奏曲ーLP盤」

2011-04-12 23:07:01 | 協奏曲

 今日は筆者がレコード・コレクションを始めて最初に求めたモーツアルトの「ピアノ協奏曲」の懐かしいLP盤を紹介したい。それは写真のカール・ゼーマンが弾く「ピアノ協奏曲第26番ニ長調「戴冠式」K.537」他が収録されたものであった。(ドイツ・グラモフォン国内盤/LGM1040/モノラル)筆者がまだ中学坊主だった1960年代初頭の頃である。当然のことながら当時はピアノのカール・ゼーマン(Carl Seemann/1910~1983)も指揮をしているフリッツ・レーマン(Fritz Lehmann/1904~1956)の名前も知る由もなかった。彼らの経歴の詳細を知ったのはずっと後のことだった。
 カール・ゼーマンはドイツ、ブレーメン出身の名ピアニストでライプチッヒ音楽院でピアノとオルガンを学び当初は教会オルガニストをしていた人である。その後、本格的にピアニストとして活働し「ウィーン古典派」には定評があり特にモーツアルトは得意にしていた。一方指揮者フリッツ・レーマン(Fritz Lehmann/1904~1956)もドイツ、マンハイム出身でバロック、古典音楽を得意としていた人で彼のバッハ解釈は定評があった。しかしながら1956年3月30日、ミュンヘンで「マタイ受難曲」を指揮中に心臓麻痺で倒れ52歳の若さでこの世を去ってしまった。因みに彼の「マタイ受難曲」には1949年の「ベルリン放送響」他との録音が遺されている。
 話を元に戻しこの写真のLPではゼーマンのオーソドックスな解釈がクセのない気品あるモーツアルトを聴かせている。尚、レコードの二面にはモーツアルトの「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331(トルコ行進曲付き」が収めれている。
 (「協奏曲」の管弦楽は「ベルルン・フィル」、録音は1953年)