クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤 その84 プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」

2007年04月21日 | とっておきの名盤「オペラ」
プッチーニは、ワーグナーやR・シュトラウスと並ぶ私の最も好きなオペラ作曲家の一人。
溺愛している「ボエーム」と同じほどに愛聴するこの「トゥーランドット」は、プッチーニの白鳥の歌となった最後の名作。
異国情緒あふれた舞台作りの中に、珠玉のような歌が散りばめられていて、聴き手に最初から終わりまでひと時も飽きさせないプッチーニの手腕には完璧に脱帽。
それだけに、主役3人には素晴らしい声の共演を望むのは私一人だけではあるまい。
この盤でトゥーランドット姫を歌うのは、偉大なワーグナー歌手でもあった名ソプラノのニルソン。
この役のデビュー録音だったが、その役に要求される冷たさと高貴な佇まいがぴったりで、後にはまり役となったのもうなずける。
王子カラフ役のビョルリンクは最晩年の頃だったが、声の衰えは全く無く、その完璧とまでいえる歌いぶりに圧倒される。
リューを歌うテバルディの若々しい声は何とも魅力的。
この盤の録音は1960年だから、1922年生まれの彼女にとっては歌い盛り、愛するプッチーニのこの役が、いとおしくてしょうがなかったに違いない。
ラインスドルフは、全く過去に埋もれた指揮者になってしまっていて、名前がほとんど聞かれないのがとても残念。
ウィーン生まれで、ワルターやトスカニーニの助手を務めたこともある舞台経験豊かな指揮者。
どちらかというと職人気質が強いが、優れたオーケストラ・トレーナーとして名を馳せただけあって、このプッチーニの遺作を素晴らしい響きで埋めてくれている。
好きな曲だけに推奨したい名盤はたくさんあるが、まずはこの盤をとっておきの名盤として挙げたい。
この曲のベスト・ファイブをあげると、
・エーリーッヒ・ラインスドルフ指揮、ローマ歌劇場管弦楽団、ビルギット・ニルソン<S>、レナータ・テバルディ<S>、ユッシ・ビョルリンク<T> <RCA>
・アラン・ロンバール指揮、ストラスブールフィルハーモニック管弦楽団、モンセラ・カバリエ<S>、ミレッラ・フレーニ<S>、ホセ・カレーラス<T> <EMI>
・ズービン・メータ指揮、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団、ジョーン・サザーランド<S>、モンセラ・カバリエ<S>、ルチアーノ・パヴァロッティ<T> <LONDON>
・モリナーリ・プラデルリ指揮、ローマ歌劇場管弦楽団、ビルギット・ニルソン<S>、レナータ・スコット<S>、フランコ・コレルリ<T> <EMI>
・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、カーチャ・リッチャレッリ<S>、ジミー・ヘンドリックス<S>、プラシード・ドミンゴ<T> <Grammophon>
ロンバール指揮の盤は、指揮、歌ともに素晴らしく、後にブログにも取り上げる予定だが、ラインスドルフの盤と同列としたい。

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3 コメント

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リュウが決め手 (千里庵)
2007-05-28 01:03:58
初めておじゃまいたします。
マリア・イェリッツァ扮するトゥーランドット姫の妖しき舞台姿に魅せられて、1982年にサンフランシスコのタワーレコードで初めて買い求めたのがやはりラインスドルフ盤でした。
セラフィン盤、メータ盤、エレーデ盤、ラインスドルフ盤のいずれを選ぶかで迷いに迷いましたが、結局はテバルディのリュウで決めました。
健気で余りにも可哀相なリュウがいとおしくてたまりませんよね。「誰も寝てはならぬ」ばかりが持て囃される昨今ですが、私のお気に入りは、リュウの歌う「お聞きください王子様」。死を前にして切々と歌うこの美しいアリアを涙なくして聴くことができるでしょうか。
絶頂期のテバルディの透き通った美声はやはり不滅ですよね。他ではカバリエの消え入るようなピアニッシモにも痺れたし、リッチャレッリの可憐なリュウも魅力的だったし、大好きなフレーニは絶対にはずせないし、レオナ・ミッチェルもフリットリもいいですね。
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追加 (千里庵)
2007-05-28 16:38:57
昨日言い忘れたのですが、カラヤン盤のリュウはバーバラ・ヘンドリックスの誤記ではないでしょうか。
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コメントありがとう (fland_2006)
2007-05-29 23:12:39
誤記のご指摘ありがとう。
ジミーが付く別のアーティストに惑わされたのかもしれません。
リュウの歌は、とにかく哀しいまでに心惹かれる曲だと私も思います。

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